第3話 結婚記念日

 湊音は李仁の帰りを待つ。鼻歌まじりで微笑みながら台所で料理を作る。


 メールでもうすぐ帰るとの連絡にさらに心踊る。


「ただいまー」

 もう帰ってきたのか、あっという間だと思いながらも声のする玄関へ向かう湊音。


「おかえり、李仁」

「すごく機嫌がいいね」

 李仁は笑う。そんな彼は何か後ろに隠している。


「だって結婚記念日じゃない……」

「だよねぇ」

 と李仁は靴を脱いで鞄を置き湊音の前に跪く。そして後ろに隠していた花束を差し出した。


「ミナくん……」

「はい」

 2人は照れる。いつもは背が高い李仁が湊音を見下ろすが今日は違う。


「愛してます」

「僕も……愛してます」

「……やっぱり恥ずかしい」

 花束に顔をうずめる李仁。


「男らしいことするの恥ずかしいわ」

「照れてる李仁可愛い」

「もぉおおおおー嫌ぁっ!」

 普段はオネエな言動な李仁は顔を真っ赤にする。


 湊音もしゃがんで花束ごと李仁を抱きしめる。


 結婚する時、2人は同性同士乗り越える壁が人よりも多い、共に乗り越えようと誓った。あれから数年、確かに色々あったし、喧嘩もしたし、湊音も病み仕事を辞めた。でも2人は手を離すことはなかった。


「あいしてる、李仁」

「わたしもよ、ミナくん」


 2人の結婚生活、まだまだ続く。

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