第4話
くぁ、と欠伸。気がついた時には、この家にきた時とは真逆の昼間の明るさが窓から差していた。それにしても目覚めが悪い。元いた世界ではこんなにすっきりしない覚め方だった事は一度もないのだけども。
「やっと起きたのね。もう昼よ。」
え、この世界ちゃんと時間わかるんだ。
「なんで時間わかるのかって顔してるけど、一応何故か時計はあるのよ、電池式じゃないから一体何で動いてるのか検討も付かないけど、これも大方魔法なんでしょうね。電力無いくせに不思議なこったよ。」
確かに自分の寝ているところから割と離れたところで時計が動いていた、おそらく昨日の時点で見えなかったのは灯の届かない場所だったから暗さで隠れていたのからか……。
「あとこの世界では、なぜかお腹は空かない。実質的に食料は必要ない。一時的にいるだけだからなのかどうかそれはわからないし、食料は要らなくても水分だけは補給しないといけないのがまた不思議なのだけど。」
水は要るけどそれ以外いらないというのはまた面白いなとは思った。
「そういえば時計の話しで魔法って言ってたわね、この世界ってそう言うのが使えるの?」
「まぁ、一応という感じね。ただそこまで種類も多いわけでもない。基本的に、飛ばされた私達は風を起こす魔法が使える。あとはデカい武器を呼び出したりとか火や水を扱えたりとはあるけど、記憶にあるようならRPG見たく、そんなにド派手なものではないわね。」
「昨日空を滑空してたのも?」
「あれは魔法ではなく体質。鳥と同じように、今の私たちは風邪を体で捉えられるようになってる。」
ある程度は理解はできた。この世界には魔法があって、私達は魔女みたいなもので、戦わなければならない、と。
「あと、最後に生き残った子がどうなるかはわからない。それが怖くて、私はあまり戦わない。少なくとも挑まれない限り自分から仕掛ける事はない。」
つまり昨日のあれは防戦一方ってことか。それにしてもなかなか情報が多いような気がしなくもない。そうこう考えているうちに彼女は玄関らしきドアを開け外に出ていた。
夜に見た草原とうって代わり、周りは木々が茂る森のような場所だった。ような、というのは自分の想像していた森よりも木々の間隔が空いており、適度に光が地に向かって差し込んでいるからだ。湿り気が強く鬱蒼としたイメージしかなかったために、少し驚いてしまう。
「そういえば名前聞いてなかったわね。」
深呼吸する私に彼女が聞いてくる。
「私はヒナ。ツバメに連れてこられた魔女、とでもいえばいいかしら。改めて、あなたに敵意は無いと伝えておく。」
「私はカナデ。連れてきた鳥は鷹だったか鳶だったかわからないけど。」
「「これからよろしく。」」
互いに手を突き出し握手を交わす。
その瞬間、ズドンと重い爆発音があたりに響き渡る。
「へぇ、またヒナの仲良しごっこか。次は誰かなぁ……クックッ。」
厨二臭い笑い方をしながら人影が近づいてくる。
「仲良しこよしの自己紹介でもしてたみたいだから私もしてあげる。名は赫魅、連れてきた鳥〈ヤロウ〉は鷹だ。」
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