第14話

 東雲さんと昼食を食べ終え一緒に教室に戻った。

 クラスメイトからの視線はもちろん浴びていたが、俺に話しかけてきたのは一くらいだった。


「で、どうだったよ。親友」

「そうだな。俺を見捨てた親友には言うことはないな」

「おいおい、冷たいな~。確かに見捨てたは事実だけどさ」


 彼女特製の弁当を食べて栄養が体にいきわたったのか、一の顔色は朝より血色がよくなっていた。

 俺もコンビニ弁当ばかり食べていたら、一みたいに顔色が悪くなりそうだな。

 もう少し栄養を考えないとな……。東雲さんの弁当を参考にしてみるか。

 さっきもらった東雲さんの唐揚げの味を思い出して、俺の頬を緩めていると一に見抜かれてしまった。

 

「いいことあったみたいだな」

「まぁな。何も言わないけどな」

「いいさ、別に。何も言わなくても。それに俺は前から真はもう少し現実の女性に興味を持つべきだと思ってたんだ。いい機会から、これも何かの縁ってことで、しばらく東雲さんと仲良くしてみたらどうだ?」

「どうだって言われてもな。それを決めるのは俺じゃない」

「まぁ、それもそうだな」


 誰かと仲良くなるのって、そう簡単じゃない……。

 俺だけが心を開いたところで、相手が心を開いてくれているとは限らないからな。

 それに、俺は一みたいに誰の懐にでも入ってけるような性格じゃないしな。 

 

「一、今日の夜は暇か?」

「もちろん!」

「じゃあ、今日の夜やらないか?」

「いいぜ。明日休みだしな!」

「今日は俺が一位を獲る」

「おいおい!目の前にチャンピオンがいるのにその宣言をするってことは、宣戦布告だと思ってもいいよな?」

「当り前だろ」


 一と今夜一緒にゲームをすることを約束したところで昼休みは終わった。

 東雲さんにノートを写させてもらっていたことで、授業は後れを取ることなくついてくことができていた。

 午後の授業を真面目に受けて、放課後となった。

 俺は久しぶりに図書室に向かうことにした。


 


 

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