paw-25 聖堂御前試合 - 04
「暫し待たれよ、選手交代だ」
ジョドォの後ろからいつの間にか近づいてきた仮面の紳士が彼女の方を叩いた。
驚いて振り向くジョドォ。何事か反論しようとするが、彼の優雅なウィンクに思わず紅顔してそれを引っ込めてしまう。
「あ、無論、君は残って貰うよ、ジョドォ殿? ――救護班、そちらの二人を頼む」
フラフラのキーヤ子爵とラーズン男爵が神官の肩を借りて闘技場を後にすると、それと入れ替わりに小柄な少年―彼も仮面を付けている―が入場してきた。
魔術師ジョドォ、金髪の仮面紳士、黒髪の仮面少と新たな陣容に入れ替わり、紳士が前に出て優雅に一礼する。
「――まぁ、そういった状況なので、選手交代をしたいのだが、そちらは宜しいかな?」
突然のことにポカーン(゚Д゚)としているモンシャ達3人。
観客も暫くはざわざわしていたが、次第にそれは熱を帯び、「やれー!!」とか「いいぞー!!」とか賛意の声が大きくなる。
まだ固まっているモンシャの肩を叩いたハーシィは、
「まぁ、いーんじゃねぇか? 今度のはちったぁ歯応えがありそうだしな」
結構やる気になっている。まぁ、先程の試合が呆気なかったので彼自身も暴れ足りないのかも知れないが。
それよりも、モンシャは別に気になったことがあった。
「あの仮面――認識阻害の魔法が付与されてるね。何だろう?」
「ま、相手もお貴族様みてーだしな。あんまりほいほい顔出しできないような止ん事無きお偉いさんなんだろうさ」
「じゃぁ、無理に看る必要もないか――それより」
「あぁ。あの気障野郎の相手は俺だろうな。剣を持ってやがるし。それより――」
と、コロンの方を向くハーシィ。
「恐らくだが、あっちの
「?(・д・)」
「あー……つまりはだな、拳と拳の戦いになる、ってこった。お前、動物相手は兎も角、対人戦の経験なんて無いだろ?」
「さっきの大きい人は……?」
「ンなデカブツは野獣と似たよーなモンだから問題外だ」
身も蓋もなく切り捨てられたデカ…もといラーズン男爵、哀れw
だからよ、と彼にしては珍しく言葉を選びつつ続ける。
「相手もスピードでは同等、というかお前を上回ると思う。先ずは、
「隙…?」
「あぁ。お前の火事場の馬鹿力なら、一発当てればなんとかなる――多分」
語尾が若干トーンダウンしたものの、実際問題、現時点ではそれが最適解というのはモンシャも同意見だった。
「――話は纏まったかな?」
仮面紳士の玲瓏たる声が響く。
「――おぅ! いいぜ、再戦と行こうじゃねぇか!」
ハーシィが吼えるように応え、再戦の幕が上がった。
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