SEARCH PUZZLE
そう言うと、先生は続けていった。
「『片付ける』ってのは、俺の言葉ではなかなか伝わりにくい。そこで少し補足する。ふつうは行為の主体人間で客体は物になる。だが片付いてくれる『人』が、自分で片付けって言っている場合もある。」
整理解雇される場合は主客転倒するし、劇中では「俺をさっさと『処分』しろ
」なんて台詞も飛び出す。
片付けるという動詞はとても奇妙だ。自動詞と他動詞以外にも用法がある。
「……なるほど」
先生は空間の小穴を少し覗き込んだ。そして「見つけたぞ」と目を輝かせた。
「何がわかったんです?」
「俺達が見つけた物、これは、俺からしたらとても大事なんだ。おい、お前、これはひょっとしたらひょっとするぞ!お前、助手の仕事に興味はないか?」
先生は今までになく興奮している。
「どうやら私たちは世紀の大発見をしてしまったらしい、と?」
「それ以上だ。ああ、何と説明していいか。お祓いの言霊は正邪を分別し後者を整理してくれる。だが、この小穴は定説を拡張するものだ。『片付ける行為を代行するまたは仲介してくれる』要素につながるものなんだよ」
私も耳を疑った。祓う行為が新しい何かにつながるきっかけを生むなんて!
「アカデミズムがひっくり返る概念ですね」
先生は私の肩をポンポンと叩く。
「ああそうだとも。だから、その、この小穴の先にいる『片付けてくれる人』のところに行こうか」
「お願いします」
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