メア

「地上を焼き滅ぼすですって?!」

余りの暴挙に父は反論した。「百万人都市を『ジェル』で溶かすなんて」

それは地形の凹凸を無くすほどの強烈な有機物質だ。有害無益の原住生物ごと地球の色に染める。

「ここは監獄惑星ですよ。度が過ぎる兵器がなぜここにあるのか。戦争でもする気ですか」

すると「マブゼ大佐。言った通り美醜戦争再燃の懸念がある。今まで伏せていましたが…」

マリ所長は味方も知らない機密情報を出した。ψ業者は鉱山から採れる副産物や廃坑をフル活用して次の戦争に備えている。顔の次は心の美醜を争う時代が必ず来る。人心を支配する最も効率的な方法は恐怖だ。

一夜で髪まで漂白する。「美麗ウイルスもその一環です」

マリは天国をロックダウンすると言い出した。既に通信は途絶している。

「冗談じゃない!私にはメアという一人娘がいるんだ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る