ばーさす・しろあり

「ほう…流石は猖獗を極める院政の頂点。隔離病床の新設、医療関係者の促成栽培、マスク・検査キットの増産、抜かりないですな」

凱・紀一は世界各地から届く最新の報告を讃えた。クレーン車やユンボが一斉に首をもたげ、演舞するように大地をえぐる様は圧巻だ。

「多国籍の工兵部隊が急ピッチで病院を爆築しておるわ」

「機械類の腐食はどうやって凌いだんです?」

「これだ!」

カァン、と軽やかに椀がどこからともなく転がり出た。

「おおう。そう来ましたか!」

K博士が漆器を拾い上げた。

「そうだ。木だ。もっともそれは一部に過ぎんよ。鋼鉄にも勝るとも劣らないありとあらゆる代替材を開発した。K博士といえども白蟻の品種改良に今から着手できまい」

うははははは!と円堂に哄笑が響き渡る。他の石碑達も貰い笑いする。

「ぐぬぬ!」

きりきりと奥歯をきしませる紀一。

「他に術はなかろう。なあ、K博士よ。子供じみた意地は捨てて、仲良く異星人の下僕を務めようではないか」

ボス岩は圧倒的勝利を宣言した。


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