第6話 短編 暗雲立ち込める
『何も無いなここは』
『空港ですからね』
当たり前のことを一佐つぶやく。
着陸した機体はターミナルには目立ちすぎて当然駐機できるはずがなく、隠すようにして格納庫に駐機した。空自の中でも一番大きい格納庫に収容された『それ』は整備要員でさえも二度見するほど珍しい機材であった。
「なぜ大型機なんだ?」
「言ってたでしょ試作機だって別に僕たちの為とかではないでしょ」
「にしてもデカいな」
川波一佐は正面から見た機体をみて呟く。
「ベースはC-120でその後に『緊急即応上空指揮基地計画案』に基づいて機体がサイズアップしましたからね壮観ですねー」
「エアー○ォース○ンのパクりだな」
「身も蓋もないことは言わないでくださいよ。確かに技術はあちらさんの流用でしょうけど」
大見先三佐がはぁとため息。
そんな事をやってる間に機体から車輌が下ろされた。
「御二方ともお待たせしました。」
搬出員が声をかける。
「にしても良いんですか車輌輸送パレットに載せたまんまで?」
一佐が答える。
「良いんだよ。そこまで気をまわさせるわけにもいかないしな。悪かったな夜遅くまで残ってもらっちゃってあとは大丈夫だから、機体整備だけよろしくね!」
なんて言うと整備員が軽く返事をして仕事にもどる。(ていうかアイツらさっきから『あれ』しか見てないじゃねぇか!!大丈夫かよあいつらに機材の整備まかせて)
「あれも試作品なんですかね?」
三佐が尋ねる。
「あれは俺のおねだり!!」(まぁ、いいや飛べれば)
「でしょうね、あんな代物どこで手に入れたんですか?」
「防衛省開発装備研究所からなあいつら全部施設から出さないからな。だからかっぱらってきた。大臣も了承してくれたし。(^_-)」
三佐の顔が少し歪んだ笑顔に。
「国家予算を何に使ってるんだか、MI-6ばりの装備担当たちは。それに一佐。あなたが何を想定して持ってきたんだか理解に苦しみます。」
そう言って三佐はその車輌をみてため息をつくのだった。
わが波は大海より 刻心 @yuking0920
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