1-7 茨とモフ子、購入品の確認をする
リビングへ戻ると、僕は購入品を机上へと広げ、一つ一つ確認していく。
その際、モフ子も購入品が気になっているようだったので、抱え上げ一緒に見ていった。
餌、食器や水飲み、トイレ、おもちゃ等必需品であろうものから、娯楽品に至るまでがテーブルに並んでいる。
そのどれもが自分のものだとわかったからか、それとも単に見慣れないものが多かったからか、モフ子の目はキラキラと輝いていたように思う。
とそんなこんなで確認した後、僕は早速トイレや水飲みを用いながら、モフ子用のハウスの作成を開始した。
もしかしたら1週間しか一緒に居ないのに、ハウスなんか必要なのか? と、そう思う人も居るかもしれない。
しかし、一度世話をすると決めた以上、例えそれが数日の事だったとしても全力で臨む。
それが僕の考えだった為、アルバイトで稼いだお金でハウス作成用の品々も買った。
と言っても……残念ながらそんな大層なものではない。
ただ折りたたみ式の簡易的なフェンスを広げ、床にマットを敷き、毛布類を利用しベッドを作り、トイレや水飲みスペースを作っただけである。
しかしそれでも自分の家ができた事が嬉しいのか、モフ子の尻尾はわかりやすくブンブンと振られていた。
ちなみにその後モフ子にトイレと寝床について軽く説明をすると一発で覚えた。その際、
……あれ、犬ってこんなに物覚え良かったっけ? てか、まるで僕の言葉を理解しているようだけど……気のせいだよね?
なんて事を最早何度目かわからないが思いながらも、まぁ賢いのは良い事かと無理矢理に自身を納得させた。
さてと、次はどうしようか?
とりあえずモフ子の居住スペースが完成し、驚異的なスピードでトイレ等を覚えた。
となると次は……散歩?
と、そこまで考えて、僕はモフ子がまだワクチン接種をしていない事に気付いた。
……しまった、ワクチンを打たないと散歩が出来ないな。
ワクチンを接種せずに散歩などしては、いつ感染症にかかるかわからない。
が、逆にずっと室内に居ては、それこそ病気になってしまうだろう。
ならワクチン接種を先にすべきだと言われそうだが、肝心の動物病院が近所にない。
……僕が車を運転できれば話は別なんだけど。
さてどうしたもんかと考えつつ、ネットで検索してみると、どうやら抱っこした状態での短時間の散歩ならば問題ないらしい。
そうと決まれば話は早い。
「モフ子、外に行ってみようか」
僕が立ち上がりつつ、モフ子にそう伝えると、やはり言葉を理解しているのか、モフ子は走り回って喜んだ後、僕の方に飛びついてきた。
「うおっと」
緩やかに飛び上がるモフ子を受け止める僕。
そのジャンプ力に驚きつつも、驚き慣れてしまったのかわかりやすく取り乱したりはせず、至極冷静にモフ子を床へと下ろした。
そして今回購入した首輪とリードを一応つけると、再びモフ子を抱き上げ、僕たちは外へと出掛けた。
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