paw-31 Believe me - 01

「――ほぉ、あれは考えたな」

 モンシャ達を取り囲む壁を目にした仮面紳士はふっと笑う。

「先程の意趣返し、という訳かな? ジョドォ殿も中々に根に持つねw」

「今度は土壁かよ――そっちの魔術師も中々に多芸だな、え?」

 激しく剣戟を躱しながらも、何故かこの2人は世間話のように会話している。

「一応は、師団随一の遣い手だからねぇ――とは言え、それと同等以上にやり合えるそちらも、かなりのものじゃないか」

「は! アイツが規格外なのは今に始まったこっちゃねぇからな! ――まぁ、そのリパビリ代わりになってくれたのは礼を言わねぇとな!」

「それは気が早いと思うよ? 彼女、今から何をするつもりだと思う?」

「さっきやられたみてぇに雨でも降らせようってかw」

「違うね。彼女、水系はあまり得手ではない。おそらくは――極大炎弾ギガ・ファイア・バレットあたりをあの中に叩き込む」

「んだとっ!?」

「そのための極大土石防壁ギガ・ストーン・ウォールだろうねぇ。あれなら大抵の炎なら耐えられる」

「あいつらを……蒸し焼きにでもする気かよ!?」

「まぁ、死にはしない限りは大丈夫さ。ウチの姫もいらっしゃるし、お誂え向きに大聖女様もおいでだ」

「そういう問題じゃ無ぇだろうがぁっ!!」

「彼女、ブチ切れちゃうと時々見境が付かなくなっちゃうのが玉に瑕でねぇ」

「てめぇ、ちょっとそこ退きやがれ! あの馬鹿を止めてくる!!」

「おいおい、試合中だよ!? それは通らないな」

「ったくいちいちその言い方がヤロウみてぇで腹が立つ! いいからとっとと退きゃぁがれ!!」

 ハーシィの長槍が閃く。が、それを難なく躱す仮面紳士。

「……やれやれ、熱くなると攻撃が単調になる癖は直ってないか」

「喧しいっ!!」

 2人の闘いはより一層激しさを増し、穂先と剣とが発する火花はさながら燦めく星のようであった。


 魔術師ジョドォの頭上で成長する巨大な火球を見たハーシィの絶叫が谺する。

「モンシャ! リータ!」


=^ΦωΦ^= =^・×・^= =^◎ω◎^= =^・д・^= =^Φ*Φ^=


 土壁と火球はコロンと仮面少年にも見えていた。

「……ジョドォ様がアレを使った、ということは……でもまさか!?」

「うわ! 何だあれ! 凄いなぁ(゚Д゚)」

「随分暢気に構えてるけど、アレってきっと、中の2人を蒸し焼きにするつもりだよ?」

「蒸し焼き……?」

「あの土壁は並大抵の炎では崩れない。かといって今更雨を降らしても間に合わないし……」

「でもだいじょーぶっ!」

「何で!? どう考えたって逃げられないじゃない!?」

「ご主人なら何とかするモンっ!!」

「どこから来るのさ、その自信……」

「世界中の誰も信じなくったって、ボクはご主人のこと信じてるからねっ!!」

 一点の曇りも無く言い切ったコロンの笑顔に仮面少年は気圧されたように一瞬、拳を引いた。

「君、今ならまだ間に合う。行ってジョドォ様を止め――」


 その刹那、土壁から何かが噴き出した。

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