第11話 部屋決めのルール(創視点)
今日も合宿所に着いてすぐ部屋に閉じこもりたくなったが、そうもいかない状況になってしまい、俺はリビングにいた。
合宿所と言っても少し大きめな一軒家と言った感じだ。
だけど、実家から出た事がなかった俺は、やはり自分の家以外で過ごすというのは落ち着かないモノだった。
初日は疲れもあるだろうと言う事で、それぞれ一人部屋だった。
だが、今日からは、その日にあった課題での順位や、恋が成立したかどうかでも変わってくるらしい。
まあ初対面からそんなに経ってもいないのに、成立したもなにもないと思うが……。
そんな風に日で、部屋を移る事になるから、自分の荷物もスーツケースに入れたままにしていた。
昨日、とりあえず今、気になっている相手に俺はミユちゃんの名前を書いた。
本当は女性の中では彼女しか、まだ印象に残ってないだけで、別に好きな訳じゃない。
悪い意味で気になっているのは、ワタルだった。
だが、流石に男の名前を書く訳にもいかないし、奴と同じ部屋なんて、もし光留の頼みだったとしても、勘弁して欲しい。
この日、奇跡が起こり、第一課題【演技】での順位は何故か俺が、トップだった。
意識がなかった様なモノだったから、どんな演技をしていたか、自分でも覚えていない。
そんなモノでトップを取ったなんて、本当に俺の実力と言いがたいが……。
だいたい、俺は俳優を目指している訳ではないし......。
今回の結果で、そう誤解されたかもしれない。
俺はもともと、目立つ事は苦手だ。
俳優なんて、もっての他だ。
こんな風に他の職業を体験する事が、夢を叶える事にどう繋がるのだろうか?
それぞれが同じ目的で集まり、基礎訓練した方がよっぽど夢への近道になりそうなモノだが……。
結局、やはり夢を応援というのは名目で、話題作りなんだろうな……。
そう言えば、俺達の演技が終わり、我に返った時、かなり鋭い目で、ワタルが睨んでいた様な気がした。
目があった時、食われるかと思うくらい、鋭い眼力だった。
俺の演技が気に食わなかったんだろうか?
食いつくようなヤツの視線を感じ、なんだかソワソワした。
やはり俺はヤツに、高梨 渉に嫌われている様だ。
部屋の話に戻るが、基本一位になったものが一人部屋を使う。
あと、課題前に今、気になっている人の名前を書いて、両思いになったペアはその日の夜は同じ部屋になる。
それ以外はくじ引きでランダムに男女関係なく二人組で同じ部屋で過ごすという訳だ。
しかも各部屋には視聴者様が見れるようにカメラが回っていて、理性を飛び越えたとしても、手を出せない様になっている。
テレビ内でどの部分が、映されているかは、分からないが、二人部屋の時はずっと緊張していなきゃならない。
一人部屋にはカメラを設置していないとの事だった。
今回、何故だか俺が、課題の順位は一番だったから、部屋を今日もまた一人で使う事ができる。そう思っていた。
慣れない事ばかりで、身体にも心にも負担がかかっていたから丁度良かった。
とにかく俺は一人になって、ゆっくり考えたかった。
しかしこの後、そうもできない奇跡がまた起こってしまった。
なんと、ミユちゃんも俺の名前を書いていて形だけだが両思いという事になってしまった。
恥ずかしそうに、はにかみながら俺をチラチラと見るミユちゃんに俺は罪悪感でいっぱいになった。
ちなみに今回の一人部屋は順位が二位だったワタルという事になった。
ミユちゃんが、チラチラとこちらを見ている。
どうしよう……。
俺は女性に免疫がない。
まだ本当は気持ちが傾いている訳ではないから変に気を持たせる訳にもいかない。
リビングには他のメンバーもいる。
皆、それぞれ複雑な思いなのかもしれない。
「部屋行きますか?」
はにかみながら、ミユちゃんが誘ってきているが、なんて答えていいか分からない。
笑って誤魔化しながら俺はまだリビングのソファーに座って途方にくれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます