オープニング・フェイズ③ ―必要経費は領収書を提出するのが基本―
シーンプレイヤー:湯河原裕斗
EUになったことで、国境を楽に超えられるようになったのは素晴らしい恩恵だと、湯河原はレンタカーを走らせながらしみじみと思った。
南仏・トゥーロン。
プロヴァンスを代表する都市。かの有名なレ・ミゼラブルの主人公であるジャン・バルジャンが投獄されていたのも、トゥーロンの監獄だ。
イタリア北部からプロヴァンスまでは長旅である。列車を乗り継ぎ、レンタカーに乗って指定されたホテルまで湯河原はやってきたのだ。
時期は冬。リゾート地である南仏は夏ほど人は多くはない。
『目的地は右側です』
ナビの電子音が、目的地に着いたことを示してくれた。
思わぬ長旅の愚痴でもと思ったが、『野兎』がそれを許すような人物じゃないことを湯河原は十二分に知っている。
「トゥーロンまで呼び出すほどの『依頼』なのかな?」
来訪して依頼することの多かった彼女が、国外に呼びつけたのだ…こりゃ、面倒なことになるぞ…と湯河原は内心で思った。
湯河原:イタリア在住なのにフランスまで呼び出されるとは…。
GM:まぁ、湯河原がイタリア在住のキャラクターにしたから…。それにちゃんと理由があります。あと、領収書を出してくれれば旅費は全部ギヨーム財団があとで口座に振り込みますよ。
湯河原:事前支給じゃないんですね。
GM:で、到着したキミはホテルマンに案内されて指定された部屋に案内される。
GM:「ごめんなさい、貴方にこんなことを頼むのは筋違いだと思うのだけれでも。」とジークリンデは言います。
湯河原:「本当ですよ。僕は『ただの医者』ですよ?」
GM:何言ってるんだ?ってスマイルでジークリンデはキミを見返すよ。
湯河原:ハハハ…「大まかな、依頼はメールで見ましたが…。」
GM:ジークリンデの隣には五十代くらいの金髪の白人女性がいます。「この方は、イヴ・ワイズマンさん。今回の依頼主よ。今回の依頼は、彼女の娘である『エヴァ“フェイト”サヴァーニャ』さんの国外逃亡の手助けをしてほしいの。」
湯河原:「彼女の娘さんは、国外に逃げなきゃならないくらいの事をしてるでしょうか?」
GM:「…今、フィレンツェを中心にマフィア同士の殺し合いが起こってる。エヴァさんはの抗争のキーマンなの。」
湯河原:もう少し、踏み込んだ内容を教えてもらえませんか?
GM:では、イヴさんの方が言います「娘の…エヴァの父親はマフィアなんです、戸籍上は父方の遠縁の性を名乗っていますが…。」
湯河原:なるほどね。
GM:ジークリンデは「原因は彼女ではなく、彼女の生まれ…それも、どうしようもない事で彼女の未来や生命が脅かされるのは看過できないわ。」と言いますね。
湯河原:「受けるのは問題ないですが、彼女自身の意志はどうなんでしょうか?」
GM:母親であるイヴさんはそう言われると表情を暗くするね。
GM:ジークリンデが「書状は送ってるけど、返信はない。それに、母親であるイヴさんが行くのはとても危険。私もマフィア相手には面がわれているわ。」と返す。まぁ、この状況で母親が行くのは自殺行為に等しいですね。とりあえず、説得まで含めるという事で。
湯河原:「そう言うことでしたら、お引き受けいたします。どの程度やれるかは分かりませんが。」
GM:では、依頼を引き受け一安心したのか、イヴさんは「どうか…あの子の事をよろしくお願いいたします。」と言って掌で顔を覆い肩を震わせます。
湯河原:「僕のやり方でやらせてもらいますよ。」
エンリコ:そういえば、今は何語で話してるの?湯河原は会話できてたみたいだけど。
GM:…まぁ、ジークリンデさんが多言語話せるので同時通訳してたんですよ。
(一同笑)
湯河原:じゃぁ、僕のシーンは終わりですね。
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