paw-22 聖堂御前試合 - 01
眼前には舞踏会から抜け出して来たような仮面を付けた剣士。
彼と並んで構えを取る拳闘士と思しき小柄な仮面の少年。
突如として乱入した彼らに対峙するモンシャ、ハーシィ、コロン。
緊迫するそこへ突如舞い降りた仮面の少女は悪戯っぽく微笑むと優雅にカーテシーを――。
=^ΦωΦ^= =^・×・^= =^◎ω◎^= =^・д・^= =^Φ*Φ^=
「――うわぁ…人がいっぱいだぁ……(゚Д゚)」
「結構、見物人が多いね」
「つーかよ、試合するの俺らともう一組だけなのかよ?」
大聖女への謁見から解放され、昼食を終えたモンシャ一行。
現在、彼らは大聖堂の中庭に仮設されたと思しき闘技場に案内されたところである。
先程のハーシィの発言も尤もで、仮設の客席にずらりと並んだ観客―おそらくは殆どは貴族だろう―に比べ、試合の出場者は彼らともう一組しか見当たらない。
『出場者は各々、前へ――』
会場から進行の声が響く。
「おいおい、マジで俺らだけかよ!?」
「そうみたいだね――ところで、ハーシィ」
「ん?」
「相手の人たち、近衛騎士団じゃないかな?」
「何でそう思う?」
「あの前衛の人の剣の構え方とか――」
「あー……てこたぁ、後衛の魔術師っぽいのは――」
「魔術師団だと思う」
「てこたぁ、攻撃魔法のえげつないのが来るのは覚悟した方が良さそうだな」
「うん。そっちは何とか凌いでみるけど」
「あぁ。信用してるぜ、相棒?」
「ご主人ー!! ボクは? ボクは?」
「もちろん、頼りにしてるよ、コロン」
「にへへー(=^-^=)」
「お前は兎に角、"ご主人"の守りに徹しろよ、コロン」
「うんっ!! まかせてっ!!!!( *`ω´*) ≡3≡3」
こいつが一番の不安要素なんだがなぁ……という言葉を途中で呑み込んで、ハーシィは前に進んだ。
=^ΦωΦ^= =^・×・^= =^◎ω◎^= =^・д・^= =^Φ*Φ^=
『それでは御前試合を開始する! 両者前へ!』
モンシャ達と対戦者達が試合場中央に進む間に両者の簡単な紹介がされる。これは見学者に向けたものだろう。
「あの野郎は貴賓席に居やがるな」
「あ、居るね! あれ、隣の人って――」
「あぁ、大聖女様と野郎の間に居る美女か?」
「うん。あの人って、確か――」
「あぁ。恐らく陛下の名代ってところじゃねぇか?」
そんなことを話していると中央に着いた。
対戦相手の3人は皆一様に体格が良く、前衛の2人は大柄なハーシィと並べても見劣りしない程に鍛えられた体躯である。
前衛が剣士と剣闘士、後衛の細っこい女が魔術師か――とハーシィが考えていると、不意に向こうから声が掛かった。
「我は王国魔術師団、第三隊筆頭魔術師、ジョドォ=ローン也。そちらの魔術師殿に問う」
「は、はい!?」
「汝の得意とするは炎と聞いたが、
「へ!? え、えーと僕―自分のは1種類だけなんですが……」
「あ、コラ、馬鹿正直に答える奴があるか!!」
焦って止めたハーシィだが、手遅れ。
その答えに一瞬唖然とした相手の魔術師は呆れたように質問を続ける。
「ひ、1つとな……それは
「あ、えーと、術式はちょっと弄ったので勝手に
「何と!? 自己流で基本術のみとな!?」
「はい、まぁ。なんか済みません(´・ω・`)」
「……こいつのお人好しは底無しだってのをすっかり忘れてたわ……」
魔術師同士の会話に頭を抱えて溜息を吐くハーシィ。事前に相手にそこまで情報開示してどうすんだよ、と顔に書かれている。
ふと見ると前衛の2人も呆れたような顔から徐々に嘲笑になりつつある。
相手の態度にムッとなったものの、気を取り直して構えた。
『それでは試合開始!!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます