第15話広がる
アルト村が都市アルトまで発展してから更に3年が経ち更に発展したアルトは問題が山積みだ、森を切り拓き行き場を失った魔物への対策、賄賂が行き交う政治、増え続けるゴミなどなど様々だ。魔物対策は私が街を覆う結界を張った、レベルが上がり範囲が広げられる様になっていて助かった。ゴミは私の錬金術でリサイクルさせたりそれも出来ない物は燃やして埋めると言った感じである程度対策出来ているが政治問題の方は木の私にはどうしようも無い。
どうしようかと華蓮と相談していると祈りの間にエリアと転生者のエンラの親子が来た、白猫の獣人のこの母子はあいも変わらず綺麗だな〜。
「御神木様、日頃より我らを御守りいただき誠に有難う御座います。これからのエンラの健康とこの街の平和をお祈りさせて頂きます」
「わたしもかあさんのけんこうとへいわをおいのりさせていただきます」
「まぁエンラったらお母さんの事祈ってくれたの〜愛してるわ〜!!」
「わたしもかあさんのことだいすきです!!」
何だコレ、癒される、可愛いかよ。お前本当に中身私の同級生かよ、おかしいな…こんなやつ居たか?……やべぇ、仲の良い友人以外顔も思い出せない。まぁ良いや会ったら思う出すかもしれんしそもそも私この街から移動するつもりは基本的に無いから他の転生者に会う事も無いだろうしね。祈りを終えて帰って行く二人を見送り次の人の祈りが始まるのを聞きながらアルトが抱える問題をどうしたものかと考える。
ボンッと言う爆音と共に祈りを聞きながら思考の波に沈んでいた意識が覚醒する。
(華蓮!!何事!!結界に異常は無かった筈だけど!?)
(結界に反応は有りませんでしたマスター、結界に反応する様に設定したのは魔物のみです。内側からの爆発か魔物では無い何かが攻め込んで来たと思われます)
幻夢魔法Lv1「幻霧」を発動させて街の様子を確認する。
すると街には鎧を纏った者達が溢れかえっていた。「鑑定」を発動させるとその結果は…
ジョンソン Lv23/100
種族 ヒューマン
HP785/785 MP345/345 ST321/298 移動能力745 物理攻撃897 魔法能力740 防御力1428
アビリティ
「剣術の才能Lv9」「身体強化Lv7」「盾術の才能Lv8」「火魔法Lv7」
称号
「剣士」「アルテオン騎士団員」
装備
「アルテオン騎士団員標準携帯剣」攻撃力+15% 「アルテオン騎士団員標準鎧」防御力+30% 「鉄盾」防御力+12%
こんな感じのヤツらが大勢街に雪崩れ込んで来た様だ。住人達が次々と殺されていく、どうにかしなければと思い取り敢えず回復魔法をかけようとするがズキズキと身体に痛みが走る。
タスケテ!!イタイ!!ドウシテ!!タスケテ!!イタイ!!ドウシテ!!タスケテ!!イタイ!!ドウシテ!!タスケテ!!イタイ!!ドウシテ!!シニタクナイ!!マダシニタクナイ!!アイツラヲコロシテクダサイ!!カタキヲウッテクダサイ!!ドウシテ!!ドウシテタスケテクレナイノデス!!
ドウシテタスケテクレナカッタノ?ゴシンボクサマ!!
意識の中に膨大な叫び声が響き渡る、何だこれ!!身体が砕け散りそうだ!!魔法を発動させようとしても上手く行かない。助けたくとも何も出来ない!!
(経験値を獲得しました)
(経験値を獲得しました)
(経験値を獲得しました)
(レベルが100に達しました、これにより進化が可能になりました)
(呪木チェリーブロッサムに進化可能です)
呪木になんか進化するか!!今の私のこの聖木の姿は誰かが誰かを想って得た姿、それをこんな悲鳴の様な呪で塗り替えたく無い!!
どうにかこのまま魔法を発動させようとするが痛みで魔力が制御出来ない、犠牲者が増えるに連れ私に送られて来る呪も増加してもう何も判らない!!ズキズキとした痛みと共に自分が割れる音がする。
(聖木では送られて来る呪に耐えられませんマスター、呪木に進化する事をオススメします)
嫌だ!!この姿は捨てたく無い!!
(…しかしそれではマスターが持ちません)
嫌だ!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!私は送られて来る呪いも皆んなが死んだ事も受け入れられ無い!!この姿も捨てたら本当に皆んなが死んだ事を認めた事になる!!
(…マスター、死者が出ているのは事実です。変えようが有りません)
嫌だ嫌だ!!幸せを願って生まれたこの姿を捨てたく無い!!
(…マスター、これ以上は魂が呪の負荷に耐えられません。強制的に進化させます)
嫌だ!!嫌だ!!やめてよ華蓮!!華蓮!!他の方法を!!
(……私は許して欲しいとは言いませんマスター……生きて下さい)
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