第35話 なんでこのメンバー......。ちっとも萌えない。いや、これはこれで......(シホ視点)

 あー、どうしてこの組み分け……。



 いや、ある意味めっちゃ萌える組み分けではあるんだけど……。

 私が番組スタッフであの創さんのグループに着いて回れるんだったらめっちゃ萌えるんだったのに!




 影になってあのグループに着いてまわりたい。

 電柱の後ろからそっと眺めてたい。


 

 あー、行ってしまった……。



 私はリビングの扉から創さんのグループの四人が出ていくのを名残惜しく見守っていた。



 創さんを巡って渉さんと衛さんが威嚇しまくり! とか、二人が近くまで迫ってきて戸惑う創さん! とか

 見たかった。

 見たかったよう……。 



 なーんて本当にあの三人の関係性がそんな関係かどうかなんて分かんないし、私の妄想かもしれない。

 創さんの事が気になってるってミユさん言っていたし、創さん自身の気持ちも表面的には全然分からない。

 だけど創さんが渉さんを見てる回数の量を考えると、どうしてもそんな風に思ってしまう。


 まあそれがもし実際にだったとしたら、創さんに気持ちがありそうなミユさんがあの三人に挟まれたらそれはそれで微妙かもだけど……。



 ああ、それにしても見たかったよう……。




「シホさん、僕達はもう30分後に出発だからお茶でも飲まない?」

「うん、ありがとう」

 

 落ち込んでいる様に見えたのか私に声をかけてくれたのは一番年長者の23歳、貴幸(タカユキ)君。


 私はなるべく落ち込んでいるのを覚られないように明るく振るまいソファーの方に腰かけた。


 タカユキ君は年上なんだけど身長が低くめで童顔、犬コロみたいに可愛らしくて女性から母性本能をくすぐられちゃうタイプ。

 本当はさんづけしなきゃなんだけど、どうしても見た目が可愛らしくて年上に見えないからつい心の中ではタカユキ君って言っちゃう。

 実際はそう呼ばないように気を付けないと……。



 BL的にはある意味こっちの方が理想の受けかもだけど、私好みの受けは創さんなんだよね……。

 好みって言ったて、もちろん私自体が恋愛したい訳じゃないの! あくまでも傍観者としてそっと見守りたいんだ。


 タカユキ君はあの三人とはあんまり絡んでないんだよ。

 でも彼は多分ノーマルだと思うのよね、昨日まで私にもそんなに接触はなかったけど他の女の子には結構話しかけていたし。


 ソファーには他のメンバーも腰かけていた。


 私の前に腰かけていたのは短めのショートカットの女性、中性的で格好いい、クールだし男性よりも女性にモテそう名前は確か詩(ウタ)さん。

 身長も私より全然高い、170cmぐらいあるかも……。

 女性なのに王子様っぽい気品があるんだ。


 詩さんとタカユキ君、同じぐらいの身長なのに、女性な詩さんは高く見えてタカユキ君は低く見えるってなんだか不思議なのよね、身体のバランスの問題かしら?



 ウタさんには、今まで、なんとなく話しかけれなかったけど、今回、仲良くなるには良いきっかけになるかも!


 ウタさんの隣には顔を赤くして座っているとても可愛らしい女の子、名前は紬(ツムギ)ちゃん。


 ミユさんも身長が低いけどツムギちゃんはさらに低い、サラサラの長い黒髪が日の光に反射してとても綺麗。


 ツムギちゃんは誰とでも仲良くしたいみたいで私とも気楽に話す。


 だけどなんだかウタさんとツムギちゃん、顔が近くない? 雰囲気が妖しげよ。 


 私とタカユキ君が目を離した隙に一体、何があったの!?



 ウタさんはいつも通りの王子様風だけど、ツムギちゃん、顔が赤い。


 もしやウタさん✖️ツムギちゃん?


 いや、これはこれで……あり、ありだわ!


 私、実はユリもイケるのよね!



 って、そんな訳はないだろうけど、いつも元気いっぱいのツムギちゃんがあんな風に照れているなんて珍しい。



 ある意味、このグループも面白いかも!



 よし!



 とりあえず今の状況を楽しんじゃうぞ!



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る