第59話 書き始める事で (創視点)
あれから俺は昨日と同じ様に二人よりも一足先に風呂からでた。
浴室内はもちろんボヤけてはいるものの、入った当初より曇りも晴れて、見えるようになっていた事が幸いした。
渉は心配そうに誘導してくれようとしていたけど俺が大丈夫と、なんとか押し切って一人で風呂を出た。
渉が、こちらを見続けているみたいだったが、マモルもいたからか、なんとか思いとどまってくれた様だった。
素直に洗面所まで誘導してもらっても良かったが、マモルにも俺が今までと、渉に対する態度が違いすぎると思われてしまいそうだったし、今、渉に触れられて普通にできるとも思えなかった。
無事、洗面所に着いて、現在身体を拭きながら色々と頭の中を整理していた。
まだまだ動悸は治まっていなかった俺は洗面所の少し涼しい空気で身体が冷えてほんの少しだけだけど落ち着いてきていた。
俺は渉に対する気持ちに自覚はしたが、流石にまだマモルや、もちろん渉にも絶対この気持ちは知られたくはなかった。
あの時、マモルも湯船に入ってきて、渉と二人きりじゃなくなって俺は少しだけ冷静になれた。
俺の渉に対する思いは一般的ではない。
所謂マイノリティーってヤツだ。
俺は何とかして渉ともっと仲良くなりたかった。
またあの子みたいに会えなくなるのは嫌だった。
だけど、気持ちが知られてもし、渉に嫌悪感を持たれてしまったら、そう思うと怖かった。
昨日まで、俺に対して渉は結構嫌悪感を持っている様な態度をとっていた。
嫌われているんだろうな、そう思っていた。
それがどうして急にこんなに優しくなったのか分からない、だけど渉が好きだと分かった今、また冷たくされてしまったら俺はかなり辛いと思う。
マモルとも友達の様に仲良くなれたのに、俺の渉に対する気持ちを知られて気持ち悪いと思われたくなかった。
二人を信じていないわけじゃない。
世の中は少しずつ変わってきているし、性に対して寛容になってきた気もする。
俺自身、自分がノーマルだと思っていた時は(今だって渉の事が好きなだけで、ゲイな訳ではないとは思うが……)そういう人達に対して偏見はないつもりだった。
だけど、自分の気持ちが中々認めれない時点で偏見はあったのだと思う。
自分が実際その立場になって、周りからどんなふうに思われてしまうのが、それがどんなに怖い事か知った。
俺はこんなにもくよくよ考え込む奴だったんだな……。
人を好きになって今まで知らなかったを自分を知ってしまった気がする。
今までも男らしくはないと思ってはいたけど……。
部屋に一足先に戻り、ベッドに腰掛けて、ノートを開いた。
流石に渉がいつ戻ってくるかも分からないのに、ガッツリ妄想の世界には飛べない。
だけど、簡単なネームぐらい練る事ぐらいはできる。
俺は現実から目を逸らしたかったのかもしれない。
ネームを考え様と妄想を巡らせるけど気がつくと、主人公が自分に似てきてしまっているし、相手役もなんだか渉みたいだ。
それにコレはblってヤツになるんじゃないか?
色々な物語を書いてきたけど流石にblは初めてだ。
だけど、物語を書く事で、そちらに気持ちをぶつける事によって、渉への気持ちを抑えて純粋に友達として、仲良くなれるかもしれない。
明日から丁度一週間休みに入るし気晴らしには良いかもしれない。
blは書いた事がなかったから、うまく書けるかは分からないが、気持ちを整理するのに丁度良いかもしれない。
俺は渉との関係が恋愛を交えて進展できるとは思っていなかった。
blを書き始める事で渉への思いが更につのってしまうとも思っていなかった。
※※※※※※※※※ ※※※※※※※※※ ※※※※※※
やまくる実の一言アトガキ
思う様に話が進まない……。
しかも全然、甘くならなかった(汗)
渉が部屋に戻ってきたらもうちょっと甘い内容が書けるかな。。ρ(--、)
読んで下さってありがとうございます(*´∇`*)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます