第4話 初夏の残照 6月
毎週毎週会いに行く
愛しさばかりが募りゆく
初夏の日差しが眩しくて
見上げて季節が変わりゆく
雨の休日 梅雨の色
二人で歩く 古都の街
恥ずかしそうに手をつなぎ
恋人気取りで歩く道
歳の離れた君と僕
映画を見たらショッピング
ぶらぶらしたり座ったり
短い午後が過ぎてゆく
もうすぐ別れの時が来る
時計の針が加速する
そろそろ駅にいかなくちゃ
いつも言えない二人とも
君の車の助手席で
カバンを抱え黙り込む
駅まで送ってくれるけど
君は可愛く駄々こねる
茜の雲を追いかけて
列車が走る夜の街
ほんのわずかな思い出を
今週もまた積み上げて
暗くなるころ僕の部屋
留守番電話の点滅は
わざわざ君のメッセージ
寂しいだけの僕の部屋
シャワーを浴びて支度して
哀しい夜のラジオ聴き
君とのことを考える
明日は現実 月曜日
本当にあの頃は君のことばかりを考えていた
遠距離恋愛だった
特急で二時間 往復で一万円だった
毎週毎週、時間とお金と信用が消失していった
それでも君と会うことばかり考えていた
自分がこの先どうなるのかなんて考えられなかった
季節が梅雨に変わっても
僕たちのペースは変わらなかった
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