第5話 ちゃんこ the night 前編

 ここで読者のみんなには説明しておかないといけないことが一つだけある。

 それはね、以前アタイが殺めたはずの滝ノ海先輩の復活についてなんだけど。

 わかる人はもうわかっていることだと思う。

 そう、作者の小さなおつむの少ない引き出しの中のネタがもうスカスカなんだ♪

 で、あれ? 一話で殺してる? なんて気づいた時には時すでにお寿司(×遅し)で勢いで書いちゃったし、まぁ書かねぇよりいいんじゃね? なんていつもの考えなしの特攻スタイルでこの話も強引に突っ切ろうとしているアタイの生みの親は今日もストゼロ片手に酩酊状態で執筆開始♪

 復活した滝ノ海先輩は秘密結社が製造したアンドロイド型力士で、主に直射日光の発電とちゃんこで活動エネルギーを得ているってことにしてほしいの。

 

 だってそうじゃないとせっかく意外と伸びてるこの話を更新する機会がなくなってしまうから。

 これはアタイと親方様である読者のみんなとの約束。


 というわけで、本編開始前にアタイはバイト先のメイド喫茶「どすこい」で新作スイーツちゃんこ「トリプル3段パフェ風ぶっかけちゃんこ」の濃厚なアイスの中に興味本位で入れてみた豚トロをくぐらせて腹ごしらえ♪

 いやー、ほんと甘いものには甘い油脂だね。ほんと罪深い食べ物だよこりゃ。


 作者事情によりゾンビのごとくよみがえった滝ノ海先輩宅にアタイは呼ばれていた。

 もちろんアタイの滝ノ海先輩は腐ってなんていないし、人も襲わない。(もしかしたらベッドの上では豹変するかも、なんてアタイの妄想はこの時ばかりは横綱級!)

 だから一応アダルティな丸い輪っかをコンビニで仕入れ、なんの面白みもない田舎道をすり足で2時間かけてきたんだけど、あのコンビニの店員ったら腹が立つ。

 アタイがこんどうさんを一つ買おうと恥じらいを感じながらレジに進むと、アタイの財布が見当たらないことに気づいた。

 アタイは考えた。

 三好。あんた、このチャンスをものにしない小結がどこに居るの!? 

 先輩を夜の土俵で寄り切りに押し出すチャンスじゃない!

 先輩をおいしくいただいて、優秀なエリート力士をアタイの手で育て上げる。そんな未来があってもいいじゃない!

 アタイの恥じらいと、覚悟をよそにレジの店員がアタイの様子をうかがっているのがわかる。

 が、覚悟を決めたアタイは輪っかを握りしめ猛ダッシュ。

 アタイは先輩との一戦を考えると体から熱を発していた。リミッターをカットした原付みたいに、アタイは自身のすり足を極限まではやめ、目的地たる山間部へと猛然と突き進む!

 たとえ警察だろうが軍がこようが、アタイの欲望に勝てるものはいないんだから!

 その証拠に、一度だけ狩猟区間に入ったみたいで炸裂音とともに「しまった……!」なんて声が聞こえた気がしてあたりを見回したら白いひげを蓄えたおじいさんがアタイを見てうろたえていた。

 流れ弾が当たったって思ったんだ♪

「あ、あんた……大丈夫か!?」

 大丈夫か? なんて問われたらアタイは素直で純粋な力士だからありのまま伝えることにしている。

「……次は狙えよ?」

アタイには暇がない。何せキャッツアイよろしく夜の輪ゴムをかっさらったものだから、後方の茂みからサイレンが聴こえる。

(追手よ、三好……!)


以下

三好eyeによる脚色された世界


迷ってCAT'S EYE♪

magic play is dancing♪

月明かり浴びて♪

we get you……♪

mysterious girls……♪


アタイは闇夜に溶け込む黒猫のように、軽やかに舞い、近くの農屋に忍び込む。

アタイのような美少女が、まさかこんな豚小屋に隠れるなんて思わないだろう。

まして、肌の色だって人間のそれと変わらない。つまり、迷彩柄の服を着ているのと同じ。正に枯れ木を隠すなら山ね♪


忍法! 豚隠れの術!!


猿飛佐助の血を引いていた気がするアタイの才能は、ここでついに開花する!!

見よ! この見事な変装ぶり!

アタイは見事なサイドステップで、豚と豚との間に入り込む。

キツイ獣臭が鼻を刺すけど、いずれラーメンの材料になる子豚ちゃん、なんなら今からラーメンと言っても過言ではない。そう考えると、ストレスや目眩なんかより食欲が勝っちゃう♪


「あの小屋だ! あそこに違いない」


怒声といっしょにバタバタと数人のポリスメンが入ってきたらしいけど、おつむが固くなった昭和人間がアタイの忍術を見破れるわけもない!

見よ! どれがアタイか分かるまい!

アタイは正面に警官三人を見据える形で対峙している。もちろんアタイをカモフラージュしてくれる豚足たちも道ずれに……。


「ぶ、分身の術!?」


アタイはアタイの耳を疑った。

そういや最近めんどくさくて耳掃除もしていない。

……ここは一旦冷静になり、深呼吸。

所詮は豚と人とを見分けられない昭和人間。私の術を勘違いしているだけ。三好、落ち着くのよ……。勝機は一瞬。それまで豚になりきるの。

 右隣で干し草を食む母豚がブヒと鳴いた。

 左隣の子豚は尻尾を振りながらそのままの姿勢で地球に肥やしを還元する。

 私はそれ見てブヒと鳴く。

「警部。ここにはやはり豚しかいないかと……」

 追手が獲物をしまい込む瞬間をアタイ見逃さなかった。

 アタイ瞬時に己の目の前に立ちふさがる柵までの距離、高さを計算し、飛ぶ。

 それは冬空を舞う白鳥のごとく華麗に、そして蜂のような鋭さをもって……。

「がっ!?」突如としてアタイ襲う地味な痛みの正体は、意識が反転したときに気が付いた土の味が如実に表していやがった!

「警部後ろ!」

 志村後ろじゃないんだから……。って誰がお化けだよ!

 アタイの体はそんなノリ突っ込みさえもままならないスピードで転がっていく。

 転がるということは、アタイは玉なんだ。玉というのは古来宝物として重宝されたと何かの何かに載っていた気がするから実質アタイはやはり美少女!!!

 豪快に大人三人を跳ね飛ばしてしまった。でも、ほらこんな玉のような美少女を襲う連中のほうが悪いわけだし、ね♡

 かくしてアタイは先輩の元へと向かう。あだるてぃなわっかを万引きして。

「待ってな先輩……今、アタイの初めての土俵入りを先輩にあげに行くから」

 


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アタイはメイドで相撲取り 明日葉叶 @o-cean

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