第20話 朱雀



 赤き翼を持つ者と青き蛇に乗る者。

 熾烈極まる戦闘を繰り広げているその場所は雲を突き抜けたさらに先、高度一万メートルほど上空。

 沈み始めた月のみが二人の戦いを見届ける――。



 赤々と燃え盛る剣身。

 カマエルが握るその大剣は自身で作り出した彼専用の武器。

 一度切り裂けば、刃の通った道すじにあることごとくを燃やし尽くすことが叶う程の強力な武器。

 今までの戦闘においてその剣の威力をもってして、多くの敵を一撃で葬り去ってきた。

 ――焼滅しょうめつさせてきた。

 だが、それほどまでに強力な剣を握っているはずなのに、目前の蛇、あるいは蛇を操作する精霊を葬り去ることが叶わず彼はかなり苛立っていた。

「たかが一匹の精霊風情に押されている……この俺が……」

 水と火の相性が悪いということも、もちろん劣勢を生み出す条件ではあるが彼自身が言った通り、今の状況はウニという精霊がひとえに異常なまでの力を発揮していることが大きく関係している。

 向かってくる水の矢を切り裂き蒸発させる防戦一方の戦いを気が遠くなるほどに続けていた。

「くそがぁ!」

 いい加減にしろなどと言ったところで状況が変わるわけがない。

 だけど、うんざりする気持ちは隠しきれず暴言を喚きくうを蹴る。

 殺意を剥き出しにしたままに矢の射程圏外、精霊の乗る水蛇の下より急接近を試みる。

 元素精霊二人を呼び出して自身の代わりに水を生み出させていた事から、彼女自身は水を生み出すことに長けていないという事をカマエルは正確に把握している。

 だから水蛇さえ蒸発させてしまえば自身の勝ちは確定的。

 その後、自身は何もせぬままに彼女が地面に叩きつけられ死ぬのを待てばいい。

 だが、

「分離――」

 蜥蜴とかげの如く、彼女は水蛇を切り離しカマエルが振るう剣を避けると、すぐさま再結合させる。

「――レインボウ・アロー」

 ちっ――苛立つ気持ちを隠せないまま舌打ちをして飛んでくる水の矢を切り伏せる。

 自身の飛行速度を速いと信じて疑っていないカマエルは、目で追うだけならばまだしも、巨大な水蛇を高速で飛翔させ続けて奮闘している目前の精霊を称賛するしかない。

 高速飛翔、その中で分離させ再結合させる緻密ちみつな魔力制御能力、激しい動きの中、百発百中で自身に向かって放ち続ける弓術。

 精霊の戦闘能力を考えれば明らかに異常。

 どれをとっても彼女は精霊の域を超えている。

「ふぅ……」

 一息吐き、覚悟を決める。

(魔力切れを憂いていては事をし損じる。後のことは後から考えればいい。まずは……)

 目前の敵の排除にカマエルは改めて思考を切り替える。

「コール――アカスズミ」




 ウニは嘆く。

 自分は優位を保てる水を操っていながら、敵を排除しきれないことに。

「命とはいかずとも、翼さえ射貫ければ……」

 そう口にする彼女はカマエル同様に相手を打ち落とせれば勝ちとは思ってはいない。

 穴が空こうとも飛行能力を完全に失うということは無いと判断している。

 ただ敵の動きは格段に遅くなり、自身の勝ちが近づくというだけだ。

 そしてウニは焦らなければならない。

 いくら潜在する魔力量が高かろうと、無限に溢れ出てくるわけではないのだから、上空で戦い続ければいずれ魔力は枯渇する。

 地上の戦局がどうなっているのか把握できてもいない彼女は下に降りて誰かの手を借りるわけにもいかない。

 悪化させてしまう恐れも、もちろん存在しているが――なにより、

「私一人で出来なければ……」

 この先の戦いには付いていけない。

 そう思考する彼女の内心は良くも悪くも、意地になっている。

 ただなんとしてでも勝ちたい、そう願い弓を引く――が、カマエルの持つ大剣にて意図も容易く蒸発させられる。

 そして自身の無意味にも思える攻撃を嘆く前に、

「分離――」

 剣筋に入らないよう、水蛇を二つに切り離す。

 それらを再び結合させ、すぐさま距離を取るために一射。

「――レインボウ・アロー」

 打ち出した水の矢を剣で払ってくれているうちに、水蛇を操作して彼より離れる。

(危なかった。余計なことを考えていてはいけませんね……)

 彼の移動速度にギリギリと言った様子で付いていけているウニには思惑通り余計なことを思考している余裕はない。

 アリアが殺された時点をもって彼女の負けが確定となる。

 そしてやっぱり、当たり前のように自身が死んでも彼女は負けになる。

 例え彼女がアリアさえ生きていれば勝ちと豪語しようと、アリアがおそらく許さない。

 自分たち家族の想いがそれを許さない。

 今、自身の少し下にて動かないカマエルが何を考えて何をしてきたとしても、ウニは足場を失えば何もかも、ありとあらゆる全てが終わりを迎える。

 そうならないために敵の排除、自身の勝ち筋の模索に思考を費やすべきで――。


「コール――アカスズミ」


 ウニの耳に届いた言葉――それは天系武器の呼び出し。

 前回の天使との戦闘でウニは天系武器を目の当たりにはしていない。

 だけど、アリアたちから聞かされてその武器の存在を知っている。

 

 故に、お互いに分かっている。

《ここからが本番》だと言うことを。


 カマエルの握る大剣が消え、新しく剣の柄が出現する。

 剣身は――ない。

 だが、剣身がないままなわけもない。

 すぐに彼女の予想に対して当然と答えんばかりに鍔より炎が吹き出した。

  

 揺らめく炎はまるで鞭のようで、とても剣とは呼べないものだった。

 だが、だからこそ危険だ。

 今までのように剣筋を予測しても、剣身がないのだから吹き出す炎は必ず形を変えてくる。

 そして、またしても彼女の予測に正解と答えんばかりにカマエルは詠唱する。

 

燃えるバーニング――猛禽類ラプター


 詠唱と共にカマエルは剣を横に薙ぐ――そして放たれる飛ぶ斬撃。

 と言っても剣とは言えない武器から繰り出されるその攻撃もまた《断つ斬撃》ではなく《燃やす炎撃》と呼ぶべきもの。

 放たれた炎撃は鳥のように形を変化させてウニが乗る水蛇に向かって飛翔していく。

 火の鳥ならぬ炎の鳥を消し去るためにまずは一射、放ってみるが意図も容易く蒸発させられる。

 彼女には嘆く暇も休む暇もない。

 ならば――と意気込んで全力飛翔にて回避を試みるが。

「追ってきます……」

 意思を持った鳥のように追尾してくる炎の鳥は振り切ることすら叶わない。

 水の矢も無意味、回避も間に合わない。

 そしてさらに一匹、数を増やして炎の鳥が向かってきている。

「迷ってる場合じゃない……分離――」

 水蛇より炎の鳥と同規模の水を分離させて、すぐさま炎に向けて操作し対抗させる。

 ぶつかり合う水と炎の塊。

 鳴り響く爆発音。

 ウニ自身で発生させたこともある水蒸気爆発を引き起こしながらも、炎の鳥の消滅が叶った。

 だが、喜んでもいられない。

 水の量に分かりやすく制限があるウニとは違い、カマエルには制限があるのかどうかも分からない。

 水が尽きる前に決着を付けなければならない彼女の方が明らかに劣勢。

 彼女のミスは、二人の元素精霊を地上に残してきてしまったこと。

 今すぐ地上に逃げ帰り、仲間の手を借りたほうがいいのは明らかなのに、彼女の意地がそれをさせない。

 再び、ウニに向けて炎の鳥が放たれる。

 その数は三匹に増して。

 絶望的と言っていい。

 このまま水蛇を分離し相殺し続けても、先に手札を失うのは間違いなく自分。

 そんな絶望的な状況の中で彼女は笑みを浮かべた。

「……生成――水」

 自身の手より生み出される微々たる水を見て思ってしまう。

 やっぱりと。


 そして彼女は弓を構える。

 目標は炎の鳥ではなく――彼の鳥を放つ者。

「レインボウ・アロー」

 一射では終わらない。

 水蛇より水を吸い上げ休むことなく放ち、炎の鳥たちを避けながら、時に水を削られながらも一点目指して――カマエル目指して進み続ける。

 

 カマエルは笑う。

 無謀にも矢を放ちながら水蛇ごと自身目掛けて特攻してくる敵が、あまりにも哀れで。

(何をしてくるにせよ。十全に対処できる!)

 そう思考をしてカマエルも前進する。

 彼女の命を刈り取るために。


 だが――。


 それはカマエルにとって、十全の範囲外。


 ウニは水蛇より飛び降りた――。

「なっ……」

 唐突で予想外に、馬鹿げた判断をした彼女の行動を目撃してカマエルは動くことも考えることも止めてしまう。


 そして彼女は詠唱する。


「アトミス――エクリクス」


 残るすべての水を使用して行使されたその魔法は、三人の天使たちを吹き飛ばした時と変わらない威力で。


 大爆発を引き起こす――――。




 鳴り響く轟音に耳を塞ぐことも。


 カマエルの生死を確認することも。


 今はしなくていい。


 彼女自身、爆風を受け速度を速めて高度一万メートルの上空より落下しているのだ。

 敵の打倒よりも自身の生還方法を模索するべきは明白で――明白なのに。

 今は、そんなことすらままならない。

 分厚い雲に視界を覆われたその時間もすぐに終わりの時がやってくる。

 彼女はただ身を任せて落下を続けた。

 生きることを諦めたわけではない。

 なんとなく。

 自分の人生に幕が引かれる気がしない。

 そんな希望的観測。

(いいえ…………これはただの期待と…………ただの予感)


 分厚い雲を抜けた先。

 上り始めた太陽が辺りを照らし出している。

 見開かれた視界の中で、地面はもちろん見えている。

 だけどそんなものよりはっきりと、彼女の瞳には――。


(どうして…………いつも。いつも。当たり前みたいに)


 奇跡でもなく。

 彼女の努力の成果でもなく。

 いつも通りで、彼女の思い通り――当たり前みたいにその悪魔は彼女を助けに現れる。



 アリア。



 高速で落下する彼女に合わせて彼も下降を開始して、抱きとめることもせず翼を消した。

「二人で飛ぶのは初めてだな」

「…………はい。嬉しいです」

 本当は初めてではないという言葉は胸に秘めていいだろう。

 彼が自分を自分だと認識しながら飛行をするのは初めてだったから。

 ロマンのある飛行でもなく、ただ落下しているだけだけど――二人は顔を見合わせて微笑みを浮かべる。

「そういえば……ウニ。そばに付いててくれるんじゃなかったのか? 起きた時いなかったから焦ったぞ」

「あ、ごめんなさい。その。私……」

「怒ってはいないよ。理由ならセキエンから聞いた」

 笑みを深めて彼は告げる。

「ありがとう」

 彼の感謝の言葉が何に対しての物であっても、ウニは構わずその想いを受け取った。

「はい。私の方こそありがとうございます」

 彼もまたその想いを素直に受け取って、

「……さて……このまま心中するわけにもいかないしな」

 そう言いウニを抱きかかえて翼を展開する。

 重力に逆らい浮力に引かれ身が浮く感覚を味わいながらも、どこか懐かしむようにウニは自身を支えてくれる両腕に身を任せた。

 そして地上を目指してゆっくりと飛翔を開始する。


燃えるバーニング――猛禽類ラプター!」

 

 雄たけびにも似た詠唱が、二人の耳に届く。

 頭上より二人に迫る炎の鳥。

 生きてたことを驚く前にウニは告げる。

「あの鳥は追ってきます」

「ああ。そうみたいだな」

 頭上の鳥を指で示してウニがそう告げたが、彼もそれは把握している。

 だから、

「逃げるぞ」

「えっ!」

 あっさりと撤退宣言する彼の言葉に、ウニは驚きを隠せない。

 彼の表情は諦めたようにも思えないもので、少しだけ笑みすら浮かべている。

 だからこそ余計に疑念が募る。

「あの……アリア。一体……」

「ウニ。重いとかそんなことを言うつもりは一切ないけど、さすがに俺も手が使えないと戦えないぞ?」

 当然の答えだった。

「あ、はい。そうでした……でも……一つだけ」

 当たり前のことに気付き、ウニは顔を赤らめながらもアリアに問いかける。

「ん? なんだ?」

「重いですか?」

「ああ。ちょっとだけな」

 悪戯っぽく微笑みながらアリアが告げて、ウニは頬を膨らます。

 こんな会話をいつまでも続けていたいが、

「じゃあ。飛ばすからしっかり掴まっててくれ」

 逃げることへ意識を切り替え彼女に告げた。

 その言葉を受けてウニはアリアの首に手を回す。

 そして空を踏み込み、一気に蹴り上げるというより蹴り下がる速度は先程までとは比べ物にならない速さで地面に接近していく。

 炎の鳥を置き去りに空気抵抗を意に介さず進み続け、早々に皆が待つ大地へと着陸を果たす。

「セキエン。状況は」

「残る天使は五百ほど。だが……」

 セキエンはそこまで言って上を指で指し示す。

 全員の頭上にて鳴り響く音は、笛の音のようにも聞こえる。

「なんだ? この音」

喇叭らっぱだよ!」

 アリアの問いにはサタナキアが答えた。

 喇叭――音の正体よりも気になることは何故それが鳴り響いているのか。

 彼女はアリアの思考を察して告げる。

「天使の援軍。到着だね」

 なるほどと納得して問う。

「……援軍か。どのくらいだ?」

 サタナキアは「あれ」と言いながら指で示した。

 アリアは示された先――自分の後ろに振り返る。

 そこにあった物は驚愕すらさせないほどの塊で、

「…………どう思う?」

 アリアはサタナキアに問いかけた。

「馬鹿だね」

 全員、表情を引きつらせるしかなかった。

 サタナキアの言葉通り、馬鹿げた数としか言いようがないほどの天使の群れが南の空を覆い隠している。

 一万なんてレベルではない。

 少なくとも五万――百万と言われれば信じてしまう程。

 手前に布陣する天使に隠され奥にどれだけいるのか分からないのだから。

 考えるまでもなくアリアの中で出た結果は明白で、それを確認するために再度彼女に問いかける。

「……じゃあ。どうするのが賢い選択だ?」

「逃げる」

「だよな」

 自身の結論に同意の言葉をもらえた事で、思考は次の段階へと移る。

(俺とサタナキアにはそれができてもウニたちには絶対に無理だ…………)

 天使の軍勢に向けていた視線を地面に落として考える。

(あいつらの目的……俺を殺すこと……か……)

「…………サタナキア。やっぱルシファーのとこには行けなさそうだ」

 アリアは微笑みを浮かべながら告げた。

「……アリア様が残るの?」

 全員、アリアの微笑みが余裕の表れではないことを理解している。

「あいつらの狙いは俺なんだ……当然……」

 俺が残る――アリアにとって当たり前の発言をしようとしただけだけど、やっぱり最後まで言うことは叶わない。

「だめです!」

「…………」

 ウニの発言にアリアは何も言い返さない。

 彼女の思いは全部分かっている。

 止められることなど分かり切っていた。

(死ぬつもりはない。なんて言っても信じてはもらえないだろうな……)

 今から相対する天使の数が、アリアの思いを打ち負かすほどに絶望的で。

(ウニたちは俺が死んだらどうするかな……)

 後を追ってくるのだろうか。

(それなら嬉しい)

 だけど。

(死んでほしくない)

 だから、

(生きて帰る)


 アリアの中で出ていた結論は最初から最後まで変わっていない。

 微笑んで再会の言葉を贈ろうとアリアは皆の方へ向きを変えた。

「……必ず。また……」

「あー。アリア様。覚悟決めてるところ申し訳ないんだけどー」

 空気を呼んでくれ――アリアは素直にそう思った。

 だけどそんなことはお構いなしにサタナキアは続けた。

「その必要ないからね?」

 彼女の言葉の意味が全く分からずに、アリアは考えようと必死に頭を働かせたが――すぐにそれは止められる。



 激動する大地――――。



 自身が引き起こしたこともあるその振れは、明らかにその時以上の威力で大地を震わしている。

 鈍い音を立てながら振動を続ける大地の上で二人の元素精霊は立ってはいられず尻もちをついた。

 周囲に引き起こされたこの地震は自然によって起こされたものではないということだけをアリアたちはすぐに理解できた。

 

 揺れともう一つ自身の上に重くのしかかるプレッシャー。

 それは地震によるものでもなければ天使たちによって加えられた圧力でもない。

 なぜならアリアの視界の端で微かに捉えた天使たちも、上空にいるはずなのに自分たちと同様にあたふたと揺れているようだったから。


 突如、耳を塞ぎたくなる轟音が鳴り響いた。

 まるで隕石の衝突のような。

 そしてその正体が本当に隕石だったかのように音の発生地点の地面が抉られている。

 大きく舞う土煙の中に見える微かな人影、そして左右に伸びる影。

 その影の正体が翼であることなどアリアたちにはすぐに理解できることで。

 だからアリアは身構える。

 サタナキアの発言を真に受ければ自分たちの方へ向かって来る人影の正体が味方である可能性は非常に高い。

 だけど漏れ出す雰囲気はどうしたって威嚇しているようにしか思えないもので――。


「大勢の魔族がこちらに向かっているから何事かと思えば……サタナキア。何をしているのですか?」

 砂埃が消え、正体を現したその人物はそう告げながらアリアではなく――サタナキアの方へ向かっていく。

「ベル様ー! ナイスタイミーング!」

 サタナキアにベル様と呼ばれるメイド服を着用した者は、一瞬にして移動すると彼女の頬を握り潰さんばかりに掴んだ――ミシミシと鈍い音を立ててしまう程の力で。

「……サタナキア。私は何をしているのか問いかけたのです。聞いていませんでしたか?」

 彼女の放つ覇気に当てられて全員、動けないでいた。

 その中で一人だけ、動ける者アリアが自身の腰に下がる剣に手をかけながら白目をむくサタナキアに視線を移し《恐る恐る》口を開く。

「……そんなに強く握っていたらサタナキアは喋れないんじゃないか……?」

 その発言を受けて彼女はアリアを睨みつけるように目を移して告げる。

「……確かに。そうですね」

 そこまで言い切ってから彼女は手を離した。

 サタナキアは地面にへたり込みながら圧迫されていた頬をさすり、ゆっくりと口を開く。

「ゴホッゴホッ……あ、アリア様。ありがとう……」

 その発言を受けて彼女はアリアを睨む目を興味と言った視線に変える。

「アリア…………あなたがそうですか。これは失礼いたしました」

 未だサタナキアを掴んでいた位置に置いたままだった手を下げて、腹部にあてがい腰を軽く折ると彼女は続けた。

「……アリア様。私はアスタリア様亡き後。八魔王サタンの末席に加えさせていただいたベルフェゴールと申します。以後お見知りおきを……」

 魔王ベルフェゴールはにこりと笑い顔を上げた――。


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心ノ在リ処ト拠リ処 ―ココロノアリカトヨリドコロ― 梓条凱斗 @shijokeyt

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