第30話 第三課題と第四課題 カメラと福祉 外出課題 これはデート? (創視点)
今日はなんだか皆、ソワソワしていた。
今朝早くそれぞれの部屋に手紙が届いた。
白い封筒の中に1枚の便箋。
シンプルだが開ける時はドキドキした。
手紙の相手は番組スタッフから、今日の課題はまだ発表されていないが撮影場所には向かわず、私服に着替えてリビングで待機して欲しいとの事だった。
リビングにはもう5人ぐらい揃っていた。
皆の服装はかなり気合が入っている様に見える。
俺の私服もシンプルではあるが、妹から教えてもらい、ある程度見栄えの良い服を用意したつもりだが、実際の所は分からない。
廊下の方から荒げた様な声が聞こえてくる。
「今は無理だって、自分達で何とかしてくれよ。……ああ、……ああ、じゃーな」
扉を開けて入ってきた渉はズボンのポケットにスマホを入れていた。
先程の荒げていた声は渉だったのか……。
かなり表情も険しい。
何かトラブルでもあったのだろうか?
ワタルは光留が知ってるぐらい有名な俳優らしいし、仕事関係で何かあったのかな?
大丈夫だろうか?
声をかけたい気もするがそうじゃ無くても嫌われている様な気がするのに今、声をかけるのはまずい気がする。
俺はチラチラとワタルを気にしながら8人全員が座っても余裕があるほど大きいダイニングテーブルの前にある椅子の一脚に腰をかけた。
他の人は俺と同じようにテーブルについている人もいればソファーに座っている人もいる。
ワタルが入ってきた少し後にミユさんが入ってきた。
今日も短めのスカートで白く綺麗な足を見せていて目のやり場に困る。
ミユさんは少し沈んだ顔をしている様に見えた。
俺はなんとなく気まずくて視線をずらしてしまった。
そんな風にして待つ事10分、現れたのは、また坂下 太陽さんだった。
今日は歌でも演技でもないはずだ。
なんでまた坂下さんなんだ? 有名人を出して視聴率を増やそうとしているのだろうか?
しかも今日はなぜ集まる場所はココ(合宿所)だったんだろう?
「はい皆さん、早速、今日の課題ですが……、ここに集まっていただいたのには訳があります。今回の課題はお二つ一気に行います。一つはカメラもう一つは福祉についてです」
なんだか坂下さんが変わった課題を出し始めたぞ?
福祉ってどういう事だろう?
夢とどう関係があるというのだろう?
俺もそうだが周りの皆も不思議そうに首を傾げたり口を軽く開けたりと驚いている様だった。
「すいません。説明不足でしたね。まず、今日の課題は外で行っていただきます。外出課題です」
外出課題?
ど、どういうことだ?
周りも一気にざわついたが、坂下さんの真剣な表情に皆、静かになり聞く体制に入った。
「あらかじめダウンロードして頂いた番組専用のアプリがあると思います。そこにはメンバーそれぞれが撮った写真を載せることが出来ます。その写真の中で一番良いと思った写真を視聴者に投票して頂きます。番組が放送されるのは
なるほどカメラの課題はそういう訳か……。
スマホで撮影していいんだよな?
まだ疑問ばかりで首を傾げながらも坂下さんの説明に耳を傾けた。
「今回は皆さんの目指している夢の中で番組側で予想していなかった夢が二つほどありました。それは普通ではなかなか叶えることが困難な夢なのです」
困難な夢? 小説家や俳優、歌手も十分困難な夢だとは思うが、さらに困難な夢という事だろうか?
「そのうちの一つが福祉に関してです。まだどんな夢かは秘密ですが、皆様は今回、街中で困っている人を時間内でなるべく多く助けながら、尚且つ見た人の感情が動かされるような写真を撮ってきてもらいたいのです」
そして今回のチーム分けは2チームに分けられた。
必ずしも4人で行動しなければならない訳ではないらしいが......。
俺のチームは俺、ミユさん、マモル、そしてワタルだった。
こちらに男性3人が重なったという事は向こう側は女性3人が重なったって事だよな?
バランス悪すぎないか?
だけどある意味番組的にはミユちゃんをめぐる男3人みたいな感じで、ありなんだろうか?
波乱な予感しかしない。
しかしこれも一応、デートになるんだろうか?
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