開演
「いいのか? 荻野。持ち時間は5分しかないんだぞ…ああっ、あと3分22秒だ」
人類存続委員長の黒野は腕時計とスタッフの進捗を比べてイラつく。
「尺に収まる出し物なんで…ま、念のため巻きでいきます」
総監督は余裕しゃくしゃくだ。そうでなくても過去から連れてきた助っ人で舞台は超過密だ。
「今度は人情味に溢れたAIだ。地球の工業力もまんざらでもないと見せつけてやりましょう」
荻野は老いて攻撃的な性格が往時よりかなり衰えた。殺伐した作風が売りで出演者の降板も茶飯事だったが今では人類の命運を担っている。発掘された「彼」は救世主たりえるのか。
荻野だからなあ、という陰口に地獄耳が反応した。早速、取っ組み合いが始まる。人類滅亡まで実質2分。黒野は恐る恐る開演のボタンを押した。
AI主催のVR寸劇が始まる。
”これは実話に基づく物語です…”
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