第29話 借金返済
拓哉が服役中も横領した時の返済や運送会社への返済など義父も協力してくれていたが5年位支払った時どうにも返済が難しくなってきたので私は拓哉が横領した時の会社の木元副社長を訪ねて少し月々の返済額を減額してもらえないかと頼みに行ったことがある。
本当は社長を訪ねるつもりだったが病気をされて入院中だったのだ。
木元副社長は当時拓哉が店長していた時の『ファースト』の社長だった。
その時話をして初めて分かった事だが当時『ファースト』の責任者だった事もあり拓哉が横領した額の半分は責任を取って返済して下さったらしい。
当時木元社長は年老いたお母さんの介護の為に貯めておいたお金を崩して返済して下さったらしい。
何と拓哉は色々と関係のない人まで巻き添えにしてきたのだろう。
私は「知らなかった事といえご迷惑をお掛けして申し訳ございません」と謝るしかなかった。
しかし、木元副社長は「その事についてはもう何とも思っていない」と言われ私がそれまで返済してきた振込用紙の控えをきちんと整理しているのを見て「ちゃんと管理されてるね。奥さんも大変だったでしょう」とねぎらって下さった。
そして、「実は社長はご病気なので近々社長の息子さんが次期社長として就任される予定になっています。新社長になられたら容赦ないので新社長になられる前に残りのお金は一括で返済された方が良いですよ。銀行かどこかで残りの返済分を借りて支払い可能な額で返済されたほうが良いですよ」とアドバイスして下さった。
早速、家に帰ると義父にすぐ相談してみた。
義父は地元の農協で残りの返済金額分を義父名義で借りてくれ、月々の返済金額の負担を軽くする事が出来た。
そしてすぐに木元副社長に連絡し残りを全額返済したのだった。
一方、運送会社にも社長宛に事情を書いて手紙を送った所早々に社長から返事が来た。
毎月毎月きちんとお金を振り込んでもらいもう充分に誠意を感じたのでこれからはご自分の家族の為にお金は使って下さいとの内容だった。
私は社長の言葉が嬉しくて、手紙を握りしめて泣いた。
有難くて涙が止まらなかった。
こうして運送会社への弁償は終了となった。
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