第12話 番外編2
「エンラは今日も可愛いわね〜」
そんな声と共に目を覚ます。どうも、俺は気づいたらケモミミ幼女になっていた佐藤優と言う者です。今はエンラという名前だ。
性別まで変わって転生?をしてから暫く経って言葉を覚えた、まぁ身体が赤ちゃんでまだ喋れないが…。とにかく言葉を覚えたお陰で色々な事が分かった、まず、母さんの名前はエリアと言うこと、次に此処はアルト村という事、父親は出稼ぎに出ているという事、そしてこれが一番大事、何とこの世界にはレベルやステータス、アビリティといったものがあるという事。
イヤ、うん…パニック。更にもっとパニクったのは自分にも有るのか?と思って念じてみたらステータスが見れた、そこまでは良い、問題はアビリティだ。なんか「格闘術の天賦Lv1」とか言うのがあったのだ…
内容が凄かったよ、マジで色々技があるしさ〜特に凄いのがこれ、
「烈日一掌」
物理攻撃に応じた特大ダメージ STを消費して溜め攻撃すると溜めた時間に応じて前方に火属性追加ダメージ
まだ赤ちゃんだから使えない、というか使い方を知らないけどこれは危ない奴じゃないか?
称号に何か「拳聖」とか言うのがあったけど俺は何も見てない、そう何も見ていないんだ。絶対面倒事に巻き込まれる、だからシラナイナ〜。
と、こんな感じで考え事をしている間俺はオムツを変えられている…中身が男子高校生なので初めは羞恥心が凄かったがもう慣れた、其れが良い事かは分からないが…。
今、村では冬に向けて食糧の備蓄や薪集めなどをやっているらしい、母さんも俺の世話以外にもやる事が有るらしく忙しそうだ。俺はもうハイハイが出来るようになっていて家の中を少しだけ移動出来る様になっている。勿論危ない場所には柵が立てられているが。
(助けて…助けて…)
うわっ!何かの声が聞こえてくる。助けを求めているのか?でも、音というより頭に直接響いてくる感じだ。そういうアビリティでも有るのだろうか?とにかく誰かが助けを求めているのだから放っておく訳にはいかないだろう。
助けなければと思うと体が勝手に動き出す。ついやったって感じじゃなくて操られている様な感覚だ。でも嫌な感覚ではない。
いつの間にか開いていたドアを通り抜け森に向かう。森までそれなりに距離が有り、いつもならちょっと行った所で力尽きそうだが何故だか問題無い。そのまま森にたどり着き中に入る。
やはり森の中を這うのは赤子の自分にはキツイようで進みが遅くなる。でも助けを求める人がいるなら行かなければ。
目の前の茂みが音を立て出した、ヤバイッ!そう思った時には角の生えた犬が飛び出してきた!怖くなり眼を瞑るが痛みは訪れない。恐る恐る目を開くと角犬は槍に貫かれ息絶えていた。角犬を貫いたのは虎の獣人の男の子だった。
「大丈夫か?助けてって聞こえて来てみたけどお前はまだ赤ん坊だからなぁ…」
「アウ〜アウアウ!!(君も聴こえるの!!)」
「取り敢えず戻るか」
俺はそのまま男の子に抱えられ、村に戻った。
母さんは相当心配していたらしく、泣かれてしまった。申し訳ない事をしたと思う。
それからしばらく経って冬が来た。雪がかなり高く積もるので外出できない為家に篭る様だ。
食べ物は保存食で味気ない食卓って感じだ、まぁ俺の食事は母乳だがな…
問題なく冬を越して、外で活動出来る様になると暫くすると御神木様の見た目が変化したらしい。
なんでも「進化」と言う現象らしく特定の生き物が経験値って物を貯めると出来るらしい…この世界本当にゲームみたいでなんか嫌な感じだ。でも進化した御神木様はとても美しかった、大理石の様な幹は日の光を浴びて輝いている。
春が来ると御神木様の開花のお祝いと一年の幸福を願って花祭りというのをやるらしい、御神木様の花が見れるのは楽しみだ。
花祭りの準備も終わり後は開花を待つばかり、どんな花が咲くのだろうか?
遂に待ちに待った花祭り!!御神木様の花は薄いピンクと白のマーブルで清廉さと可愛らしさが共存していて見ていて飽きない。御神木様への祈りと儀式を終えると宴会が始まった、大人達は酒を飲んだり、動き回れるくらいの歳の子供達は遊び始めている、そんな時、辺りの景色が一変した。
鏡の様な地平に空、雲、宙を舞う花弁が映り神秘的な光景を創り出している、こんなに美しいものは初めて見た、村の皆も見惚れて固まっている。暫く経つとまたどんちゃん騒ぎが始まったが…。
俺は未だ幼いという事で母さんと先に帰ったが宴は翌日の朝まで続いてオッサン共は酔い潰れてそのまま外で寝たそうな。
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