paw-30 仮面の闖入者 - 05

 一方、コロン vs 仮面少年。

「てぇぇぇーい!!」

「うりゃりゃー!!」

 なんかこちらは、少年漫画の格闘物のような好カードになっている。

 仮面少年はその全身に淡い黄色の闘気オーハを纏い、端正かつ基本に則った正確な攻撃を放つ。

 一方、初心者も初心者のコロンは、その正確無比の攻撃をほぼ野生の勘のみで凌いでいた。伊達に前世で野良猫をやっていないw

「くっ! なんで! こんなに! 出鱈目な動きなのにっ!」

 思ったより攻撃が当たらず、焦りが見え始めた仮面少年。とは言えコロンの攻撃も殆ど当たっていないため、闘いとしては膠着状態だ。

 ただ、その激しさは観客ウケしているようで、そこかしこから各々の贔屓になった可愛い選手達に対して声援が飛んでいる。

「うわっ! うはは! 凄い! すごーいっ!」

 一方のコロン、先程の本能に任せた馬鹿力でなく、純粋に闘いそのものを楽しんでいる様子。まるで子猫がじゃれ合っているように。

 彼の双眸はキラキラと輝き、その朱い闘気オーハも歓喜に明るく染まっているようだ。

 性格もスタイルも対照的な両者の闘いは、観客をも巻き込んでいよいよヒートアップしていく――。


=^ΦωΦ^= =^・×・^= =^◎ω◎^= =^・д・^= =^Φ*Φ^=


「ふ…ふふふ…ふふふふふ……これで漸くお主と正々堂々、勝負が出来るのう!!」

 魔力がほぼ完全回復して、やる気…というかる気満々の魔術師ジョドォ。

「やっぱりやらなきゃ駄目かぁ……(´・ω・`)」

 こちらは止めたくてしょうが無い様子のモンシャ。

 彼の後方でリータは黙って控えているが、ジョドォの発言には一瞬、殺意を漲らせた視線で彼女を睨んだ。

「……どうしようかなぁ…火だと火傷するし、雷だと痺れて痛いし……(´・ω・`)」

 先程のリータの注意もあり、真剣に相手を気遣って攻撃方法に悩むモンシャ。

 その様子に一瞬、毒気を抜かれたように目を見開いたリータの眼が、慈しむかのように細められたことをモンシャは知らない。


「さて、覚悟しぃやぁー!! 極大土石防壁ギガ・ストーン・ウォール!!」

 練りに練ったジョドォから放たれた詠唱は、まさかの土系魔法。しかもこれはどちらかというと味方の防御のために使う物だ。

 意表を突かれたために、一瞬反応が遅れたモンシャとリータ。

 その彼らを取り囲むように重厚長大な土―というより石に近い硬度を持つ防壁が顕現する。

 周囲をぎっしりと取り囲まれ、落とし穴の底にでも閉じ込められたようなモンシャとリータ。

「――しまった! ぬし様――油断しました。まさかこんな手を――」

 狭い防壁内のため、ほぼ抱き合うような状態で立っている2人、モンシャはこんな時だが大いに照れながら、

「だ、大丈夫ですよ、リータさん。僕が何とかしますから」

「そうではありません! 貴方がまた傷ついてしまったら――」

 涙まで湛え、普段の冷徹な表情は置き忘れて来たかのような必死の訴えにモンシャはドギマギしながらも安心させようと敢えて暢気に解説する。

「――まぁ、流石は王国魔術師団の筆頭格だけはありますねぇ。さっきの極大炎弾ギガ・ファイア・バレットだけでも凄いのに、土系までいけるなんて――」

「そんな暢気な――!」

「やだなぁ、もう、少しは信用して下さいよ――っても無理ですよね、こんなんじゃ(^^;」

 たはは、と情けなく笑うモンシャ。しかしリータは、

「先程、私がを言ったばかりに、無理しておられるのでしょう! でしたら――」

 リータの勢いに押されて顔を紅らめつつも、モンシャはきっぱりと言い切った。

「まぁ、相手はたかが土壁、気を遣うこともない分、人を相手にするより楽なもんですって」

 彼は右腕でリータをしっかりと抱き寄せ、空いた左手を突き出すと、詠唱した。

天破流水オゥドシェル一気通貫ペネトラシォン

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