あー、僕やっちゃいました?

"プルルルルル〜、プルルルルル〜、"


「んっ?んっ誰だ?」


僕はツイッターでそう呟いた後眠りについたはずだったのだが、おそらくすぐに、この電話によって起こされた。(僕は朝にすぐ早退したのに、まだ日が上りきっていなかったからだ。)


真莉まりさん?あぁーそう言えば報告していなかったかもな。」


マネージャーである真希波 真莉まきなみ まりさんからの電話であった。僕はそう言って自分のスマホを取り電話に出た。


"ピッ"


「はい、僕です。」


「ちょっと、優馬くん!引退するってどういうこと?すっごい、大変なことになってるけど!!ま、まぁとりあえず優馬くんにもなんか大変なことがあったんだろうし、相談とかにはちゃんとのるからとりあえず全速力で出版社来て!」


「え、!え、!あ、あ、はい。分かりました。とりあえず、、、向かいます。」


"ピッ"


あ、あの真莉さんが焦ってた。やっぱり僕の引退する関係のことだよな。それにしても、普段冷静で大人びていて色気と美顔を崩さないあの真莉さんが、焦って、、、。ってまぁ取り敢えず行かないとな。


***


「こんにちは、柏原優馬です。真希波 真莉さんに呼ばれて、、、」


僕は出版社に来て、一階の総合案内のところで面通しをしていた。ここは日本でも有数の出版社であり、多くのものが集まっているのでセキュリティーもちゃんとしているのだ。


「か、柏原優馬様ですね。はい、確かに真希波チーフと総合編集長がお呼びです。フロア40の総合編集長室までお願いします。」


と僕は総合編集長室に案内されることになった。まぁ呼び出されてるんだけどね。てかここ40階もあったのか。今更ながら本当に凄いな。


「こちらです。、、、、わぁっ!」


「え!?な、なに!?」


俺は案内所にいた女性について行って、エレベーターの前まで来たのだが、女性が急に声を上げ驚いていたので下を向いてついて行っていた僕まで驚いてしまった。

僕は何なんだ?と思って女性の目線の先を見ると、そこには真莉さんがいた。


「優馬君!!ちゃんと来たわね。、、、あっもういいわ、ありがとうここからは私が連れて行くから。」


真莉さんは僕の方へと駆け寄ってきた後、僕をここまで案内してくれた女性にそう言って、僕と真莉さんはエレベーターに乗り込んだ。



「ふぅ、、取り敢えず本当に来てくれて良かったよ。」


そう真莉さんが乗り込んだ途端、エレベーターの壁に寄りかかりながら言った。

うーん、気まずい。何か気まずい。


「い、いえ。」


「優馬君さ、何があったのかは後でちゃんと聞く。でも取り敢えず分かっておいて欲しいことがあるの。」


真莉さんはそういうとポケットの中からスマートフォンを取り出して、画面を僕の方へと向け、


「見て、貴方の引退という言葉に対する反応や皆んなの思いを。」


と言った。

僕はそう言われて、なされるがまま真莉さんの画面を見た。


「んーーー、えーーーー、んー。えっ!?こ、こんなに!?こんなことに!?」


「そうよ、これを見てやっと自覚できたかしら?優馬君、貴方はもう日本でも有数の著名人になったのよ。」


と、僕が驚くと真莉さんがそう言った。

僕が驚いた理由は言うまでもなく、真莉さんが見せてきたスマホの画面にあった。


そこには、おびただしい数の「やめないで!!」、「なんでですか!?」と言ったコメントで溢れていた。そして、さらに驚いたのはその中には僕のファンだけではなく超有名な女優、俳優、役者をはじめYouTuberや監督などからもコメントが寄せられていたり、数々のネットニュースやテレビで取り上げられていたり、twitterなど大手SNSのトレンドでもトップに上がっていたのだ。


「嘘だぁ、、、、、」


そう、だからこそ僕は空いた口が塞がらなくなっているのだ。そして今真莉さんのスマホを見て確信した。今日本を一番騒がせているのは僕であると、、、


「やばい、、、真莉さん、、僕どうすれば、、、?」


僕はとても不安になり、真莉さんに尋ねた。

だが、ちょうどそこで40階につき、僕らはエレベーターを降りた。そして、真莉さんは


「うーん、それが難しいから編集長のところに行くのよ。だからまぁ取り敢えず編集長のところに行くのが先決かな。」


と言った。僕は心の中で「そんなぁ〜」と思ったが今のを見せられるとそうせざるを得ない。


「まぁでも大丈夫よ。優馬君、皆んな貴方が復帰するってすぐ言ってもこれだけ多くの人が望んでいるのだもの、少し炎上するだろうけど、ずっと批判し続ける人なんて出てこないわよ。、、、それに炎上してもそこら辺はマネージャーとかこっち側に任せておいてくれればいいからさ。」


と編集長室の前まで来たところで真莉さんがそう言ってくれた。

そこで僕は、自分が蒔いた種だから仕方がないと諦めるとともに、ちゃんと話し合って対応していくことを決意した。

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