第24話 VS中位龍
私が人族の街を破壊して回っているとゴウっという羽音とともに巨大な影が現れた。
蝙蝠の様な翼と鋭い牙に屈強な四肢、身を包む鱗はまさしくドラゴンと言った風貌だ。
瓦礫の山に降り立ちこちらを見据えるドラゴン。敵なのか偶々通りかかっただけなのか不明だが取り敢えず鑑定しておこう。
風龍ワーディア
Lv146/150
種族特性
「風鱗」「中位龍」「風龍」「龍鱗」
HP123671/123671 MP34679/34679 ST21839/22476 移動能力125789
物理攻撃33985 魔法能力31456 防御能力20098
基本アビリティ
「咆哮」「テイルスマッシュ」「スマッシュクロー」「クラッチバイト」
「裂空耐性Lv4」「火炎耐性Lv7」「激流耐性Lv4」「氷結耐性Lv1」
「岩石耐性Lv8」「雷電耐性Lv9」「黒印耐性Lv2」「堅牢Lv9」「豪傑Lv8」
「天駿Lv9」「斬撃強化Lv5」「衝撃強化Lv3」「自動再生Lv4」「念話Lv6」
種族アビリティ
「逆鱗」「龍の息吹Lv7」「龍の顎門Lv5」「龍の鉤爪Lv6」
魔法アビリティ
「疾風魔法Lv10」「激流魔法Lv6」「火炎魔法Lv2」「雷電魔法Lv7」
「再生魔法Lv3」
称号
「翠玉龍の眷属」「調停者」「守護者」「疾風の如く」
強い、ただただ強い。バランスの良いステータスでその上私のステータスが勝っているのは防御くらいだ。正面から戦っても勝てる未来が見えない。だが相手にはいきなりこちらを襲うつもりは無い様でじっとこちらを凝視している。用が無いのなら邪魔しないで欲しいな、こうしている間にも取り逃し街から逃げた人族がどんどん離れていってしまう。
(私は風龍ワーディア、翠玉龍様の命で参った者だ。意思を持つ大樹よ人族への侵攻を辞めては貰えぬか?)
(あ゛っ?何でお前にいきなりそんな事を言われなくちゃならない?みんなのためにあいつらを滅ぼさなくちゃいけないんだ!!みんなが言うんだ!!みんなみんなみんなが叫ぶから!!)
(……呪いに囚われし哀れな大樹よ、我ら龍の役目は神の名の下における調停。貴君による人族への侵攻は看過出来ない。退いてくれ)
(神の名の下における調停だぁ?人族が獣人達に対して虐殺行為を働いても現れなかった癖に私が人族を襲ったらそれは看過出来ないのか?)
(獣人族は太古の戦争において我らが神に刃向かった者達だ、龍の庇護を与えるに値しない。貴君も獣人族の様な者達のために魂をすり減らす必要も無いだろう)
太古の戦争?庇護を与えるに値しない?獣人族の様な者達?お前はみんなの何を知っている?何をもってそう判断した?彼等彼女等はただあの町で暮らしていただけだ、それだけなのに突然理不尽に、人族によって全てを奪われた。なのに私が同じ事をしたらやめろと言う。何故だ?被害者が違うから?神がそう決めたから?世界がそう出来ているから?
ならば私がやるべき事は一つだ。お前らが従う秩序も、今の秩序を定めた神も、理不尽を良しとする世界の全てを否定しよう!!
(考えていただけたか?すぐにでも此処から退去して欲しいのだが?)
(もう良い、黙れ、そして死ね)
啖呵を切ると同時に数発魔法を放ち攻撃する。かなりの速度ではなった筈だが悠々と躱される、だが想定内だ。
放った魔法は雷魔法と光印魔法、どちらも激しい光を放ちワーディアの目を一瞬だが眩ませる。その隙に「桜華魔法Lv1桜華爛漫」を展開する。
黄昏た血と瓦礫の山が深紅の花弁が飛び交うフィールドに上書きされる。
フィールド効果によりステータスが上昇し防御以外劣っている不利な状況を少しでも改善する。同時に「光印魔法」による自己強化もかける。
(貴君はそちらを選んだか…ならば良い!!風龍ワーディアの名にかけて神に楯突く者を断罪しよう!!)
咆哮と共に放たれる暴風が私の枝を切り落としていく。と言っても先の方の細い部分だけだ、問題無い。私も様々な魔法を展開し応戦する。しかしどれも不自然に効果が低い、なんだ?何が起こっている?
「龍鱗」
自身の防御力を上昇させ敵対者の魔力を分解し魔法の威力を減衰させる。
これか…。私の高い魔法能力から放たれる魔法でさえHPを500程しか削れない、それも「自動再生」により殆ど回復される。ならば物理攻撃が良いかと考えるが私の移動能力のステータスは非常に低い攻撃を当てる事は叶わないだろう。ならば当てられる環境を作る他ない。
ワーディアも私が物理攻撃が得意では無い事を理解しているのだろう、高い移動能力を活かして即座に接近、剛腕を振るい刀の様な爪を私の幹を容易く引き裂いた。咄嗟に結界を張るが無意味だった、紙の様にどころではない、何も存在しないかの様に容易く刻まれた。恐らく「スマッシュクロー」により威力が上乗せされている。
13497/34978
これが私の現在HPだ、次くらえば確実にやられる。
しかしワーディアはすぐさま後退し私から距離をとった。私が伸ばした蔓に絡め取られる事を恐れてのことだろう。クソッ、あわよくば接近してきたところを捕らえるつもりだったのに。
だが想定内だ、そう、想定内なのだ。
ワーディアが再び全く捉えることの出来ない素早さで接近、爪を振るい私を引き裂く……ことは無かった。幹を引き裂く音では無く泥に突っ込んだ様なべチャリとした音、肉が焦げる匂い。
ワーディアはいつのまにか溶岩に自ら突っ込んでいた。
(!?!?)
困惑するワーディア。何故溶岩がここに?そもそも自分はかの大樹に向けて爪を振るった筈だ。
そして突然先程までドロドロだった筈の溶岩が急速に冷え固まりより脱出を困難にする。周りから大量の蔓も生えだし完全に囚われてしまった。
種を明かせば単純、まず溶岩はフィールド魔法により景色が変化しているとは言えここは人族の街があった場所だ。建物には多くの石材が用いられていた。そこに「錬金術Lv1状態変化」を使っただけの事。
そこに「霊幻魔法」を使い私の姿を上書き、自分は周囲の景色に溶け込ませる。溶岩にワーディアが突っ込んだ所を見計らい再び「状態変化」させ捕らえ、さらに「植物魔法」の蔓で動きを完全に封じる。
(さぁ!!獣人族みんなの為に死ね!!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます