そして、彼はいなくなった
月日が経った。
「ナチスドイツはガス室を使いましたが、僕たちには理性があります」
医学博士となった青年は保険省の諮問機関で画期的な提案をした。
遺伝子組み換えにより、受精卵の遺伝疾患を治療するという。
医学会や法曹界、宗教界まで炎上したが、不要な堕胎を減らせるとあって、国は健康保険を適用ことにした。
出生前治療支援特別法の施行から十年。ダウン症や発達障害の児童は激減した。それにつれて介護業界も縮小した。
しかし、根絶には程遠かった。
「やっぱり遺伝子プール”そのもの”を消毒しなきゃいけないんだ」
彼は恐ろしいアイデアにたどり着いた。
「それは戦争と同義じゃないか」
「君は狂っている!」
博士の提案は罵声を浴び、日本にいられなくなった。
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