操る人、操られる人

陰東 愛香音

話を始める前に


 こんにちは。陰東かげあずま 一華菱いちげひしと申します。

 初めましての方はどうぞお見知りおきを。仲良くして頂けると嬉しいです。


 突然ですが、私は人を笑わせたり笑ったりするのが大好きです。ツイッターを見て頂ければたぶん分かりますが、私は楽しいことが好きです。


「そりゃあお前、誰だってそうだろ」


 そう思いますよね。確かにそうです。

 いつだって笑って楽しく過ごしていたいのはみんな同じだと思います。


 さて、ここにこれから記します内容は、そんな私とは真逆のことだらけです。


 ざっくりと私の性格を説明しておきますね。

 私は4人兄弟の真ん中です。実際は下から二番目。私の両親は私が小学1年の頃に離婚をしまして、それがきっかけでかどうか忘れましたが、やたらと人の顔色を窺ってばかりで自分の意見を言えない人でした。

 「でした」と言うのは、今は「言うように頑張ってる」段階でして、まだその気は抜けていませんけれども。


 とりあえず、私はとても臆病で、強い意見を持つ人には反論すらしませんでした。と、言うか出来ないんです。怖くて。


 何か言ったら怒られる。機嫌を損ねてしまう。だったら何も言わないでその人の言う通りにしていれば怒られることもなく、機嫌を損ねることもなく、相手も気持ちよくいられる。だから自分は何も言わないでいよう。何があっても自分さえ我慢していれば問題ない。そうすれば全部丸く収まるはずだから……。


 ずっとそう考えていました。


 お気づきの方いらっしゃるでしょうか。

 この考えは「大間違い」なんです。そうすることで実際は自分を含め、他に被害が及ぶことになり、それは一歩間違えればやがて大きな事件に結びつくことになるんです。


 この考えは自分を含め、誰一人守ることはできません。

 自己犠牲は美しくありません。ただの理想です。仮に、本当に自分だけが傷ついて終わるなら、それはそれで他を守れることになるのかもしれませんが、現実はそうはいかないのです。


 少し前にあった事件、覚えていらっしゃるでしょうか? 


 ある母子家庭のお母さんが、ママ友の言いなりになって自分の子供を餓死させたと言う事件。

 「ママ友」と呼ばれていた女性は、そのお母さんを洗脳し、支配していたと。


 記憶にまだ新しい事件だと思います。


 私はその事件をテレビで見た瞬間、とんでもない憤りを覚えました。同時に、とても悲しくてとても残念で仕方が無かったんです。悔しくて涙さえ出ました。


 なぜ、のか。


 誰でもそう思いますね? でもね……当事者になるとそれに気付けないんですよ。通常ならあり得ないその世界が「普通」だと思ってしまうんです。それが相手によって「普通」だと思いこまされるんです。まさに洗脳です。


 そのお母さん。ママ友に支配されて言いなりになってしまったが故に可愛い我が子を餓死させてしまって、今とても後悔し悔やんでも悔やみきれずに苦しんでいるんじゃないかと思うと、いたたまれません。そのお母さんはきっと死ぬまでこの事を胸に抱えて後悔と共に生きていくのかと思うと、辛くて泣けてきます。


 ……もう、お分かりですね?

 これは、私も実際、その「当事者」になったから言えることなんですよ。


 これからお話します内容は、私の後悔と懺悔を込め、同時に同じような被害者や加害者をこれ以上生まない事を願って書かせて頂きたいと思います。


 人にはそれぞれ人格があり、尊厳があります。

 それらを奪う行為はどんな理由があれ、どんな人であれ、決してしてはいけないことです。



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