第2話ある方からの呼び出し 1
横須賀自衛隊側ゲート
彼には誤算があった一つは太平洋沖で台風に遭遇したこと、もう一つは船旅の長さである。飛行機なんぞとは比べ物にならないくらい時間がかかることを勘定に入れていなかったのである。おかげで任務後に取っていた長期休暇は船で過ごすことになってしまった。
船の上に居る時から後悔しぱなっしの一佐の近くに一人の制服自衛官が近寄ってくる。
「お待ちしておりました川波一佐。どうぞお乗りに。」
普段迎えの車などよこされない一佐は動揺したが、「ご苦労さん」などと皮肉りながら乗り込む。だが乗ってビックリ、反対の席には直属の上司である情報部局長が乗っていた。ドアが閉まるとおもむろに話を始める。
「任務ご苦労だったな一佐。随分と帰って来るのは遅かったようだがな。」
怒ってんだか皮肉ってんだかと思う一佐。続きを聞く。
「まぁいいさ。今回わざわざ向かいに来たのはある要件を伝えること、それも直接だ。面倒ではあるがな。」
まぁ何か裏があるとは思っていた。一佐はさらに聞く。
「この中には指示書がある。これに従ってある方と会うんだ。」
そう言って局長は内ポケットから封筒を取り出し一佐に渡す。
「その方は非常に力のある方でな、断るわけにはいかないんだよ。頼んだぞ、せめてもの情けとして会う場所には送ってやる。だから行くんだ。」
断れるはずもないと一佐はあきらめざる終えず。
「了解いたしました。川波一佐、案件受諾いたします。」
(車走りだしてるし、断って車から飛び降りるわけにもいかんしな)
よろしいなどといかにも上から目線してくる局長を横目に内心どのような任務なのか、心を躍らしている一佐なのであった。
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