第3章 恋の始まり? どうしてコイツ
第8話 なんだそのルール!? 聞いてないよ! (創視点)
夢を応援してくれる。
それはどういう風になんだろうか?
そう不思議に思っていた。
そもそも、オーディションでも、特技というか、叶えたい夢に関しては皆、個別の部屋で話を聞かれたから俺は妹が推している例の気に食わない男、ワタル以外は他の参加メンバーがどんな夢をもっているかも知らない。
まあ俳優の卵と言っても、やっている事と実際は違う夢を持っている奴もいる。
だからワタルが目指している夢も俳優と決まった訳ではないが......。
「皆の緊張も解れてきた所でルール説明をさせて頂きますね」
そう言いながら撮影現場に顔を出したのは有名なイケメン男優だった。
名前は坂下 太陽。
普段テレビを見ない俺でも知っている有名人が出てきて俺は言葉を失った。
最近は歌手としても活躍しているとも聞くし(あまり興味ないが妹が騒いでいた)俺は本当にとんでもない所に来てしまったんだと実感した。
「この番組では目指すそれぞれの夢を皆で体験して貰おうと思う。そんな中で恋を探して欲しい。だけど皆が何を目指しているか何を得意としているかは内緒にして貰おうと思うんだ」
坂下さんの言った言葉に俺も皆も戸惑いを隠せなかった。
どういう事だ?
俺は作家を目指しているから物語制作の何かをするのだと思っていた。
確かに、皆、目指すモノが違うのに、どうやって番組を成立させるんだろうと思っていたが、やはり、夢を叶える手伝いというのは話題作りなだけという事だよな。
確かに、番組的には視聴者が満足すれば成り立つものな。
「もちろん自分から何を目指しているのかを言うのも駄目だ。その中で競い合ってもらう。皆で、夢も恋も勝ち取ってもらおうという訳だ」
坂下さんの言う言葉を何度も頭の中で繰り返し理解しようと努力するが、どうしても拒否反応を起こしたくなってしまう。
つまり俺は作家の夢を叶える為に出たくもない番組に来たというのに(半分以上は妹のわがままの為だけど)した事もない演技や歌、ダンスとか……他のメンバーが目指している事を体験しなければならないという事か?
「中川、不満そうだな。顔に出ているぞ?」
坂下さんの言葉に慌てて自分の顔を作り直した。
「なんでもありません」
緊張で口の中に唾が溜まりそうなのをなんとか堪えてそう応えた。
俺は今から何をやらされるというんだ?
この煌びやかな人達や視聴者の前で恥をかきにわざわざこんな都会まで来たというのか?
そんな事なら自分の部屋で物語制作する為にパソコンに向かっている方が、よっぽど有意義だ。
俺はこの時、ようやく他の出演者にも目線を向けた。
皆と違って俺はこの中で恋をするなんて、そもそも諦めていた。
というか今まで女性に興味がないという事はなかったが、それ以上に物語を作る事に夢中だった。
だからそちらの方に目がいかなかった。
そんな俺が、こんな次元の違う人の中で恋をしようなんて、無理に等しかった。
今回、参加する男性メンバーは四人、女性メンバーも四人。
男女の人数が違う事も恋愛リアリティショーではよくある事だが、今回は人数を合わせてきたんだな。
つまり参加人数は俺を合わせて八名だから少なくとも俺は七つはしたくも無い目指してもいない職業を体験させられしかもコイツらと競わなければならないという訳か......。
オイオイ、なんだそのルール?!
聞いてないよ!
俺はこの場にはいない妹に心の中で文句を言った。
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