第14話 変化
私は神の気紛れで彼女に与えられたナビゲーションシステム、と言ってもそこまで役に立つものでは無い。「鑑定」アビリティの方が使い勝手が良いでしょう。彼女も私より「鑑定」の方を活用していた、それに対して別に思う所は無かった、私に自我という機能は備わっていない。
変化が訪れたのは彼女が転生してから始めての冬。私は彼女から名前を授かった。華蓮、それが私に与えられた名。彼女はそれから私に人格があるかの様に話かけ始めた。私は変わり始めた、彼女が村の人々の幸せを喜ぶと私も暖かくなる、彼女が人々の不幸を嘆くと私もギュッと痛みを感じる。分からない、まだ私の知識には無い情報、もっと知りたい。私は彼女が喜ぶのをそばで感じていたい。
その為にもっと役に立ちたい。
「華蓮!!どうだった!?花祭りで披露した私の魔法は!!綺麗だった?村の皆んなも喜んんでくれたみたいでよかった」
「ハイ、綺麗でした…」
彼女が村の人々の幸せを喜んでいる、私も暖かくなる。しかしこの時私は他にも感じた事が有った。もっと私の事も見て欲しい、そう感じた。
「…華蓮どうしたの?」
「いえ、その…貴女は私を華蓮とお呼びになりますが私は貴女を何と呼べば良いのでしょうか?」
「ん〜別に好きに呼んで構わないんだけど……」
好きに呼んで構わないですか……。ふと思い浮かんだのは私を彼女の身体に埋め込んだ神の事、彼は偶に他の者達にマスターと呼ばれていたような…。
「では、マスターとお呼びしましょう。私は貴方の華蓮なのですから」
「うん、ちょっと恥ずかしいけど…良いかも!!」
ある時獣人族の中央から聖職者が来ました。その者の話によるとマスターを讃える教会を建てるとの事です。ふふ、そうでしょう凄いのです私のマスターは。たったの3ヶ月で教会は完成した。建設は魔法も使われた為迅速かつ丁寧に仕上げられ獣人領の中でも随一の出来だそうだ。多くの人々が訪れる様になり村から街へと発展しマスターも喜んでいたが人が増えたせいでトラブルも増えた様でマスターが吸収する感情には良くないものも増えてきてしまった。マスターは聖木の姿を気に入っている。マスターの様な霊木系統の進化先は聖木系、呪木系のどちらかで現在どちらであろうとそれまで吸収して来た感情の多い方に進化する。その為マスターが嫌がる呪木に進化する可能性が僅かであるが上昇した事になる、マスターや私は住民達と意思疎通が出来ないので防ぐ手段も無い為どうする事も出来ない。
少しずつ蓄積し始めた呪いは僅かだが着実に影を落とし始めた。
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