第6話
-動け、あの子と同等の特性なら早く走れる、飛べるはず。だから、動け、
「動けえええええええ!!!!」
覚悟を決めて、踏み込む。蹴った枝は折れながらも私の足の力を限界まで堪え足場として機能してくれている。
「来な!!吹っ飛ばしてやらぁ!」
「チェストぉぉぉぉぉぉッ!!!!!」
なんでもいい、武器よ出ろとひたすら念じながら叫び赫魅に向かい急降下する。後ろに振りかぶった手の平に重みを感じて私は「其れ」を振りかぶる。
ガキィン、とした高い金属音が耳の中を支配する。振りかぶった得物は、大きい'鎚'だった。
「なぁっ!?」
大鎌で受け止めるも、重みで耐えかねたか鎌の刃が砕ける。受け止めた勢いでそのまま足を擦りながらも後ろに吹き飛ばされる赫魅。想像してた以上の威力があったのか、苦悶の表情をしていた。
「クソッッッッ、反則だろソレッッ!」
「それを言うなら貴女の大鎌だって、反則じみてるでしょうが。」
お互い動かない。いや、動けない。相手は想定外のダメージ、こちらもこちらで体力をかなり消耗しきってしまった。
「引き分けになんか、させるかぁぁぁぁぁ!!!」
叫びと共に死力を尽くし、大鎌が投擲される。真っ二つにされる、そう思った。
-既に決した
聞き覚えのない第四の声が場に響き渡る。
「カナデッ!その場から離れて!!今すぐにッ!」
ヒナの声で、私はなんとかバックステップで後ろに飛ぶも疲労で着地の足はもつれ、蹲る。次に前を見るとそこには白髪の女性が投擲された鎌を
'素手で受け止めていた'
「……何が、起きて」
白髪が一言。
「イキりすぎだ、鷹。」
その一言だけで、背筋に震えが登った。何者だ、この人は。
「ッ……!〔鴉〕がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「やはり力だけでなんとかなると思っているのは頂けないな。」
受け止めた鎌を投げ捨て、赫魅に歩み寄り、頭を掴んでは吊るす。同じ女性のはずなのに、私たちより数センチしか違いのない赫魅を片手で持ち上げていた。
「グゥッァァァァァッ⁉︎」
「現実でも、力こそあれば自分はなんでもできると言っては暴れていたそうだが、そんなものはただの不良だ。何一つ行動が伴っていない。確かにこの世界では才を奪えという令はあったものの、貴様はただ殺すだけだった、何一つ責任というものを負う気概は無かった。その様子であれば、身に余る才を身につけたとしても持て余すだけだ。」
鴉と呼ばれた女性は続ける。
「これまで奪った才は没収とし、還るがいい。」
鴉と呼ばれた女性の左手が、赫魅の胴を貫通した。
私もヒナも、その場から動けない。下手に動けば、あの子と同様に
「さて、私の役目は終わった。荒くれは嫌いなんだよな。」
なんて言った、今。
「役目……さては、この世界で戦いを私たちにさせた張本人か、アンタ。」
ヒナが口を開き、鴉に問いかけた。
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