魔王とさばくのいきもの

 見渡す限り砂の地平線。

 地と空が真っ二つに分かたれたその境をひとつの影が飛行している。


「いかがですか、魔王様ぁ?」

「意外と快適」


 アルの返答に、翼を生やした魔族の幼女ロベリアは「くっふっふ~」と満足げに笑う。


「……浮かれてるところ悪いんだけど、落とさないでよ。私、この高さから落ちたら普通に死ぬからね?」

「そんなことしませんとも。魔王様の安全は、アタシがこの命に代えても保障いたしますわぁ」


 後ろからアルを抱えたロベリアの両手に力がこもり、背中に幼い身体が押し付けられる。彼女の力ならアルをそのまま握り潰すことも可能だろうが、小さな手からは痛みや不快感を与えないよう、しかし決して離さないという力加減きづかいを感じる。

 どうやら安全を保障するという言葉に嘘はないらしい。


 アルはロベリアに抱えられて砂漠の上空を飛行していた。

 ロベリアとはこの地に飛ばされる前にひと悶着も悶着も起こした間柄である。そんな彼女と二人きりで行動しているこの状況に「今日は色んなことがあるなぁ」とアルは少々疲れ気味にため息をついた。


「ど、どうされましたか、魔王様ぁ? 何かご不快な事でも……」

「なんでもないから、ちゃんと掴んでて」

「は、はぁい」


 アルたちと対峙していた時はもっと高圧的というか高飛車な態度だったはずなのに、なんともな変わりようである。

 砂虫の襲撃から助けてくれたのはロベリアだった。

 魔物の森からの再戦となることを覚悟した一行だったが、なんとロベリアはアルたちに同行を求めてきたのである。

 正確には魔王アルの配下になることを、だが。


 ロベリアが魔物の森へと向かっていたのは、魔王が配下を集めているとの噂を聞きつけたからだった。ハスタの館を訪れたのも、王国有数の術師の首を手土産にして己の力と地位を確保するためだ。

 しかしアルと戦ったことで、彼女こそが魔王なのだと知ることとなった。

 ロベリアにとって自らが仕えるべきは本物の魔王であって、魔王を自称する偽者ではないのだそうだ。


アレグエンには一応命を助けられたことにはなりますけれど、そのあと魔王様たちと諸共に消し飛ばされかけていますもの。わざわざ恩に着る必要もありませんわぁ」


 むしろウルドがロベリアをアルたちと同じ結界内におさめてくれていなければここにはいなかったのだから、借りがあるとすればそちらだと言う。

 アルに一度喰われかけていることについては「貴女様が魔王であると気づけなかったアタシが全面的に悪いのですわぁ。何ならここでその罪を処罰いただいても結構」と頭を下げられてしまった。


 もちろん、ロベリアの参入について揉めなかったわけではない。実際に戦闘を行ったエーファにはさすがに「危険だ」と猛反対された。

 彼女からすればいえの一室が吹き飛ぶ一因になった上に怪我もさせられているわけなのだから、もっともな言い分である。


 が、反対だったのはエーファだけで、クリムなどは同行に肯定的だった。なんでも「敵対心がまったく感じられない」のだそうだ。

 自分と同じ被害――どころか実家が完全に消滅したクリムにそう言われてはエーファも黙るしかない。


 アルとしても、ウルドがわざわざ助けたという一点で信用してもいいのではないかと思っていた。厳しくはあるが過保護気味な点もある魔王の従者ウルドが無条件で主人に危害を加えようとしたロベリアを助けるはずがない。従属を申し入れるところまで予想したとは思わないが、少なくとも危害を加えることはないと判断したのだろう。いや、もしかしたら二人の間でなにかしらの交渉があったのかもしれない。

 それに、幼い容姿のロベリアから主を見る飼い犬のような瞳をずっと向けられていては毒気を抜かれてしまうというか、疑うのも馬鹿らしくなるというものだった。


 それでも懐疑的なエーファに「この子ロベリアが私に向ける目が、アンタがハスタやクリムに時々向けてたのと同じ」だと伝えたら、顔を真っ赤にして不承不承ながらも納得してくれたのだった。


 出会った時は妙齢の女性だったロベリアの身体が縮んでいる件については、今の幼ない容姿が本来の彼女で、先ごろまでの妙齢の女性の姿は魔力で肉体を変化させていたらしい。アルの魔喰により魔力を失って、それが保てなくなったのだ。


「この姿じゃ旅にしろ人里に入るにしろ、何かと不都合でしたので。まあ、今は代わりに動いてくれそうなのが二人もいるのでその必要もなさそうですけれどぉ」

「ロベリア。言っとくけど、あの二人は仲間だからね。手下でもないし、へりくだる必要はないけど見下すのは禁止。ヒトとか魔族とか関係なしにね」


 クリムに散々介護と世話をさせていた自分が言える立場ではないのだけれど、まあ、あれは適材適所だったということにしておこう。


「もちろんアンタも私に敬語使う必要はないわよ?」

「まあ、まあ! アタシなんかを同列に扱ってくださるなんて。魔王様は本当にお心が広くていらっしゃいますわぁ!」

「魔王呼び禁止」

「……はぁい。申し訳ありません、アル様」

「様付けも……まあ、それはいいや」


 魔王のはずなにこれまで敬意を向けられたことのないアルからすれば、どうにもお尻がむずむずしてしょうがない。

 止めてほしいのだけれど、ロベリアは「魔王の配下になった」ばかりではしゃいでいる真っ最中なので、あれやこれやと水を差すのも可哀想である。とりあえず、もう少し落ち着いてからこの辺りは直していくことにしよう。


「それにしても、ロベリアがこの辺りに詳しくて助かったわ」

「くっふっふ~。これでも方々旅してますので、地理についてはお任せですわぁ」

「へぇ。すごいんだね、ロベリアは。これからも頼りにしてるわよ」


 外見が子供なので、ついつい少し大げさに褒めてしまう。

 すると「くふぅぅぅぅ~~~~~」と高音のくふぅが聞こえたと同時に、羽ばたきが大きくなった。


「おわわわっ。嬉しいのはわかったから、もうちょっと抑えて! 酔う、酔う!」

「はわ、わ、申し訳ありません……」

「ふう……。このまま行けば、日暮れまでには人里に着きそう?」

「そうですわねぇ……問題ないと思いますわぁ。それにしてもぉ――」


 背中越しだが、ロベリアが下方に視線を送るのがわかった。


「アレは本当にヒトですの?」


 空を飛ぶアルたちの眼下では砂煙が舞っていた。

 その先端を人影が疾駆している。


「ヒト一人と荷物を抱えたまま飛行する魔族に追走するなんて、勇者は非常識ですわぁ」


 自分で提案しておいて何ですけれど、とロベリアが心底呆れた声をあげる。

 砂漠を猛然と駆けているのはクリムだ。

 ロベリアがこのままの速度では夜になるまでに人里へ着くのは難しいので、旅慣れていないアルを連れて飛行し先に人里へ入る。体力に余裕のある二人が徒歩で追って向かう手はずになったのだが、出発してからずっとクリムはエーファと荷物を抱えてロベリアを追走しているのである。


 正直ホントに人間かと思う。


 クリムの勇者の力はその大半を封印されている。しかしそれはあくまで膨大な魔力で無理やり抑え込んでいるに過ぎない。時間が経てば少しずつ封印は薄れていくし、クリムが勇者の力をより強く使おうとすればその分抑え込んでいる魔力の消耗も加速する。

 ロベリアやグエンなど強大な魔族と立て続けに戦闘したことによって、かなりの力が解放されたのだろう。封印をかけられた当初こそ大荷物を背負っての魔物の森の移動で汗をかいていたクリムだったが、今や足を取られる砂地をものともせず、息を切らす様子も速度が衰える気配もない。今ならば、完全敗北したあの魔族ゼグにも太刀打ちできるのではないだろうか。


魔物もどきテノビグマにすら苦戦してた時はどうなることかと思ったけど、この調子ならちょっとは安心できるかな)


 自分たちに遅れずついて来るクリムたちに胸をなでおろすアルとは対照的に、ロベリアはむくれていた。

 彼女としてはあのヒト種たちから先行した二人きりの時間を利用して、魔王アルの世話をあれやこれやと焼いて自分の有能さを売り込もうとしていたのだ。これでは計算違いもいいところである。


「う~ん……ねえ、ロベリア。あれだとまた砂虫に襲われちゃわないかな?」

「エーファ、でしたっけ? あの人間の手が空いているので精霊術も問題なく行えるでしょうし。いざとなればあの女と荷物を遠くに放り投げてしまえば、砂虫なんて勇者の敵ではないと思いますよぅ」


 むしろ襲われてしまえば、緊急避難の名目で二人を放置して魔王様を連れていくのに、とロベリアは思う。


「ふぅん」

「な、なんですのぉ?」


 魔王の吸い込まれそうな黒色の瞳に見詰められ、ロベリアはうろたえる。


(まさか、二人を置き去りにしようとしていることを見抜かれた?)


 ドギマギするロベリアだったが、アルが考えていたのは全く別である。


(さっきはあんなに「砂虫ごときに逃げ惑うなんて」って煽ってたのに、この子なりに二人の実力はしっかり認めてるんだ?)


 魔族のロベリアがヒトである二人を冷静に評価していることに、アルは感心しつつ安心する。


(まあ、二人のこと認めてるんだ、なんて言っても怒らせちゃうだけかもしれないしなぁ――)


 ここは黙っていよう、とアルは「何でもない」とにっこり微笑むだけにとどめた。

 が、笑みを向けられたロベリアは全身の血の気を引かせていた。


(も、もしかしてこれは、余計なことを考えるな、という意味ですの? 自分おまえ程度の浅い考えは全部お見通しだ、と? ぅうう……やはり力は弱くとも魔王様は偉大なお方ですわぁ)


 なんて、見当違いにアルへの評価を上げてもいたのだった。


「アル様、ずぅっとお供致しますからね」

「え? あ、うん」


 突然少女が意気込みを宣言した理由がわからず、生返事をするアル。

 それをロベリアは、先の砂虫の件が尾を引いているのだと判断した。


「砂虫のことでしたらご安心を、アル様。この高さで襲われることは、まずありませんわぁ」

「あの二人は?」

「アレはぁ、先ほども言った通りぃ、ほっといても大丈夫かとぉ」


 ついっと視線をそらして口を尖らせるロベリア。

 アルは軽く息を吐く。


「……その時はあの二人に加勢してあげて。ロベリアは強いんだから」

「んまぁっ。……くっふっふ~。ええ。えぇ。アル様のご命令とあらば是非もありませんわぁ」


 強いと褒められてご満悦らしい。

 アルに対してはこのちょろさなくせに、クリムたちには対抗心を隠そうともしない。

 旅の経験が皆無で介護なしには生きていけないアルとしては、三人には仲良くしてほしいのだが……。

 ふと横を見ると、やや離れたところに鳥が飛んでいた。


「あれは?」


 砂漠の地平線でどこにも目安になるモノがないから距離も大きさも判然としないが、それでもアルの知っている鳥に比べて随分と大きい気がする。


「アレは“渡り”ですわねぇ」

「わたり?」


 砂漠地帯を囲う山岳部に生息し、時期によって餌場を変える鳥や飛行型の魔物のことをこの地域では総じて“渡り”と呼んでいるらしい。


「アレらは砂漠を横断して東西南北の山岳に移り住むんですの」

「結構大きく見えるけど」

「いまのアタシと同じくらいですわね。魔物の森ほどじゃありませんが、この辺りも魔力濃度が高いですから。他の土地に比べて大型の動物や魔物が多い印象ですわねぇ」

「なるほど」

「普段は群れで移動するのですけどぉ、アレははぐれでしょうか……あ」

「“あ”?」


 会話をしている最中に出てくる「あ」ほど不吉なものはない。

 それは“うっかり忘れていたマズイ事”を思い出した合図なのだから。


 どうした――と問いただすよりも先にそれは現れた。

 一つの影が地中から高く高く跳びあがったかと思うと、ばくんと“渡り”に喰らいついたのだ。

 眼前のがあまりに場違いすぎて、アルは自分の目をこすった。


「……なに、あれ」


 全長は人間の大人程。槍の穂先のように鋭く流線型のつるんとした胴体。その両側と背中、そして尾に当たる部分には三角形の


「………………サメですわね」

「サメ?!」


 サメ――それは海に生息する肉食の水棲生物。一部には海水だけでなく、汽水や淡水に棲む種類もいるらしいが……。


「ここ砂漠だよね!?」

「アル様、サメというのは昨今、どこにでも現れるんですの。砂浜の砂の中や雪山の雪の中はあたりまえ。森の木々をぬって遊泳するサメや、人家の厠から頭を出すサメの目撃証言だってあるくらいですわぁ」

「後半は酔っぱらいの幻覚とかじゃなくて?!」


 砂漠を泳ぐサメが目の前にいる以上、雪山に出現するのも信用するしかない。百歩譲って魔物化へ至る過程で砂虫のような変異をしたと考えることもできる。だが、残りの目撃証言はただの面白おかしく尾ヒレのついた噂であってほしい。


 二人がそんなやりとりをしている間にも、サメに喰いつかれた“渡り”は何とか振りほどこうと上空でもがいていた。しかしさらにもう一匹のサメが現れ、二匹分の重量を支え切れなくなった哀れな獲物は落下し、そのまま砂中へと引き込まれていった。


「ちなみに、先ほどのサメは“サバクトビザメ”といって、“渡り”などの砂漠上空を飛行する生き物を獲物にしている魔物ですわぁ」

「……つまり今の私たちは」

「格好の獲物ですわねぇ」


 言うが早いかロベリアは翼を大きく羽ばたかせて加速した。

 ばくばくばくんっ、とゾッとする音をたてて先ほどまで二人がいた空間を数匹のサメが通過する。


「ちょ、クリムたちは……」

「ご安心をぉ! 砂虫と取り合いになるので、サメどもは基本的に地上の獲物は狙いませんわぁ!」


 それなら安心、とクリムたちに目をやれば、エーファが何か叫んでいる。

 アルたちを案じてのことかと思ったが、どうも様子がおかしい。

 そして――そんなクリムたちのはるか後方から見覚えのある巨大な砂煙が迫っていた。


「砂虫も来てるーっ!!」

「虫のことはともかく、サメはうっかりしてましたわぁ……」

「え、これ、どうにかなる?!」

「先ほども言いましたが砂虫一匹程度、あちらに任せて問題ないでしょう。サメは……躱すだけでしたらいかようにも。撃退はちょっと難しいですわねぇ。この体勢で火を吹くとアル様を焦がしてしまいかねませんし」


 言いつつ、高速軌道でサメを回避するロベリア。


(……あ、やばい、酔う)


 どうにかしないと長くはもたない。私が。

 これはクリムたちに砂虫を早く片付けてもらってこっちを――


「……ねえ。あの砂虫でっかくない?」


 立ち昇る砂煙の量から考えても、始めの一匹と比べて随分と大きい気がする。


「あー……あれはぁ。もしかしたら親かもしれませんわねぇ」

「親」


 また状況が悪化しそうな単語が出てきた。


「もしかして、さっきやっつけたヤツの親だったりとか……」


 無言で旋回するロベリア。

 遠心力に振り回されつつ、アルは遠くの地平線に厭なものを見た。

 砂煙である。しかも複数。

 クリムたちの後方にたち昇るそれよりは小ぶりの、しかし一匹目が巻き起こしていたのとほぼ同等のものだ。


「これ……親が子の敵討ちと、狩りの練習を兼ねてるって感じじゃない……?」


 このままだと挟み撃ちになるんじゃ――

 ぐるんと、今度は上下に視界が一回転する。

 吐きそう、いろんな意味で。


「あのぅ、アル様?」

「な……に……?」


 ロベリアの遠慮がちな問いかけに、息も絶え絶えに応える。


「ちなみにあそこにいる不幸な隊商に身代わりになってもらうっていうのは……」

「いいわけないでしょ!?」


 反射的に叫び、改めてロベリアの示す方を確認する。

 距離があるが、ちょうどアルたちと小ぶりな砂煙の中間地点に複数の荷車が立ち並んでいた。

 どうやら商人の隊列が立ち往生しているようだ。突然現れた子砂虫たちにうろたえている様子が遠目にも見て取れる。


 ――うん、完全に私たちのとばっちりだわ、アレ。


「…………こんなとこ通るんだから、武装してるわよね?」

「まあ、砂虫の一匹か二匹くらいなら相手取れる程度の傭兵なりは雇っていると思いますけれどぉ――やっぱり身代わりに?」

「しない」

「しゅん」

「あの隊商と合流するわよ。こっちが魔族だってばれるとややこしいから、見つからないように近くの砂丘まで飛んで。そこから徒歩で」

「かしこまりましたわぁ」

「クリムーっ、着いて来て! エーファ、合図したら真上に精霊術打ち上げてっ!」


 こちらの意図をくみ取ってくれたのか、クリムは駆ける方向を変え、エーファは角燈を手に精神集中を開始する。


「アル様、アル様っ、アタシはっ?」

「ん~……口から火を吹くのと直接魔力攻撃をするのは魔族ってばれるからダメとして……。ねえ、エーファが精霊術打ち上げたら、それに魔力を上乗せできたりする?」

「まっ。ただ魔力を撃ちだすのもそれなりの技術がいるんですのよぅ?」

「そうなの?」


 どうにもウルドとグエンの戦闘の印象が強すぎて、あれが当たり前だと思ってしまう。


「あれは例外中の例外ですので、比較はしない方がいいですわぁ」

「でも、そのウルドがロベリアの魔力運用褒めてたんだけどな……」


 ハスタの館でウルドの攻撃をほぼ無傷で防いだ時だ。

 敵対した相手だというのに「無駄技術」と揶揄しつつもしっかり称賛していた。

 つまりそれほどの腕だと思ったのだけど。


「ふふん? それって、あの従者への信頼であって、アタシへのではありませんわよねぇ」

「あら。だからこそ期待してるわよ? それに、やれるってとこを見せてくれるいい機会じゃない。なんなら、うまくやれたらご褒美あげてもいいわ」

「ご褒美っ!?」


 言った直後、自分の失言にアルは内心で思い切り汗をかいていた。

 しまった。つい勢いで言っちゃったけど、あげられるものなんて持ってないぞ。


「そ、そうね。いい子いい子~、とかしてあげる……」

「…………」

(ダメか? ウルドにしてもらうと私は嬉しいんだけどなぁ!)

「……いい子いい子というのは、あの、頭を撫でるアレですの?」

「まあ、そうとも、いう……かな」

「……もう、しょうがありませんわねぇ。もとよりこのロベリア、魔王様のご命令に否は持ち合わせておりませんの」


 翼がひときわ大きく空を打つ。


「――だんっぜんやる気になってきましたわぁ」


 ロベリアの呟きはアルへ届くことなく加速する風圧に流されてしまった。

 とにもかくにも作戦は決まったことでアルは小さく息を吐く。

 気乗りはしないけれど、こうなったら仕方がない。


 ――さあて、やってみよう。

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