第3話 初夏の残照 5月
「初夏の残照 5月」
五月の半ばの頃だった
見知らぬ君に会うために
東に車を走らせた
初夏の日差しが曇る午後
君住む街に着く頃は
大粒空から初夏の雨
夕方6時の待ちあわせ
車を置いて君を待つ
すぐに見つけた君のこと
青い車の助手席で
初めて聞いた君の声
夏の匂いの君の色
行き先運転 君まかせ
少し緊張お互いに
わずかな会話 それだけで
二人で堕ちた恋の闇
緑鮮やか初夏の暮れ
雨降る夕べ心地よく
いつしか君を抱きしめて
肌を合わせる闇の中
初めて会って数時間
初めて知った君のこと
不思議な恋の物語
今宵ばかりの物語
君と出会って数時間
夢の中でも抱きしめた
それでも君はシンデレラ
今宵限りのシンデレラ
君の車が去って行く
駅前通り人もなく
日付が変わるその頃に
車を出して帰途につく
あれからわずか六時間
出会って抱いてさようなら
見知らぬことが夢のよう
恋にもならない夢のこと
それが5月13日の金曜日
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