paw-06 狩りに行こう! - 01
「――で、ウチに来た、と?」
「全くもってお恥ずかしい……(´・ω・`)」
翌朝。
モンシャはコロコロ(自称)を連れ、ハーシィの家に来ていた。
「そりゃま、確かにその格好じゃなぁ……」
コロコロ(自称)を見て溜息を吐くハーシィ。
コロコロ(自称)は、急場凌ぎでモンシャの予備の服を着ていたのだが、完全にオーバーサイズのため、袖も裾も捲るだけ捲っており、動きにくそうなことこの上ない。
にも関わらず何故か本人は「にへへ~ご主人の匂い~」と顔が緩みっ放しなのだが。
「服代くらい貸すけどよぉ、その坊主、ホントに昨夜の子猫なのか? いや、お前に限ってヤバい趣味に手を出して無いとは思うが……」
「ボクはコロコロですぅー!」
ぷー、とほっぺを盛大に膨らませてBoo!という調子でコロコロ(自称)が叫ぶ。
「うーん……しかしそうなると、この坊主、まさか……」
よーしっ! と某警部のように手を叩いて、ハーシィはモンシャに向き直った。
「こうしよう。服代は返さなくていい。その代わり――」
365日四六時中金欠病のモンシャはその提案を拒否する選択肢を持ち得なかった。
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この世界の半獣人には、稀に
人の形態から、その先祖である動物本来の姿に"変身"してしまう能力。
ただ、それには膨大な魔力が必要と言われ、血統的に魔力の高い王家の一族、或いは高位の魔導師や聖職者などに限られる。
市井の人々、ましてや年端もいかない子供に顕現することは確率的にも限りなくゼロに近い。
「――だがそれでも、その坊主の言うことが本当だとしたら、だ」
「だからホントだって言ってるのにー!」
「それは一先ず措いて、もしそうなら、坊主には魔導師の素質があるってことになる」
「……それは、そうだろうけど……」
「なら、それを伸ばしてやれば坊主も自分の食い扶持は稼げるし、お前もそれを鍛えがてら稼げる。Win-Winじゃねぇか」
「……それ、君の分のWinが抜けてるよね?」
じとーっとハーシィを見るモンシャ。ハーシィは在らぬ方を見て口笛を吹いている。図星か。
「そ、それは兎も角、だ。坊主、お前どうやってその姿になったのか覚えてないのか?」
「目が覚めたらこーなってんだもン」
そっぽを向いて言うコロコロ(自称)。ハーシィはすっかり嫌われたようである。
「ま、その辺もおいおい判ってくるだろうよ。んじゃ、頼りにしてるぜ、先生?」
「はいはい」
はぁ、と肩を落としてハーシィに続くモンシャ。その横にぴったり付いて駆けるコロコロ(自称)は、先程寄った店でぴったりの服を誂えたばかりだ。
ハーシィの提案とは、服代の代わりに彼の依頼に付き合うこと。
今から向かう森の奥で彼らがやろうとしているのは――野獣狩り。
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