第二十四話 三つ四つ、二つ三つなど
「ねぇ、どうして水蓮寺くんなの?」
「んー?面白そうだったから」
「まったく…みりあったら…」
クラスの隅の方。
今度の土日どっちかの買い出しメンバーについて私はみりあに質問してた。まぁ、あの人はいいとして、問題はもうひとり。
水蓮寺くん。顔が良くて女の子から人気がある人。なんか学年?クラス?で一番人気があるらしいの。
私的には嫌いなタイプ…。顔が良いってだけでチヤホヤされてる人だし、本人もそれを当たり前に思ってる。
前、一回すっごい上から目線で告白?されたんだけど、無理すぎてすぐ断っちゃった。
そしたら、一部取り巻きの女の子達が、「水蓮寺くんの告白断るとか驕りすぎ」とか「篠崎って性格悪いよね」みたいな騒ぎ始めたの。
幸い仲良くなってた女の子達は全然誤解だって分かってくれたんだけど、男子達には腹黒、とか性格悪い、とか思われちゃったわけ。
その原因が水蓮寺くんな訳なんだけど…。まさか、面白そうだからって理由で呼ぶなんて…。
ほんとにみりあは何考えてるの…。
「…ん?ボクの話?」
とか話してたら水蓮寺くんがどこからか現れちゃった。悪い人ではないとは思うんだけど、苦手だからなるべく話したく無いよ…!
「そそ、今度の土日ね!水蓮寺はどっちがいいとかある?ぶっちゃけ私はどうでもいい…!」
聞いといて投げやりなみりあ。ちなみにこれは最近ハマってる呪術廻戦のキャラの真似らしい。私はよく分かんない。
「そうか…、ボクは土曜が良い…けど。まおに合わせるよ」
水蓮寺くんはこっちを見て、少し笑って言った。
うっ…すっごい鳥肌立った…。一回告白断ってるのに下の名前で呼んでくるとか流石に無いよ…。
というか一回振った人と休日を過ごすの凄い気を使うし…。やっぱりあとでみりあに抗議しようかな。でも取り敢えずはこの場を切り抜けたい。
「じゃあ土曜でいいんじゃん?それにしよ、まお、早く行くよ」
「うん、大丈夫!じゃあね、水蓮寺くん」
さっさと会話を切り上げて水蓮寺くんから逃げるようにして退散。ある程度歩いたところで私はみりあに言いたいことを言おうとして、
「やっぱり水蓮寺くんはや」
「ボク、まだ集合時間聞いてないんだけど…?」
私がそれを言いかけた時、後ろからいやーな声がして振り向くとそこには水蓮寺くんが。
「!?」
「そしてまお、ボクの名前呼んだ?」
結構早歩きで歩いてたし、数百メートルくらいは歩いたはずなのに、いつの間にか近付いていた水蓮寺くんは息切れ一つもしてない。
本当にちょっと怖い。名前呼んだらそのタイミングで来るなんて、ファンタジー映画の悪役みたいだよ…。
「水蓮寺って縮地使いなん?ウケる」
「そんなことはどうでも良い、まお。時間は何時にしようか?」
またこっちを見て笑いながら言ってくる。ちょっと生理的に本当に無理…。
助けを求めるべく、みりあの方を見たら、みりあも水蓮寺くんがこれほどまでとは思ってなかったらしく、苦笑いでこっちに手を合わせて「ごめんごめん」のジェスチャーをしてきた。
「わ、私はそうだなー、9時とかどうだろみりあ?」
「ん!じゃ、まおの案で行こ!水蓮寺もそれなら良いんだよね??よーーーし!それなら!時間も決まったしおっけ!!解散解散!!まお!行くよ!!」
みりあと一緒に半ば強引に水蓮寺くんから離れようとするけど、水蓮寺くんはまだ着いてきた。
「集合場所は?持ち物は?用意する予算はどれくらいにしようか?」
あーーーー、私もうだめかも…。みりあ、後でパフェときんつば奢りだからね…?
しつこくなってきた水蓮寺くんに、ちょっと言おうと立ち止まったその時、横の廊下から現れたあの人と目があった。
「ちょ、丁度良かった。水蓮寺さ、土曜来るんだよね?」
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