幾つもの過ち
2019年3月上旬。
私は旦那と離婚しました。
離婚の理由はまぁ、旦那の色々が塵も積もれば山となったと言う事もございますが、そこは割愛させて頂きます。そこは比較的一般的な理由ですので、大体お察し頂けるかなとは思います。
ただ問題は、そこじゃなくその「経緯」です。
先に話しますと、私たちの離婚を後押ししたのが共通の知人によるものだと言う事です。彼は元々旦那の後輩であり友人だと聞いていて、私も多少の面識はありました。
快活でしたが人柄も良く、奥さんも元気で明るい人でした。当時はその友人にも二人目のお子さんが誕生していたので、話も子供の話などが多かったと思います。
離婚に至るまでに、旦那は仕事のストレスで家に帰ってこなくなりました。早朝までどこかにいて帰って来ても家族と顔を合わせることなく、すぐに家を出ていく。そんな日々が一か月くらいあったでしょうか。
旦那のストレスによる鬱状態は私も知っていたので「無理をしないで今は休めばいいと思う。稼ぎが気になるなら私も働きに出ることは出来るんだし、今は体優先でいい。転職も考えてみたらどう?」と話をしてありましたが、何を思ったのか家に戻らなくなったんです。
私たちには子供が二人います。
帰ってこない父親に、子供たちは「お父さんどうしたの?」と気にならないわけがないんです。
そんなある日、見知らぬ番号から電話がかかってきました。
私は普段、知らない番号であったりフリーダイヤル、非通知は絶対に出ないのですが、その時はなぜか出たんですよね。
それが、最初の過ちでした。
電話はその友人からだったんです。
「(旦那が)離婚をしたいと言っている。いや、俺も止めたんだよ? 支えてくれようとしてんじゃんって。だけどあいつさ、家族が重荷なんだと。家族とか仕事とか子供とか、もう全部の責任を取りたくないって言ってて……」
耳を疑いました。
そんな風に思っていたのかと、ショックにも似た気持ちでいっぱいになりました。そしてその言葉を鵜呑みにした私は怒りも覚えました。
仕事も家族も、ましてや子供の責任も取りたくないだなんて何を考えているのかと。だから元々別れる気持ちに火がついて承諾したわけです。
お気づきになりました?
ここに私の第二の過ちがあるんです。
“友人の言葉を鵜呑みにした”。ここです。なぜ当人に確認をしなかったのか。
でもね。当時、私から連絡をしても旦那は出てくれなかったんです。が、どうやらそれにも実は裏があったのだと思います。
旦那は友人に相談に乗って貰っていたようです。よく彼の家に行っては話をしていたのでしょう。でも、実際は友人に毎日のように呼び出されていたんだと思います。そこは旦那に確認をしていないので推測でしかありませんが、この後話させて頂きます私自身の実体験から、そうだと確信に近い思いでいます。
友人は何を思ってこれからお話をするような行動を取ったのか。今となっては知ることも出来ませんし、知りたくもありません。そして同時に、その彼の言葉にまんまと踊らされてしまった私自身にも腹が立ちますし、旦那にも腹が立ちます。
記入された離婚届けは指輪と共に、友人が届けに来ました。
「顔を合わせたくないと言っている」と言って私に書類を預けて友人は帰りました。
この辺りは少しうろ覚えなのですが、その日だったか翌日だったか、それとも数日たった頃か……。またその友人から電話が入ったんです。それも相当狼狽えて逼迫した様子でした。
「あいつが徘徊を始めた。どうやらそっちに恨みを持っているみたいだ。危ないからその家から離れた方がいい。あとあいつは娘に凄く執着してる。娘も危ないぞ。他に身を隠せる場所がないならうちでもいいけど、どうする?」
不安を煽るような口調でした。
そんな話を聞かされたこちらは、正直これからどうやってやっていくか不安の中にあったのもあり、旦那が鬱状態だったのもあり、その彼の話もあり得なくはないと取ったんです。
「下手に兄弟の家に逃げ込むより、あいつにとって俺はブレーンだからうちにいた方が安全だと思う」
これが第三の過ちでした。
人ってね、不安の中にあると判断を誤るんですよね。しかもそれがどんどんどんどん深みへと誘い、はまっていく。
私は見事に、その深みにはまって行ったんです。
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