使命と喜び


「うひょーー! ラッキー!!」

「ねぇ! あなた。あたしたちお似合いですって!」

「げぇえええええっ! そんなのありかよ!!」

「ちょーーーーーーーーー!www あいつの商売! さんまぁああああああああああああああ!!」

「おおおおおおおおおおおおお! よおおおおおおし! きたきた! 3番から12番、流し買いだな!」

「おお! 神よ。やはり、あの子は助からんのですか!!」


◇ ◇ ◇


にぎわう繁華街の一角。人の流れが絶えぬ場所でわたしはじっとたたずみ、そっと見守る。

色とりどりの衣装を纏った若いお嬢さん、人生にくたびれ果てた高齢者、眉間に皺を寄せて画面を睨む中年男性、物憂げな貴婦人。


老若男女が通り過ぎる。

ときおり、わたしの前で立ち止まり、しばらく考えた末に立ち去る人。

興味深げにわたしを見つめ、じわじわと距離を詰める人。

血相を変えてわたしに駆け寄る人。


出会いのほとんどは一期一会だ。ほんの一握り、熱心に通ってくれる人々がいる。


ありがたいことだ。


お客様は神様だ。大切にしたい。わたしを大事にしてくださる方には精一杯の恩返しをしたい。


ああ、また昨日のお客がいらした。

無事だったんですね。よかったよかった。


わたしの存在意義を感じさせてくれる、いとおしい人。

この人のために役立ちたい。

この人の笑顔が見たい。

いつまでもにこやかにふれあいたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る