第5話 入院
『あははは、それでお前は右足を骨折したわけだ』
「笑い事じゃないって、こっちはいい迷惑だよ」
『それは、あれだな。全男子生徒の怨念がやましいことをしようとしたお前に降りかかったんだな』
「ふざけんな。俺はそんなつもりはなかったよ」
『知ってるよ』
俺の話を聞いた一は電話の向こうで愉快に笑っていた。
笑い事じゃないって・・・・・・。
まぁ、手じゃなくてよかったけど・・・・・・。
しばらくは学校に行けそうにないな。
東雲さんを庇って階段を転げ落ちた俺は運悪く右足を骨折して、そのまま病院送り。
その日の夜、目が覚めた時には病室で、医者からしばらくは安静にと言われた。
『で、真に助けてもらった現代の絶世の美女はどうなったんだ?』
「あぁ、怪我はなかったって言ってたな」
『よかったな。怪我なんかさせてたら、お前どんな目に遭ってたか』
「怖いこと言うなよ」
とりあえず、東雲さんに怪我がなかったみたいだからよかったけど、学校のやつらに知られたらマジで殺されかねない。
あのことも秘密にしといた方がいいよな。
一が言いふらすようなことはしないと分かっているが、一応あのことは言うのはやめておこう。確証もないしな。
『まぁ、腕じゃなくてよかったな。てことは、学校はしばらく休むのか?』
「マジで腕じゃなくてよかったよ。仕事ができなくなるところだった。そうなるな。医者がいいって言うまでは入院することになるだろうな」
『そうか。お見舞いに行ってやるよ』
「お前、楽しんでるだろ」
『あはは、バレたか!』
一は悪びれる様子もなく笑った。
『どうする? 今日はゲームやめとくか?』
「やるに決まってるだろ。憂さ晴らしに付き合え」
『いいぜ。昨日と同じゲームでいいか?』
「狩に行きたいところだが、手元にスマホしかないからな。それで頼む」
『了解』
明日も学校だと言うのに、一は文句一つ言わず俺の憂さ晴らしに付き合ってくれた。
俺たちがゲームをやめる頃には朝日が少しだけ顔を出していた。
☆☆☆
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