第22話 2021年5月31日(月) 仕事場所

今日はテレワークの日だった。

仕事のある平日の月曜なのに実家で目覚めて、朝食をとるなんてことは一体何年振りだろうか。


母は午前8時に職場に向かうため出勤した。

私は8時半から業務開始なので、テレワークの環境準備を始める。

私の仕事のテレワークは、専用のモバイルルータと専用のノートPCで行う方式のものだ。

また、オンライン会議の予定も入っており、このときにはカメラで私の姿を映す必要があるので、上半身だけシャツを着ておくことにする。

下半身は楽なジャージのままにしておく。

カメラには映らないし、楽な恰好の方が疲れないから業務効率もあがるだろうし、これくらいは大丈夫だと思っておく。


業務自体は、チャットツールで職場とやりとりをしつつ、書類作成やシステム操作を行う。

ネットではテレワーク中にさぼってゲーム等をする書き込みを見ることもある。

私の仕事の場合も、やってやれなくもないが、同時並行でそんなことをすると普段よりも集中がいるし、疲れるのが目に見えている。

楽しんで集中してゲームしたい派の私のような人間にとっては、そこまでしてさぼってゲームする意味はない。

アニメの流し見なんてもっての他だと思う。


ただ、電話や人の話声が全くせず、聞こえてくるのは家の前の川の流れる音と風で庭の草木が揺れる音という環境で仕事をするのはとても新鮮な感覚だった。


今はコロナ禍の中であるため、テレワークが世間に浸透してきているが、この流れは今後も継続してもらいたいものだ。

職場に行かなくても、作業は十分に可能だし集中して取り組める分、効率はむしろこちらの方がよい。

打ち合わせもチャットツールとオンライン会議により職場とのコミュニケーションはほぼ事足りる。


今後、私の婚活が上手く行き、実家で育児をする段階になっても、この環境があれば働き方の自由度が格段に大きくなる。

また、母を看病することになったとしても同じことが言える。


実家から職場までは車で1時間弱。

もちろんこの程度の通勤時間で働いている人は世の中に数多くいる。

ただ、正直なところ通勤時間は少ない方がいいと思うのも私の本音だ。

通期時間は必要最小限にして仕事ができればベストだろう。


こんなことを1日、頭の片隅に考えながら仕事をしていた。


昼休みは作り置きしてあったカレーを食べ、畑に水やりをしてから昼寝をした。

夕方には仕事をしながら帰宅する母を迎えることも初めての体験だった。

そして残業もなく退勤し、夕暮れの畑にまた水をやってから風呂に入った。

風呂から上がると夕食を取る。


職場の意識から日常への意識の切り替えがすぐにできたことは驚きだった。

仕事からここまで日常生活の意識にシームレスに移行できた日は、これまで私が社会人として働き始めてからなかった。



今の最も大きな目標は、できるだけ早いうちに幸せな家庭を作り、それを母に見てもらうことだ。

そのためには家庭で過ごす時間が絶対的にある程度は必要になる。

だから多分、私が家庭を持った時に目標とするべき日々の生き方は今日のような形だろう。


アパートに向かう車を運転しながら私はそんなことを思った。

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