第16話 うなされる

 湊音と李仁は布団の中にいる。しかし何かにうなされているようだ。


「うああああああ!!!」

 と湊音は体を起こしてゼーゼーと息を荒立てる。横で寝ていた李仁は目を覚まして湊音の背中を撫でる。


「学校行かなきゃ」

「大丈夫よ、代わりの先生がいるから」

「剣道場も開けなくちゃダメなんだよ」

 湊音はやめた教職の仕事の夢を見たのだろう。かなり混乱している。


 一時間後、ようやく落ち着いた湊音が寝付いたのを確認した李仁は、今夜久しぶりにこうなったことを日記に書き記した。


「ミナくん……」

 困り果てた李仁は湊音の首に手をかけた。強く強く、しかし湊音は声をたてない。


 李仁の指がだんだん食い込み、両方の手が触れ合う。



「あああああっ!!!」

 李仁は叫んで起きた。今度は自分の息が上がっている。はあはあはあはあ……。

 手が震え、汗がダラダラと流れるのを李仁は気づいた。首を絞める感覚が残っている。


「まさかっ!?」

 と、横を見ると湊音はスースーと寝ていた。全く起きる気配はない。少しほっとする李仁。


「わたしの大声でも起きないくらいちゃんと寝られるようになったのね、ミナくん……」


 李仁は汗を流しながらも微笑んで湊音の頭を撫でる。


「シャワー浴びてこよう……」

 李仁はフラフラと浴室に行くのであった。


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