流転の時
この美のこ
第1話 プロローグ
如月の月、私は63歳になった。
今、私は認知症の母の介護をしながら穏やかな毎日を送っている。
今までの私の人生を振り返ってみると今が一番充実して幸せだと思っている。
定年後は色々なしがらみから解放されて自由な自分らしい時間が持てるようになり充実感にあふれていると言ったらちょっと言い過ぎかな?
母の介護で多少の制限があるので自由気ままとは言えない。
けれどやっぱり今が楽しい。
母が週何度かのデーサービスに行っている約7時間が唯一の私の時間だ。
大好きな本を読んだりDIYで部屋の模様替えをしたり定年したら始めようと決めていたヨガ教室に通ったりガーデニングや娘とショッピング&ランチを楽しんだりと今まで仕事や子育てなどで出来なかった事を満喫している。
田舎なのでわずかではあるが畑や庭があるので草取りに追われたり畑を耕運機を使って耕したりもしているがこれもまた気分転換になってやった後のすっきりとした達成感がある。
旅行は現在コロナ禍である事と母の介護があるので自粛中だけどいつかは実現したいと思っている。
現在、子供3人孫8人に恵まれた私だけど30代からはシングルマザーで3人の子供達をなりふり構わず無我夢中で育ててきた。
そして今では殆んど思い出す事もない12年間の怒涛な日々を送った結婚生活がある。
今、本当に久しぶりに忘れかけていたあの頃の事を手繰り寄せながら思い出してみると「なんて馬鹿な女だろう」と滑稽だったり「なんであんなに結婚生活にしがみついていたんだろう」と切なくなる。
でもこれもまた私のかけがえのない人生の1ページである。
今ではまるで他人事のような気もする私の人生の『流転の時』を振り返ってみようと思う。
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