第6話


 二人の結婚から1年が過ぎた。


 公の場ではアメリアを隙なくエスコートするセルヴィス。二人の様子を見た人々は、仲睦まじいと評していた。



 アメリアとセルヴィスは毎晩同じベッドで眠ったが、一度も肌を触れ合ったことは無かった。


 セルヴィスはベッドに入った瞬間に、アメリアを一人残して眠ってしまう。


 私は女として欠陥品なのかしら?


 他に好きな方がいらっしゃるのかしら?

 毎晩私と一緒に過ごしてくださるのだから、そんなことは無いのかしら?


 男の方がお好きなのかしら?


 自分のことが好きになれないのなら、つらくても仕方がないと受け入れるから、せめて理由を教えてほしいとアメリアは思った。


 理由もわからず避け続けられるのは、辛かった。


 セルヴィスに問いただしたいと思ったが、それを口に出せるほど二人の距離は近しいものではなかった。


 アメリアが一歩近づけば、セルヴィスが二歩下がる。

 個人的に必要な話合いになればなるほど、彼は逃げようとする。


 彼はすぐに忙しいと言ったり、後にしてほしいと言ったりして、そもそも会話自体が成立しなかった。


 さながら互いに干渉し合うことを良しとしない同居人といった様相だった。


 それでも、アメリアは少しでも距離を縮めようという思いから、何度か自分からセルヴィスに触れたことがあったが、毎度虫を振り払うように払いのけられた。

 いつも彼はすまなそうな顔をするが、彼からアメリアに触れることも、アメリアを受け入れてくれることもない。


 いい加減つらい気持ちを抑えきれなくなり、いつからか彼に触れることをやめた。


 蔑ろにされても未だセルヴィスに触れたい気持ちはあったが、これ以上傷つきたくないという気持ちが強くなったからだった。

 それでも、彼に少しでも好かれたくて・・・アメリアの心の中は複雑だった。


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