顔面解放軍
「泣きっ面に濃硫酸ブチかましてやれ」
爆音と腰の動きがマブゼを起こした。艶めかしい灯に娼婦達が揺れている。酒場を仕切る女は顔面の縫い傷と名前が一致した。
「よせ。金蔓は丁重に扱え。お前、脱走兵だろ?」
*は父に命の値段を示した。
「ああ、幸運だったな」
「それは私の台詞だ」
喉元に刃物が当たる。父を拾った顔面解放軍は不当な偏差値を付けられψ業者に酷使される民間人だった。職場放棄し地獄で抗戦している。
「放してくれ。娘が街にいるんだ。探して助けたい。もうすぐ地獄が滅ぶ」
マブゼはつとつとと危機を説明した。
「おや、交渉できる立場かい」
「代償は払う」
ふん、と*は鼻を鳴らした。銃を突きつけ、「今すぐに地獄を見るかい?お代はタダだ。それとも…」
「判った!天国の切符をやる。要塞の緊急脱出艇に乗せてやる」
すると*は父を蹴った。「薄情な親だね!お嬢の命はもっと高いだろ」
「判った。幾らいる?」
*は父の端末で残高照会した。「娘の為に随分貯め込んでるねぇ」
「女優志望だ」
「ほう?拝ませて貰うよ」
勝手に画像フォルダを閲覧する。そして*は仲間と爆笑した。
「美人じゃなけりゃアンタごとぶっ殺す積りだった。裏切るブスは屑だ。で、その学資も豚に真珠だねえ。金はカラダで稼ぐもんさ」
こうして*は私の養育費を全て奪った。
解放軍は神出鬼没だ。地下道にも明るい。父は*達と街を目指した。
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