第11話 戦闘開始



 さて――――そう切り出して王都セピアへと向けて歩を進めていたアリアたち一行は二日後、盆地を囲む低い山の頂上から、目的地を視界に捉えた。

 結果から言えば、そこセピアは、火の海と化していた。

 広く開けた盆地の中心にそびええ立つように建てられた王城。

 その城を囲うようにして円形に広がる城下町。

 さらに中に住む人々や建物、全てを守るようにして覆う城壁。

 それら全部が炎に包まれていた。


「なによこれ……」

 メイリーの呟きは誰かに向けたモノではなく、ただ口から出てきてしまっただけのモノだ。

 そしてそれは仕方のないことである。

 アリアは視界に捉えている――目の前の炎に包まれる街を作り出した者たちを。

「人間同士だというのに、愚かでござるな」

 その街、王都セピアを取り囲むように布陣する小さな人影は、人型の他の生物というわけではなく、セキエンが口にした内容から分かるように人間である。

 使族同士と言っても、やはり国は国であり、分け隔てられた境界線が確かに存在している。

 共通の敵がいても、使族みな仲が良いというわけではない。

 あがたてまつる者、思想が違えば文化が違い、それら民を治める者が違えば、掲げる思想が違う。

 なぜ争いは起こるのか、細かな理由は違えど、ひとえに奪うためだ。

 魔族はどうだろか。

「まあ、魔族同士も争うことはあるけどな。さすがにここまでの事にはならない」

 ここまでの事、つまりは一国を落とす戦争に。

 その後、メイリーが話した作戦は今をもって、すべて瓦解がかいした。

 アリアは問う――どうするのかを。

 メイリーは答える。

「助ける!」

 手遅れ――なぜならそこはすでに火の海であり、敵戦力であるところの人の軍隊は、王都セピアの外壁へと避難している。

 だが、誰もそんなことは口にはしない。

 いや、思ってすらいないだろう。

 アリアは告げる。

「じゃあ、とりあえず俺が行ってくるから皆はゆっくり、後を追ってこい」

 翼の展開――アリアはそう告げ地を蹴り、目標へと飛び立った。



 その兵士、ベルマンは身構えた。

 目前に控える外壁内の殲滅せんめつはすでに完了しており、生きている人がいたとしても自分たちに損害を与えるような――戦える者が残っているとは思えない。

 それでもこうして身構えたのには訳がある。

 殺気――明らかに自分たちに向けられて放たれるその殺気を『ソルレイン』軍、将軍ベルマンは感じとり、とっさに自信が握る剣を構えたのだ。

 そしてベルマンは後ろを振り向く。

 遠方の山より飛来するそれを、ベルマンは持ち前の聡明さで即座に理解した。

 悪魔――。

 ベルマンは聡明であった、故に戦慄せざるを得ない。

 悪魔は攻めない――そのベルマンの中にあった常識が、安全神話が今、崩された。

「皆の者――! 備えよ!」

 北部の山より悪魔が来襲した――そんなことを口にする暇はなかった。


 魔王、地に降り立つ時――。

 の大陸、震わす――。


 人々に伝わる、悪魔たちの王『魔王』について伝わる数少ない伝承の一文。

 その場にいた者――それを目撃したもの、体感したものは等しく頭の中にその言葉が過ぎる。

 魔王が来た――と。

 音速を思わせる速度で飛来したその悪魔、アリアがゆっくりと大群の前に着陸した。

 確かに揺れたのだ、大地が。

 その揺れで何か行動に支障をきたすか、そう聞かれればそんなことはない――だ。

 だが、ベルマンを筆頭にしたその軍隊は、揺れの大きさではなく起こったという事実に、大地同様、震えずにはいられなかった。

「……どこまでやる気だ?」

 アリアは言った。

 ベルマンは考える――その言葉の真意を。

 ベルマンたちが攻め落とした王都セピアは、なにも自国『ソルレイン連邦国』と隣接した都市ではない。

 セピアへと至るまでに通った村や街を、壊滅させながら進軍してきた。

 故にどこまで――。

 ベルマンは目前に控える魔王に一時は怯えど、臆することなく言う。

「無論、滅びるまで――」

 その発言は聡明とは言えないだろう。

 なぜなら、その発言のせいで自身の命運が決まってしまったのだから。

「そうか、じゃあ死ね」

 ベルマンの絶叫は、なかった。

 彼の足元より出でる、大地のとげ

 アリアが魔法にて伸ばした木の根が、ベルマンの顎から刺し込まれ、脳を的確に穿った。

 一撃、というより一瞬で絶命を果たしたベルマンには叫ぶ暇などない。

 続けてアリアはベルマンの後ろに控えていた、僅かに他の兵士よりも整った装備の男に告げる。

「――帰れ」

 彼の足に寄り添うようにして、温かい水が流れ出る。

 思考すらままならない彼の様子を見て、アリアはその怒気を強めてを下す。

「全軍! 撤退しろ!」

 響くアリアの声に、後ろに控える兵士たちは動揺を隠せない。

 ベルマンのものではないその声に従って、前で状況を把握していた者たちが一斉に、我先にと自国の方角へと駆けだしたからだ。

 その様子は厳しい訓練を繰り返した軍隊のモノではない。

 まるで悪さをして逃げる子供、いや――恐怖に抗えない生物の本能による逃走だった。

 その前方の恐怖心が等しく周りの者へ伝播でんぱしていく。

 なにもわからないまま恐怖に支配され、我を忘れて逃げ出す十万を超える人間の大群。

 その現象は、この世界で初めて観測されたものだった。


 アリアの元へと駆けるメイリーはその現象を目撃して、今の状況を忘れ思い出す。

(と、とりあえずぶっ潰せるのですか?)

(ああ、天使がいないなら楽勝だ)

 アリアと交わしたこの会話を。

 そして目の前に広がる光景。

「す、すごいわね……」

 果たしてすごいなんて言葉で終わらせていいものなのか、そんな疑問を抱きはしたが、その言葉以外に口をついて出ては来なかった。


 その後アリアの元へと追いついた六名はアリアの指示を待ったが。

「メイリー何ぼーっとしてんだ、行かないのか?」

 アリアに指揮権があり、自分は従うだけだと判断していたメイリーは、その言葉を聞いて戸惑いを隠せない。

「俺たちはこの街に来たことがないんだ。知ってるだろ?」

 だから指示をくれと、アリアが続けた。

 ハッとしたメイリーはすぐさま思考を切り替えて指示をする。

「生きている住民の非難をお願い! 中に入ったら分かれて、できるだけ多くの人を助けて! 私は王城へ向かうわ」

 各自、了解とだけ返事を済ませて門をくぐる。

 未だ燃え盛る炎に包まれた街、セピアへと一行は足を踏み入れた――。



「しかし、これはどういう現象だ?」

 一人で街を駆けるアリアはこう呟いた。

 アリアの視線は辺りの火、街を燃やす炎を見ていた。

 燃えているには燃えているが、その燃え方はやたらと不自然で、石材で作られた家壁や道、用水路の水上、はたまた何もない空間。

 その炎は燃やしている、というよりかその場所でただ燃えている。

 そういった感じであり、だから思ったのだ――どういう現象かと。

 そしてアリアは思う――明らかに魔法だ。

 ならば術者がここにいるのかもしれない、と。

 街一体を呑み込む規模で行使された魔法、その脅威を考えると別れて行動したのは不正解だった。

 アリアの考えは予感的中――そう言わんばかりにすぐに姿を見せた。



 セキエンはライセと共に行動していた。

「おい、しっかりしろ。意識はあるか!」

 横たわる少年にそう声をかけるライセ。

 焼け焦げた死体の山は多くあるが、生きた人は未だ見つかっていなかった。

 だが、その少年の鼓動は止まっていない、返事もないのだが。

 心臓が動いている以上、この場に放置する事はもちろんしない。

 場外へ運び出すしかないと、その少年を抱きかかえた時セキエンの声がライセの耳に届く。

「ライセ殿、今すぐ逃げろ」

 なにを――そう言おうとした時ライセはその理由を視界に捉える。

「行け!」

 セキエンが少しだけ怒気を強めた声でライセに言った。

 そして、少年を抱えたライセは城外に向けて走り出す。



 ミヤとフィンドは探した――生きている人を。

 だが、二人を包む炎の大きさが、その辺りに生き残りなどいないことを静かに告げている。

「フィンド、空から探せない?」

 自身の背に跨るミヤに、そう声を駆けられたフィンドは上空を見つめる。

 セピア上空を覆う炎のドーム。

 燃料など必要としない、その空で燃える炎のせいで上空を駆けるには向かない。

「このまま街を駆ける方が早いだろう。しかし、もう少し火のない場所を探したほうがよさそうだな…」

 フィンドの呟きにはミヤが反応してくれる。

 はずだった――。

「あら? そんな必要はないわよ?」

 前方より聞こえる声を聞いて、表情を曇らせたフィンドは足を止めた。



 メイリーはウニと共に王城へと辿り着いた。

「なんでこの炎は消えないんでしょう?」

 ウニの横には二人の元素精霊、ハイちゃんオキちゃんがいる。

 その二人が打ち出す水を浴びても一向に消える気配がないその炎に、抱かざるを得ない疑問だった。

「魔法だからじゃないの?」

 メイリーが聞き返す形でウニの問いに答える。

「いえ、魔法であっても火は消えますよ。ですが、この炎は消えない。火力を高めているわけでもなくその場に留まり続けている……アリアが心配です」

 メイリーは考えた――あのアリアの心配をウニがしている。

 逆ならば疑問に思わない、この特殊な炎と何か関係があるのだろか。

 そんな内容を。

 だけど今は――メイリーは疑問を頭の片隅へと追いやり、目の前の扉を開ける。

 そして対峙する――白き翼を生やした天使と。



 アリアは問いかけた。

「ミカエル、カマエル、クシエルの居場所を知ってるか?」

 その天使たちは笑う。

「なんだ貴様。ミカエル様の居場所を知ってどうする気だ?」

「殺す――」

 アリアの目の前に控える三人の天使のうち二人はアリアを馬鹿にした笑みを止めたが、もう一人、服に隠しきれていない丸みを帯びたお腹を抑えながらアリアに問う。

「ほっほっほっ、面白いことを言いますね。理由を伺っても?」

 アリアは答えない。

 そしてその天使が続ける。

「ふむふむ。どういう事情があるかは存じませんが……あなたの仰った、カマエル様の命により放たれた三本の火矢が、私たちなのですよ」

 ぴくっ――アリアが反応する。

 そして笑いを止めて天使が宣言する。

「故に、主様を害する発言を許してはおけませんね。あなたの質問に答えられない謝罪も含めて、私たちが相手になりましょう」

 そして三人の天使たちは弓を構える。

 だが、アリアは微動だにしなかった。

 疑問に感じた天使が問う。

「なんです…」

「おい。フェリーチアをお前は知ってるか……?」

 天使の発言を遮り、アリアが問う。

 首を傾げて天使が――アリアのに。

「知ってるも何も、私たちが滅ぼした街ですよ。ですから……」

 天使は言葉を止めた。

 明らかに目の前の地面に立つ男の雰囲気が変わったからだ。

 そして。

 ゆっくりと花が開くようにアリアの背に展開される。

 黒い翼――。

 それを目撃した天使たちは、アリアが展開した翼を見て驚く気持ちを隠せない。

 翼もそうだが、なによりその色。

 漆黒の翼を持つものなど、見たことはおろか、聞いたことすらなかったからだ。

 白を基準とした明るい色しか持たぬ天使と違い、その翼が持つ色はあまりにも邪悪。

 そしてあるを思い出す。

『禁忌に触れた、天上の魂の浄化――――』

 そして思案する。

(フェリーチアを憂い、怒りをむき出しにしている……こいつはまさか)

「そうだ」

 一瞬にして思考する天使の前に移動し、アリアは剣を横に振るう。

 危機一髪、何とかその剣をかわした天使は、荒ぶる息を整え横に控える二人に宣言する。

「奴はアスタリアの子だ、絶対に殺せ」

 その言葉を受け二人の天使は驚愕の表情を浮かべる。

 だが、すぐに怒りへと表情を変貌させた。

 そして、向かい合ったアリアと三人の天使との戦闘が幕を開ける。



 セキエンは駆ける。

 ライセに逃げろと言ったはいいが、すぐに追われては元も子もない。

 空を飛ぶ視界に捉えている天使が標的を自分に設定した段階で、ライセの進んだ方向とは逆へと駆けだしていた。

「この辺りまで来れば安心か……」

 辺りを確認しライセと十分に距離が開いた事を確認したセキエンは足を止めた。

 そして天使に向かって叫ぶ。

「降りて戦ってはもらえんかー!」

 馬鹿である。

 正直に天使に告げて、降りてくるはずもない。

「いいよー!」

 相手も馬鹿であった。

 百五十センチにも満たない体躯の少年天使は、余裕の表情で降りてくる。

 そして降りて早々。

「おっさん、デカいなー」

 少し離れた場所で、自身の頭の高さから斜めに手を動かし五十センチ程離れた身長差を確認して、そう言った。

「拙者はおっさんではござらん」

 そっちかよ――少年天使はそう思ったが、にやりと笑いセキエンに告げる。

「おっさん、強いのか?」

「拙者はおっさんではござらん! が、強いぞ」

 おっさんではないことを協調してからセキエンは答えた。

「いいねー! 最近は雑魚ばっかりで退屈だったんだ」

 今からの戦闘が楽しみだと言わんばかりに、ぴょんぴょんと跳ね続ける。

「それじゃ! 始めるぞ!」

 少年天使はそう言うと、跳ねていた体を着地に合わせ体を沈めた。

 その反動を使って、セキエンに飛び掛かり剣を振るう。

 キンッ――鉄と鉄のぶつかり合いで甲高い音が響き渡る。

 セキエンがその手に握るのは鎖――ではなく刀だった。



 ライセは走った。

 少年を背負い、無我夢中といった状態でただ走った。

「ふあぁ、よく寝た…」

 少年がライセの背で伸びをしながら起き上がる。

「お。起きたか? 大丈夫だったか?」

「ん? あんた誰?」

 のんきな少年の様子に苦笑いを浮かべながらも、少し安心してライセは走るペースを少し落とした。

 その少年は考える。

(どうやらこの男は道端で寝ている俺を見て、気を失った子供と勘違いをしたんだな? んーどうしようか……よし)

「おい、あんた。降ろしてくれ。俺はこの街の人間じゃねえよ」

 ライセは何も考えずに返事をする。

「ん? そうなのか? まあ、安全な場所に着くまでは、おぶられてろ。な?」

 はぁぁ――深い溜息を吐く少年。

「あのな、俺は天使だ」

 ライセはすぐに手を離した。

 揺らぎながらもなんとか着地した少年天使が怒る。

「あぶねえじゃねえか! いきなり離すなよな! ったくよー」

 ライセにその言葉は届かない、なぜなら目撃しているそれは、自分たちでは到底敵わない天使だと言い、今少年の背にて展開されている翼がそのことを事実だと告げている。

 ライセは震える手で静かに剣を抜いた。

 それに気づいた少年天使が、めんどくさそうに告げる。

「えーやるのか? できれば戦いたくないんだけど」

 は? ――――ライセは目の前の天使が何を言っているのか分からなかった。

 そしてゆっくりと発せられた言葉を呑み込み思考する。

(戦いたくない? どういう意味だ? 投降しろってことか? だとしたら尚更引けないが…もしそのままの意味なら…………いや! 違うだろ! この街の惨状を生み出したのは間違いなくこいつらで! セキエンはすでに相手をしているんだ! 助けられた! でもそれだけじゃだめだ! やるしかない!)

 覚悟を決め、ライセは大きく息を吸い込んだ。

 吐き出し、震えが治まったことを確認し告げる。

「俺はこの国を守る騎士だ。戦いたくないなら黙って俺に斬られろ」

 少年天使が、にやりと笑い。

「ぷっ――あーっはっはっはー。はぁ……何を言い出すのかと思えば。人間ごときがよー

笑わせるんじゃねえよ。ったくよー」

 少し涙目になりながら笑う少年天使を見てもライセの表情は揺るがない。

 そして上機嫌に剣を構えて少年天使が口を開く。

「――五秒」



 フィンドは駆ける、背中に跨るミヤを逃がすため、ではなく。

 建物に囲まれている状況では、お互い能力を全開で発揮できないからである。

 そして辿り着く。

 噴水が中央に備えられた広場に。

「フィンド。私、頑張るね」

 ミヤがフィンドの首をなでながらそう言った。

「……ああ」

 フィンドの表情は少し曇っている。

 その理由の大半はミヤへの心配だろう。

 では残りは何か――心配の理由でもあるそのわけは、フィンドの前、それから後ろに陣取る天使が二人。

 その二人の天使に対する憤りが、フィンドの曇りのわけであった。

「あら? 逃げるのはやめたの?」

 フィンドが相対する天使が妖艶ようえんさをかもし出しながら告げるが、無論フィンドにはどうでもいいことで。

「初めから逃げていない」

 そう、逃げてはいない――探していた、戦いの舞台を。

 ミヤはゆっくりとフィンドから降りると静かに唱える。

炎纏武装えんてんぶそう――」

風纏武装ふうてんぶそう――」

 呼応してフィンドも唱えた。

 背中ではなく、お尻合わせて構える二人の表情は、負ける気などない強気なもので静かに時を待っている。

 たんっ――と、地を蹴り向かってくるは、天使が二人。

 どちらも武器は備えていない。

 拳を握る、その表情は女性とも天使とも言い難いものであった。



「待っていたぞ。メイル・ラ・フィリア」

 そう口にする天使が座するその場所は、積み上げられた死体の山の上だった。

「な、なに…を……」

 湧き上がる感情も、言葉を発する力も、目の前の惨状を見た時点で消え失せてしまった。

 だが、それは仕方のないことだと言えよう。

「貴様で最後だ」

 天使はそう言った。

 その言葉を受けたメイリーは必死に思考した。

(さ、最後ってどういうこと? この街にはもう私たちしか残っていないってこと?)

 そして天使はメイリーの考えたことを見透かして答える。

「この街だけではない、国だ」

 ――――は?

 有り得ない。

 そんなわけがない。

 メイリーはそう思い、また思い続けたかったが、天使が嘘を教える意味が分からず、冗談を言うような状況でもなく、理解するしかなかった。

 ここセピアは通過点ではなく、最後だった。

 そしてすでにこの国から人間は消えてしまっている――と。

 様々な疑問が湧き上がる中。

 同時に最後でもないことを知っている事に気付く。

 ライセが生きているからだ。

「貴様も貴様の仲間も直に死ぬ」

 また見透したように天使が答えた。

 その天使の発言は、他にも天使がこの街にいて、私たち以外のものと戦っているということを、メイリーたちに、ありありと分からせる発言だった。

「死にません」

 ウニが答え、それを聞いてメイリーは飛びかける意識を強引に引き戻した。

 そのままウニは続ける。

「アリアなら……いいえ私も思います。理由は後から知れること。今は自分の想いのままに動けばいいのです」

 ウニがそう語りかけ、メイリーも頷き納得する。

 そして見据える、自身の為すべきことを――。


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