第7話 セルヴィスの胸中
いつもすまないとは思っていた。
ずっと隠し事をし続けているという罪悪感があった。
どうして今になって本当の番が・・・アメリアが見つかってしまったんだろう。
アメリアが私の番だとわからないまま、彼女を愛してくれる相手と相思相愛になって、どこかで幸せになってくれればそれで良かったのに・・・。
今更、私なんかの相手だと見つかってしまったばかりに、こんなことになってしまった。
アメリアは私に対して真摯に接しようと努力してくれているのに、私は彼女と目を合わせるという簡単なことすら満足にできない。
彼女の努力が解るだけに、自分の不甲斐なさと申し訳なさだけが募る。
今の私は国王としてはともかく、番の片割れとしては完全な欠陥品でしかない。
私の手でアメリアを幸せになど出来そうにない。
本当は番につらい思いなどさせたく無いはずなのに。
もしものことを言ってもどうにもならないが、アメリアがもっと早く見つかってくれれば、こんなことにはならなかったのに・・・。
もっと早く会いたかった。
でも、あの時の彼女は幼い子供で、番の印も未熟でいくら探しても見つかるはずがなかった。
なぜ、もっと早く生まれてくれなかったのだろう。
どちらにしても、今更何を言ったところで現状は変わらないし、変えられない。
結局のところ、一度零れてしまったワインは二度とグラスに戻ることはないのだ。
アメリアに本当のことを話さなくてはならないが、ちっぽけなプライドと自尊心が邪魔をしてなかなか正直に話すことができない。
きっと、話したら軽蔑されるだろう。
彼女はいつも私に誠実に向き合おうとしてくれるのに、私は逃げてばかりの狡い男だ。
本当に彼女に相応しくない。
アメリアから貰っている気持ちを返すことはできないが、真実を話すことこそがせめてもの償いかもしれない。
しかし、それすらも私の自己満足に過ぎないのかもしれない。
何とかして彼女の新しい嫁ぎ先を、彼女を幸せにしてくれる男を探さなくては。
役立たずの私以外の。
私は一時の愚かな感情のせいで、後先考えず、どれだけ周りを不幸にするかも考えず全てを捨ててしまった馬鹿者だ。
どうしてあの時、あんなことをしてしまったんだろう。
彼女と必ず会えると分かっていれば、思いとどまれていたかもしれないのに・・・。
自業自得の結果でしかないが、それでも悔やむしかない。
セルヴィスは、彼女からのまっすぐな愛を向けられるほど、それを受けとる資格のない自分を思い知らされるようで、酷く重い気分になった。
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