第6話 詠唱
山折りにした膝を、抱えて座る六人の前にアリアは立った。
ウニ、セキエン、メイリー、ライセに加えハイちゃんオキちゃんも今日の訓練に参加するためだ。
「昨日、ウニには伝えたんだが……」
アリアはそこまで言うと、口を閉じて顔を赤らめた。
昨日のウニとの光景がフラッシュバックしたためである。
それに気づいたウニは膝に顔をうずめて悶えていた。
「――こほんっ。今日は詠唱について教えていこうと思う」
アリアは挙動不審にならないよう、咳を打って落ち着き、できる限り簡潔に伝えた。
「はい!」
「はい、ハイちゃん!」
元気よく挙手をしたハイちゃんをアリアが指名する。
「えいしょう? ってなに?」
そこからか――こう思い、苦笑いを浮かべたアリアは質問に答える。
「水ビームって言うやつだな。魔術を使う時に、喋る言葉のことを詠唱って言うんだよ。わかった?」
なるべく、分かりやすいように伝えたつもりだったが伝わっただろうか。
アリアは軽く不安に駆られたが、それはすぐに解消される。
「理解したー!」
なんだか返答が賢い気もするが、気にすることでもない。
アリアは気を取り直した。
「詠唱は、はっきり言って別に必要ない。」
「あ、あのそれでは今までの言葉に意味はなかったのですか?」
アリアの断言に、ハイちゃん同様にメイリーが低くではあるが手を上げながら質問した。
「いや、意味はあるぞ? 今言ったように『別に』必要ないというだけだ。あった方がいいのは確かだ。だけど常に詠唱しなければ魔術、魔法が行使できない。となっては、突発的な状況において非常にまずい。そうだな……例えば……セキエン協力してくれ」
セキエンは魔法の技術においてアリアにも引けを取らない。
かなり長い時間一人で生き抜いてきたセキエンは自力でアリアの領域に到達している――言わば達人であった。
人ではないが。
そのため、アリアが伝えたいことを正確に理解することができた。
「心得た。では、参る」
そう告げセキエンは刀に手をかける。
地を蹴り、アリアの背後に一瞬で回り込むと首筋目掛けて刀を振るう。
だが、その刃がアリアに到達することはなかった。
地面より生えた樹木がセキエンの刀を代わりに受けたからだ。
セキエンはその木を切ろうと思えば切断できたのだが、今は授業。
その必要はなく、ただこの状況を見せる必要があっただけである。
オキちゃんが「おぉー」と真剣な眼差しで拍手を送り、セキエンは刀を鞘に納めた。
「今みたいな懐に侵入を許した状況や、とてつもなく速い攻撃、視覚外からの攻撃に対して、一々手をかざし、詠唱をしていては間に合わない。だから、多少能力は落ちるが詠唱無しでも、魔術、魔法を行使できるようにしなければならない。ここまでは大丈夫か?」
セキエンを除いた五人は大きく頷いた。
それを確認してアリアは続ける。
「今のは言わば守りのための知識。もちろん攻めにも生かせるが、攻める時は行使した魔術、魔法の能力がものを言う。能力ってのは
アリアはそこまでいうと背中を向け地面に手を当てた。
「生成――大樹。形成――家」
箱ではなく家。
そう唱えられ創り出された家は、今まで寝泊りしていた物が本当にただの箱だったと感じさせるほど出来栄えよく創られていた。
装飾に凝り、扉がしっかりと取り付けられ、窓もあり、ただの四角い箱ではなく、三角に折られた屋根が、それは家だと教えてくれている。
驚きを隠せないライセが口を開いた。
「あ、アリア。なんでこんなにしっかりした家が建てられるのに、今まではあんな家しか用意しなかったんだ?」
もっともである。
だが、アリアは嫌そうな顔で答えた。
「だって…形成、家ってダサくない?」
そんなことで。
ライセは呆れながら断言する。
「箱も大して変わらないだろ!」
「お前! バカ! 箱はすげえんだぞ! 箱を馬鹿にするなよ!」
箱に一体どんな思い出があるのやらと、メイリーは苦笑いを浮かべ二人の口論を見届けていた。
その後もしばらく続いた不毛な争いは、セキエンが宥めに入り一時、終結を見せた。
アリアはムスッとした様子で話を再開する。
「…木よ成長して、グルっと囲んで家みたいになれ。とかそんな適当な言葉でもいいんだよ。ただ、長すぎると戦闘では役に立たないし……かっこ悪いし。いかに短く自分がイメージしやすくなるかが重要だ」
「なるほどな。確かに箱はともかく、生成と形成はかっこいいし短いな」
箱はともかくと前置かれた事に、再度腹を立てたアリアがライセを睨む。
自身の心の狭さを自覚しているアリアは、落ち着くために深呼吸をしながらチラリとウニを見る。
彼女はアリアに向けて、微笑んでいた――。
それを受けたアリアは浄化とはこのことだ、と言わんばかりに怒りの表情を、清らかな微笑みに変えてライセに問いかける。
「お前らも詠唱して魔法を使ってきたんだろ? どんなのだったんだ?」
「…………」
アリアに尋ねられたライセが黙る。
そして、渋々といったように口を開いた。
「ディ、
「へーかっこいいな。どんな技なんだ?」
「…ひ、光る」
「は?」
「……剣が光る」
「それで?」
「……それだけだ」
「……は?」
「……だから、ただ光るんだよ! それだけだ! 悪いか!」
アリアは噴き出し笑った――転げまわりながら。
箱以下じゃねえか、と言いながら地面を叩いて笑う。
自身のネーミングセンスを若干、傷つけながらもアリアは笑い続けた。
我慢の限界だと言わんばかりに、ライセはアリアに飛び掛かった――。
ポコポコと音を立てて殴り合う二人を他所に、ウニがメイリーに問う。
「メイリーはどんな詠唱で魔法を使ってたんですか?」
「んー。実は天啓で風とは言われてたけど使ったことがないのよね」
「そうなんですか?」
「一応、王族だし。戦うための修行とかは全然してこなかったの。魔族とは違って人間の王は動かないから…」
自身に対しての非難の色を含めて口にするメイリーの表情は、とても重たいもので。
ウニはそれを感じ取り話す。
「私も、里長の娘だったから。メイリーの気持ちがよくわかります。自身に使う言葉ではありませんが籠の鳥のようでした。大切にされてきたのですが……それのせいでウンディーネなのに水は生み出せず、操ることすらままならない。いけませんよね、誰かのせいにしていては」
ウニは沈んだ表情を微笑みに変え続ける。
「でも、アリアと出会って変わった。いつの日か肩を並べて、背中を合わせて戦えるように。アリアの力になりたい。…いいえ、なる。そう決めました」
だから今は強くなるだけです――。
そう口にするウニの纏うオーラはウンディーネの…精霊のそれではなく。
あの日、本で見た魔王。
アスタリアのようだと、メイリーは思った。
「……私も頑張るわ!」
決意を固める二人に気付き、アリアとライセは見惚れ、争うのをやめた。
その後、詠唱についてある程度の説明を終えたアリアは、自分とセキエンが教官となり、それぞれに訓練を開始させた。
メイリーは無詠唱での花の生成。
ライセは
ハイちゃんとオキちゃんは無詠唱での水の生成。
ウニは以前と同じく吸収と放出、拡散を詠唱して繰り返し行っている。
アリアがふと、思ったことを口に出す。
「ウニも今まで俺と同じように詠唱してたけど、自分の言葉でいいんだぞ?」
「いえ、私には才能がありませんから。アリアの指示通り詠唱します」
別段、というか差し当たった問題があるわけではない。
アリアは深く気にせず訓練に目を向けた。
ウニの横でハイちゃんオキちゃんは無言でただただ水を注ぐ。
何事も全力で楽しむハイちゃんの表情が若干、やつれている気がするがアリアは目を反らした。
才能がありませんから――その言葉は魔術や魔法に対して言った言葉であったが、その言葉を聞いていたライセは、詠唱のネーミングセンスに対しての物だと勘違いをした。
「アリアがウニ用に技名を付けてあげればいいんじゃないか?」
「は? どういうことだ?」
ウニの言った言葉を勘違いしていないアリアは、ライセが何を言っているのか理解できず溜まらず聞き返した。
何も感じ取っていないライセは続けた。
「だからアリアがウニのために技の詠唱を考えてあげたらどうだってことだよ」
言葉は変わっているが、同じことを言っている。
だが、アリアはライセの悪意を感じ取った。
(なるほどな、箱よろしくと言わんばかりのダサい技名を付けさせて、恥の上塗りをさせようって魂胆か。面白い)
「いいな。確かに戦闘中、一瞬でイメージがまとまるよう自分だけの詠唱を用意するのは悪いことじゃない。ただ他人が考えるものだからな。使うかどうかはウニに任せよう。どうだウニ」
よくわからないけど、アリアが自分だけのために技名をプレゼントしてくれる。
そう判断して微笑む。
「はい、お願いします!」
よし、そう思い詠唱の思考に入ろうとした段階でセキエンがそれを止める。
「待たれよ。拙者、こう見えて命名には自身があるでござる」
ちっ――ウニは心の中で舌打ちをした。
「拙者とアリア殿で考えても、ウニ殿はアリア殿の考えた名称がどんなに醜いものであったとしても、きっとそっちを選ぶでござる」
酷いものを考える前提じゃねえか――心の中でアリアは叫んだ。
続けられたセキエンの言葉は――アリア、セキエン、ライセが考えた名称をメイリーに発表してもらう。
もちろん誰が考えたものかは伏せて。
そういう提案だった。
「乗った。面白そうだ」
ライセはすぐに提案を受けた。
アリアは考える。
ディバインソード、能力はともかく名前自体はとても格好いい、ライセは選考の際に自身の前に立ち塞がる障害かもしれない。
アリアは考える。
これで選んでもらえなかった時、どれだけ心にダメージを受けるだろう。
アリアは考える。
自身の考えた詠唱を、ウニに選んでもらえた時の幸福感を。
「よし、やろう。ウニもいいか?」
ウニは考える。
アリアの詠唱を選べなかった時、どれだけ心にダメージを受けるだろう。
ウニは考える。
アリアが考えた詠唱を選べた時の幸福感を、そしてアリアが喜んでくれた時の反応を。
「はい。大丈夫です。やりましょう!」
アリアとウニの絶対に負けられない戦いが始まった。
詠唱を考えるにあたってベースとする技は放出――拡散である。
地面と平行して飛び出し、穿つ。
いかに短い文言で分かりやすくイメージできるか、がカギだ。
そして、口にする際の唱えやすさ。
それらをまとめ各々は考えた。
セキエンは早々にメイリーに報告を済ませ、鼻歌を歌っている。
ライセは地面に書いた二択を指差し、どちらにしようかなと最終選考に入っている。
アリアはなにも決まっていなかった、狭まった思考回路が焦りに駆られ、さらに細められていく。
昨日のウニの言葉を思い出した。
(わ、私はずっとアリアのこと…愛しています)
嫌われるのか? 選ばれなかったら。
だが、アリアはその先を思い出す――今もこれからも。
(そうだ、こんなことで嫌われるわけがない。落ち着け。落ち着くんだ)
厚く暗い雲のかかった心に、晴れ間が差す。
(そうだ! これだ!)
アリアは会心の出来栄えに喜び、これで選ばれなくても悔いはないと満足していた。
三人の報告が済み、メイリーが発表しようとする。
だが、その場は異様な緊張感に包まれていた。
全員の頬に冷や汗が流れる。
(なんなの。この空気。まるで一人の女性を三人が取り合っているかのような緊張感ね。言ってしまえば、たかが魔法の詠唱で…どうしてこうなったの……)
メイリーはそこまで思考して発端であるライセとセキエンを見て考える。
これでウニがアリアの考えた名称を選べなかった時、一体どうなるのか。
こっそり合図を送るべきなのか。
(いいえ、二人なら大丈夫よ。それに――)
自身の考えを胸の内に留めて、メイリーは深呼吸をして発表した。
ゴクリとその場に居合わせる七人、全員が唾を飲み込んだ。
「で、では――。
アリアは崩れ落ちた。
それは、絶望した時のそれではなく安堵だった。
ウニも崩れ落ちた。
それは、絶望した時のそれだった。
選択を間違えた――――と。
アリアはすぐに気付き安心させるため抱きしめる。
「ありがとう」
「…あ、アリアの物だったのですか?」
「そうだよ」
「なんでへたり込むんですかーーー」
ウニは安心のあまり泣いてしまった。
「いや、安心のあまりつい…」
びっくりさせないでください、とアリアの肩をポコポコと叩きながら告げるウニの表情は実に晴れやかで、まさに雨上がりの虹のような輝きを放っていた。
「せ、拙者の横時雨は…」
「あ、それだけは一番に候補から外しました」
セキエンが崩れ落ちた。
それは、絶望した時のそれだった。
項垂れるセキエンを放置して、さて、そう前置きをしてアリアは告げる。
「実践してみよう」
ウニは溜められた水の吸収が済むと前方に、まさしく弓を構えるようにして両腕を突き出した。
アリアから与えられた名称、詠唱に愛しさを抱きながらその結果を自分なりにイメージして囁く。
「――レインボウ・アロー」
飛び出したものは水球ではなく、一具の水で作られた弓と矢。
ウニは驚くことはない、自身が描いたイメージ通りだからである。
弓を左手で構え、右手に握る矢を放った。
以前とは比べるまでもなく上昇したその威力は、前方に立ち並ぶ木々を『粉砕』しながら前進をし続ける。
五百メートルは飛んだだろう。
一矢の軌道上の木々がなくなり視界が開けている。
ウニ本人を含めて全員、開いた口が塞がらなかった。
完全に別物じゃん――ウニとアリアを除いた五人はそう思った。
「あ、アリアどうでしょうか」
「あ、ああ。概ね予想通りだ」
アリアの発言にライセが反応する。
「な、なにが予想外だったんだ?」
「威力だな。発動は今みたいなのを想像して名前を付けたけど。威力は木を二、三本貫けたら上々だと思ってた」
「木を二、三本どころか十本以上薙ぎ倒した上に、地面まで抉ってるぞ!」
「いや、だから、俺も驚いてる」
驚きが足りねえよ――ライセはそう思ったが、そもそもアリアが規格外な存在なのだと思い出し胸に押し留めた。
「拙者の横時雨では、こうはならなかったでござるな。いやはや、さすがはアリア殿でござる」
「さすがなのは、俺じゃあないさ」
アリアはそう言い、ウニに目を向ける。
納得したセキエンは、確かにと頷き笑った。
ウニの魔法にそれぞれが感心している中でメイリーだけは疑問を抱いていた。
「ですがよろしいのですか? 詠唱から発動までの時間が遅くなってしまいましたが…」
放出、拡散とは違い、弓の出現、構え、放つ工程が増えており、確かに効果が発揮されるまでの時間は遅くなっている。
メイリーの疑問は、もっともだがアリアは「何の問題もない」と答えた。
それもそのはず。
なにも魔法はその一つではないのだから。
その魔法が最大限威力を発揮する場面で使えばいいだけである。
突発的な状況を打破する魔法は、また考え訓練するだけだとアリアは言い、メイリーは納得した。
アリアの予想外。
ライセに問われ、威力と答えた事に偽りはない。
ただアリアの予想では矢のような水が、かざした手のひらから放出されるだけだと思っていた。
水の固体化。
冷えて氷にしたわけでもなければ、ほかの物質を混入させたわけでもない。
その水はただの水としてウニの手に握られていた。
おそらくそれこそがウンディーネの本領。
アリアはそう見切りをつけて口を開く。
「ウニその弓をちょっと貸してくれ」
アリアは自分の予想を確かめるべくウニに頼む。
その水の弓、
だが、いや――やはり、アリアに水弓が手渡されることはなかった。
触れることはできて、握ることもできた。
だがウニが手を離すと水弓は弓の形を崩し、重力に従って地面に流れ落ちた。
――アリアは自身の予想通りの結果に、苦笑いを浮かべた。
ウニは何が何だか分からず、と言った様子で謝る。
「あ、あれ? ごめんなさい。すぐ作ります」
「いや、大丈夫だ。その弓はウンディーネにしか持てない」
あからさまに疑問の表情を浮かべるウニ。
アリアは少し迷ったが説明することにした。
「ウンディーネの特殊能力の一つだ。水の固体化。今回は魔法の流れで弓を作ったが、多分なんでも水で作り出せる。というより触れていれば固められる。そうだな…ぱっと思いつく用途だと水の上を、歩ける」
アリアのその言葉を聞いてウニはハッとした。
父が水面に立つ姿を思い出したからだ。
「その様子だと心当たりがあるみたいだな。なんで教えてくれなかったんだ…隠してなきゃいけない事だったか?」
「い、いえ。そうではありません。ち、父が水の上を歩いていました。なんで疑問に思わなかったんでしょう」
物心ついた時から当たり前の事実があったとして、それが自分には、できなかったとしても、それが当たり前として記憶に保管される。
そういうものだと認識している記憶の引き出しを、きっかけなく自力で開けることは非常に困難だろう。
そして、ウニの場合は自身で気づく前に、教わる前に里を出た。
アリアは、そう判断してウニに告げる。
「とりあえず、俺たちと同じやり方で訓練しない方がいいだろうな。というか…ハイちゃんオキちゃん水をくれー」
「あいあいさー!」
若干やつれ気味だったハイちゃんは、自分の出番だと喜び勇んで飛んでくる。
アリアはそのハイちゃんの様子を微笑ましく思いながら木で、直径二メートルの特大の桶を作る。
それが出来上がると同時に二人は水を注ぎ始めた。
底から二十センチ程の水が溜まったところでアリアは悪魔のような笑みを浮かべ、ウニに告げる。
「よし、それじゃあ歩いてくれ」
そんな無茶な。
ウニは言いたかっただろう。
だがそれを口にはせず、履いている靴を脱ぐと水に足を付けた。
「それは床だ! そう思い込め―」
なんだか聞き覚えのあるセリフに笑みを浮かべ、床を探すように右足を動かす。
チャプチャプと音を立て足先で床を探すが見つからない。
床どころか、水以外の感触を得られない。
そのまま、しばらく片足立ちを続けていたウニだったが、風が吹きウニの体を煽った。
大した風力ではなかったが長く片足で立っていたために、疲労の色濃く、すぐにバランスを崩し勢いよく桶の中に――水の中に倒れこんだ。
はずだった。
「きゃ……あ、あれ?」
痛みもなければ全身が濡れることもなく。
桶の底から二十センチ上空。
ウニは水面に体を浮かせていた。
う、羨ましい――アリアはそう思ってしまった。
水面を歩く、誰もが一度は抱く夢ではないだろうか。
目の前の少女はアリアの夢をあっさりと達成していた。
「う、羨ましい」
ライセだった。
アリアとまったく同じ感想を抱いたライセは思わず口に出していた。
「ウンディーネにはこんな力があったのね…すごい……」
そう呟いたメイリーに限らず、各々が感嘆の言葉を口にしている。
アリアだけは驚きや称賛の声を上げず、ただ考えていた。
そして理解する――ウンディーネの持つこの能力の凄さはこんなものじゃないと。
その能力の凄さを余すことなく理解したアリアは、苦笑いを禁じえなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます