【第五章】耳を掩いて鈴を盗む

美醜戦争の勝利に沸く地球。首都の目抜き通りは凱旋将軍たちと歴戦の勇者を一目見ようと大勢の国民が詰めかけていた。パレードの目玉は大統領のオープンカーとそれを先導する英雄マブゼ大佐の飛行舟艇だ。戦勝を称えるマーチに乗って手拍子で一行が迎えられる。その時に事件が起きた。

実況中継のアナウンサーが余計なコメントを挟んだのだ。マブセ大佐に子供が生まれる、と。粋な計らいだとアドリブを挟んだつもりがデルタ・イーザとアルフォンサ・ロマにとってサプライズとなった。

二人ともマブゼの熱狂的なファンだったのだ。ショックを受けた二人は早速、嫌がらせを開始した。普段から軍用回線をストーキングする程のサイコパスだ。そして顔面偏差値を手っ取り早くあげる近道は社会的な化粧をすること、即ち顔を広げる事だ。二人は面識のない筈の大佐との関係を吹聴して株をあげた。ところが大佐におめでたとあっては嘘が台無しになる。出産祝いを贈れないからだ。大佐の顔に泥を塗り、なかった事にするしかない。そして二人は舟艇をハッキングし重罰を受けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る