それ僕です〜最近話題の大人気小説家、脚本家。学校でいじめられ、好きな人にも振られたけど、僕は僕の人生を謳歌します〜

@A-1407

プロローグ〜それ僕です〜

「つ、付き合って、下さい!!」


僕はずっと昔と言っても高校に入ってから二年と少しなのだが、僕は好きになっていた子に告白をしていた。

彼女の名前は来栖波美くるすなみといい、かなりの美人で、性格もいい。それもあって当然のように学内カーストのトップに君臨していた。


「えっと、ごめんなさい。貴方の気持ちには応えられません。、、、えーっと貴方のことをまだ何も知らないので、、、それであの、、貴方はなんて言うんですか?」


だが僕の恋が実るなんてことはなかった。まぁ僕自身としても受け入れてくれるだろうだなんておこがましい考えはしていない。というか、僕が告白をしたのは勿論彼女のことを好きになったからだが、それと同じくらい彼女に僕の活動を支えて欲しかったし、知って欲しかったからだ。だが、それにしても存在すら認知されていなかったとはな。はぁ、


「あ、あ、はぁ。えっと一応クラスメイトの柏原優馬かしわばらゆうまって言います。これを機に覚えて下さると光栄です。はい、それでは、失礼します。」


そう言い去り、僕はトボトボと家に帰るために歩いて行った。

後ろで「あっ、、」と引き止めるような声が聞こえてきた気がしたが僕のメンタルはそれほど強くはなく、振り返りなどする余裕はなかった。


***


「おーい、来たかい陰キャくん。お前来栖ちゃんに告白したらしいけどなに?どうだった?どうだったよw?てかまぁお前なんかが受け入れられるはずがねぇけどな。なぁ!?w、、、って来栖ちゃん来たわ。」


僕は来栖さんに告白した次の日、今まで以上に上位カーストに位置している陽キャたちに問い立てられていた。というか煽られていた。はぁ想定内だけど仕方ない。本当に陽キャたちの情報網には驚かされる。いったいどこから漏れたというんだ。もしや来栖さんなのか?まぁもういいや、今更どうにもならない、、、はぁ、幸せってなんなんだろうな?


「はぁ、鬱になりそうだ。もう限界がいつくる来てもおかしくないくらいだな。今日は保健室で一日過ごすとしようかな。」


そう誰にも聞こえないくらいに小さく呟き、僕は席をたった。出来るだけ気配を消して、


僕は誰にも気づかれないようにしながら教室のドア目掛け歩いて行った。その時、たまたま来栖さんの親しい友人が集まっているグループが目に入った。

そこで僕は、そう言えば陽キャという人種は何を話しているのだろうか?と少し気になった。だがそこでずっと立ち止まっていると気づかれて絡まれるので、僕はほんの少しの間だけ耳を傾けることにした。


「やぁ皆んなおはよう。皆んな昨日の"青恋"見たかい?本当に良かったよね、、、」


「うん、見たよ。勿論!今回も本当に良かった!あの儚くて切ない三角関係がね、」


「ちょっと待って私まだなの!今日帰ったら見るから明日まで待って!」


「そ、そうなのか、すまない。それならこの話は明日に持ち越しだな。あ、そういえば、作者の"カシユウ"さんだけどまた小説もヒットしたみたいだね。今度みんなで本屋行こうよ。」


「「それ賛成!!」」


バッ!!


「それにしても絶対に作者さんはカッコよくて、頭良くて、爽やかな人なんだろうなぁ。だってあんなの書けるんだもん!、、ん?ていうか今何か音しなかった?」


「さぁ、気のせいじゃない?てか本当に波美はカシユウさんのこと好きだよね。まぁ分からなくはないけどさ。それより、今度、、、」


***


「あー、本当に有名になっている、というかヒットしてたのか。ふふっまぁ'それ僕だよ!'なんて言っても信じてもらえないだろうけどさ、、、てかそうか、僕のことは好きでもないし知ってすらいないけど、二番目の僕で分身であるカシユウのことは大好きなのか、、、もう辞めようかな。」


僕は別にイケメンでも爽やかでも、何なら陽キャですらないしな。はぁ、、、


そこで僕は保健室へと行き、結局は早退することにした。


***


「もう、引退します。応援ありがとうございました。」


僕は家に帰って、公式ツイッターでそう呟いた。


「もうダメだ。僕はこのままじゃ柏原優馬ではなくカシユウとして生きることになる。、、、何か昔からの誇りが今や自分を苦しめている気さえするし、、、」


僕は昔から小説家であることとかを誇りに思っていたが、何か今カシユウが理由と言っても過言ではないかということで振られて自暴自棄になっている。もうモチベーションが完全に失せている。


「はぁ、もう寝よう。」


***


もう優馬は眠りについてしまったが、この時ネットは大荒れであり、ネットニュースや一部のテレビニュースでも取り上げられるほどであった。だがそれに優馬が気づくのはもう少し後のことである。

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