ミドル・フェイズ② ―湯河原先生が教える、国外逃亡の手引き―

シーンプレイヤー:湯河原裕斗


 ギヨーム財団から直接の連絡を受けたエヴァは、学校の裏門から校外へと出た。『あの人』が寄こした護衛に見つかりたくなかったからだ。

 指定された学校近くのオープンカフェには、長身痩躯のアジア人がいた。

「……」

 ため息か…深呼吸か…、それがエヴァにも分からないくらい、胸中は様々な感情が渦巻いて穏やかではない。

 だた、意地を張りたかった。

 誰でもない、自分のために。


湯河原:「お呼び立てて申し訳ありません。」といって待ち合わせの場所に来たエヴァに挨拶をしましょう。

GM:エヴァはいぶかしんだ視線を向けて「ずいぶん若いのですね?…ジャポネーゼ日本人コリア-ノ韓国人?」

湯河原:「ソノ ジャポネーゼ日本人です。えぇ、こちらで開業医をしている。湯河原と言います。」

GM:「わざわざ、極東の島国くんだりからイタリアに?」

湯河原:「いろいろ、思うところがありましてね。とりあえず、座って話をしましょう。」といって彼女に席を示そう。

GM:では、エヴァは示された席に“楽譜スコアを入れたクリアバック”を膝の上に置き直して座ります。

GM:「単刀直入に申し上げます。わたしはこのフィレンツェから離れる気はありません。」

湯河原:…「ですが、貴女のお母さまが心配していらっしゃいます。」

GM:「あの人は私の『母』なんかじゃありません。」

湯河原:「訳アリですか…、まぁ、その『訳』まで聞き立てようとは思いませんが。そのままでは、貴女の命が危ない。」

GM:「なら、ワタシの命運もそこまでだったという事でしょう。」と気丈に返します。

GM:ここで、《知覚》…あるいは、対人のネゴシエートという局面なので《交渉》か《知識:心理学》で判定をしてください。達成値が高いほど明確な情報を渡します。

湯河原:【感覚】は絶望的に低いし、《知識:心理学》は持っていませんから…《交渉》で判定します。…うーん、回らない。達成値は8。

GM:では、彼女の決意に反して口調が若干の震えがあるという事が分かりますね。

湯河原:なるほどね。では、ちょっと怒った口調で言いましょう。

湯河原:「バカなことを言っちゃいけない。君が死ねばたくさんの人が悲しむ。」

GM:「じゃぁ、ワタシが決めたことは…ワタシの想いは…尊重されないのですか!?」

湯河原:「そんなことは言っていない。軽々しく『死んだらそれまでなんて』口にしちゃいけない。」


GM:医者らしいセリフですね。では、そろそろカルロ君に登場願いましょう。

カルロ:ふふん、暗殺者の俺を出し抜くとはね。

GM:まぁ、なんだかんだでここ数日は、文句言いつつも護衛は素直に受け入れていたように見えたのですよ。

カルロ:「まったく、あの女…。」

GM:で、見つけたらオープンカフェでアジア人風の男と二人連れ。しかも、なんか二人とも怒ってる感じ。

カルロ:では、二人の席に近づいてエヴァに話しかけましょう。

カルロ:「何をしている。勝手に出歩かれては困るんだが?」

湯河原:「コチラの方は?」とエヴァに聞くけど?

カルロ:「好き勝手されては護衛の意味がない。」とエヴァに言うよ。

湯河原:「なるほど、護衛の方でしたか。」


(セリフによって、キャラクター同士の自己紹介を省くというロールプレイである。)


GM:エヴァは…「私が雇ったわけじゃない。」と…。

カルロ:「だが、俺に依頼があった以上は、その依頼を完遂させてもらう。」

カルロ:ちなみに、俺は人を殺すことは何とも思ってないが、目の前で人が死んだり殺されることに強い恐れを感じるんでね。

一同:なんだってー!


カルロ・カラヴァッジョ…すっごい、めんどくさい殺し屋だった。


カルロ:「で?アンタは一体誰だ?」と視線を湯河原に向けましょう。

湯河原:うーん、困ったぞ。さすがに、自分の受けた依頼内容を簡単にしゃべるわけにはいかない。

GM:会話が続かないのなら「みんな、勝手すぎるわよ。ワタシの気持ちも知らないくせに…自分たちで出向来ることさえしないくせに…。」とエヴァは言います。

カルロ:(よどみなく)バシッって、エヴァのほほを叩きます。

GM:痛!!

一同:なんで、GMが痛がるんだよw


カルロ:「テメェの事を心配してる奴もいるって肝に銘じておきな。そんな事も分からないくせに一人前の口を叩くんじゃねぇ。」

GM:…いきなりぶたれたので、ほほを抑えながら俯きます。泣いちゃってるかもしれん。

湯河原:いきなりの事態に…えーっと…「女性に手を上げるのは感心しませんね。」と言ってウェイトレスさんに氷か冷やしタオルを頼みましょう。

カルロ:「悪いね、そういうお作法は習ってないんだ。」

GM:うーん、ここで「おじい様にもぶたれたことないのに!」と言いたい衝動が…!(一同爆笑)


(まったくもって、台無しの一言である。)


湯河原:「彼女を呼び出したのは、僕です。あまり、彼女を責めないで下さい。」

カルロ:「呼び出したことをとやかく言うつもりはない…

GM:(カルロのセリフにかぶせつつ)「違うわよ!ワタシが自分の意志でここに来たの…責められるのは私よ!」

GM:「アナタ達には悪いと思っているわ。『あの人』達の依頼で巻き込んでしまっている。でも、私はここままでいいの…。どちらも選びたくはない。」


…一時の沈黙が流れる。


カルロ:(湯河原に対して)「…アンタは、どことなく俺に似てる気がする。そういう、雰囲気を感じる。だが、今は生きてる世界が大きく違うようだ。」


唐突に何を言い出すのかコイツは。


シルヴァーナ:(笑いながら)なんだろうこのシーン。

エンリコ:(笑いながら)右に同じく。

湯河原:(カルロに対して)「貴方も訳ありなんですね。(キリッ)」

GM:会話のデットボール…(笑)。

湯河原:「とりあえず、彼女の決意は固い。日を改めることにしましょう…。」といって空いた椅子に掛けてたコートを取り立ち上がります。

GM:では、その時だイタリアの細道を黒塗りのバンが数台走り込んできて、カフェを包囲するというところでシーンを終えましょう。

一同:マジで!?

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